日本全体の住宅流通市場に占める既存住宅の流通シェアは約14.7%(平成25年)と言われています。
築400年の住宅がザラに存在する欧米諸国と比べると1/6程度であり、日本が新築好きであることや地震大国であることを踏まえると当然とも言えます。
しかし、少子高齢化と増え続ける住宅のギャップによりこの20年で空き家の数は1.8倍(448万戸→820万戸)にまで増加しました。2030年には空き家は2000万戸を越えると言われています。
そんな状況を打開し、中古住宅の流通市場を活性化させる為にバリアフリー、省エネ、耐震などのリフォームに対して国や地方自治体、地方公共団体まで様々な補助金が設けられています。
ここでは、確定申告することで税優遇が受けられる、バリアフリーのリフォームにおける減税についてご紹介いたします。
- バリアフリーリフォームとはどのようなものか
- 減税を受けるためにどのような条件があるのか
というところまでわかりやすくご紹介させていただきますので、リフォームを考えている方は施工後に知らなかったということがないようにご参考にしてみて下さい。
この記事の目次
バリアフリーの定義。どんな種類がある?
障害者高齢者が社会生活を営む上で生活の障害となる物理的、精神的な障壁(バリア)を取り除くための対策及び実際に障害を取り除いた事柄のことです。
今回ご紹介しているバリアフリーリフォームは上記でいうと物理的な障壁を解消する施工のことを指します。
日本は現在高齢化社会を迎えており平成29年の時点で約30%が65歳以上の高齢者と言われており、少子高齢化で人口が減り、平均寿命が長い日本は今後ものすごいスピードで高齢者の数は増え続けていきます。
そんな中、現役時代は気づきにくいですが、
- 家の中の階段
- 浴槽
- トイレ
- 狭い通路や小さな段差
などが高齢者にとっては生活する上で不便に感じるものです。
このような物理的障害を解消するのがバリアフリーリフォームです。
バリアフリーリフォーム減税を検討してみよう
リフォームを考える上で資金計画を立てる必要がありますが、バリアフリーリフォーム減税の対象になっているのであれば利用を検討していただきたいです。
住宅購入の際に利用できる住宅ローン減税は購入だけでなく増築、改築のリフォーム工事を行った場合でも適用される場合があります。
さらに、今回ご紹介しているバリアフリーリフォームについては、特別控除制度と言われる配慮が設けられています。
リフォームを行う場合に住宅ローンを使い通常の増改築とみなされる場合と、バリアフリーリフォームにみなされる場合の2つの控除があります。
通常の増改築では所得税の控除率が1.0%、バリアフリーリフォームでは2.0%と減税率が変わってくるので自宅に必要なリフォームを考える上で、リフォーム業種に相談しながら工事の計画を立てていくと無駄な負担を減らすことができるので確認しておくと良いでしょう。
通常の増改築で住宅ローン控除を受けるための主な条件
- 自己所有の住宅のリフォームであること
- リフォームでかかった工事費用のの総額が100万円以上であること。また、100万円以上であれば、借入金でも現金でも控除は受けられる。
- 建築基準法に規定する大規模修繕・大規模の模様替えであること(居住用室内の床、壁、間仕切り、階段の4種類の工事であること)
- 増改築等の日から6ヵ月以内に入居し、適用を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
- 控除を受けようとする年分の合計所得が3,000万円以下であること
- 建築士から増改築の工事証明書を発行してもらい、確定申告書に添付すること
- 増改築をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が自己の居住用であること
バリアフリーリフォームで控除を受けるための主な条件
リフォームを行う方が以下の1つに該当すること
- 50歳以上の方(入居開始年の12月31日時点)
- 要介護認定又は要支援認定を受けている方①
- 障がいのある方②
- 上記の①、②に該当するか65歳以上の親族同居する方
以下、主な該当条件
- バリアフリーリフォームを行う方が所有していて主に居住している事
- バリアフリーリフォーム後の家屋の床面積(登記簿表示)が50m²以上であること
- 賃貸併用住宅などの場合は、バリアフリーリフォーム後の家屋の床面積の1/2以上が居住用である家屋であること
- バリアフリーリフォーム後の居住開始日が平成19年4月1日から平成33年12月31日の間であること
- バリアフリーリフォームの日から6ヶ月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること
通常の増改築で住宅ローンの控除を受けるための条件も、バリアフリーリフォームで控除を受ける条件も簡略化してご紹介しましたが、より細かい条件や対象になるかどうか微妙な場合もありますので、ご不明な点は施工を依頼する予定のリフォーム業者に問い合わせたり、国土交通省のホームページをご覧ください。
URL:国土交通省のホームページ
バリアフリーリフォームにおける投資型減税とローン型減税
バリアフリーリフォームを行う場合は
- 自己資金のみで行う投資型減税
- 融資を受けて行うローン型減税
があります。
適用される条件はほとんど2つとも上記で説明した条件ですが、投資型減税は工事費用の10%が所得税額から控除され、ローン型減税は工事費用の年末ローン残高の2%または1%が5年間所得税額より控除されます。
つまり、バリアリフォーム減税を利用する際はほとんど同じ条件で自己資金のみでもローンを使っても適用されるので覚えておくと良いでしょう。
減税対象となるバリアフリーリフォームはどんな工事?
ここでは対象となるバリアフリーのリフォーム工事をいくつかご紹介します。
- 介助用の車椅子で移動しやすくするための通路や玄関口の幅を広くする工事。
- 階段からの転落による事故が多く高齢になるほど死亡率も高くなります。既存の階段を撤去、または改修することにより勾配を緩やかにする工事。
- 浴室の床面積を広げたり壁やドアなどの撤去、その他入浴の際の介助をしやすくするための工事。
- 個室内の壁を撤去したり、それに伴う排水設備の移設などによってトイレ内を広くし、介助時に負担にならないようにするための工事。
- 上記のような個室または脱衣室その他の部屋などにおける手すりの取り付け。そして、住居内を移動するための通路への手すりの取り付けも対象です。
- 高齢者は住居内の段差で生活に大きな支障が出たり、転倒して大怪我をすることが多いのでそういった段差を解消するための工事。
- 出入り口のドアノブを開け閉めしやすいようにアコーディオンカーテンやレバーハンドルなどに配慮するための工事。・転倒を防ぐための住居内で滑りやすい場所の床材料の取り替え。
こちらのリフォームの対象となる工事についても、細かい数字の条件や対象になるのかどうか問い合わせをしてみないと分からない工事もありますのでリフォーム前の確認を宜しくお願い致します。
バリアフリーの減税についてのまとめ
今回はバリアフリーリフォームを行う際に優遇される減税についてご紹介させていただきました。
冒頭でご説明した通りバリアフリーリフォーム以外にも省エネ、耐震など他のリフォームでも減税される要件はあります。
また、国やそれぞれの地方自治体事で条件を満たせば補助金が出る場合などもありますので、現在お住まいの住宅でリフォームをする際は優遇されるものがないか確認してみると良いでしょう。
実際に減税が行われるのは年末に確定申告をした後になるので、提出する書類等が複雑でわかりにくい場合は最寄りの税務署に相談してみて下さい。
参考URL:国税庁のホームページ