不動産取得税とは?3つのパターン(土地購入・新築、建売)から計算方法を解説

不動産取得税とは?家の新築にいくら必要か計算方法を解説

家を新築した時に支払う税金に「不動産取得税」というものがあります。

不動産取得税はどんな税金なのでしょうか?

税金と聞くと、いくらかかるのか心配になるものです。それに家を新築した時に払う税金は、「高いかも・・・」と不安になります。

不動産取得税には、軽減税額や軽減税率があります。

不動産取得税の仕組みや計算方法、軽減税額や軽減税率を受けられる要件や減税額を知って、不動産取得税を正しく理解しておきましょう。

不動産取得税とはどんな税金?

不動産取得税は、家を新築・増築・改築したり、土地や家を購入したり、贈与や交換をして不動産を取得した場合に、一度だけ支払う税金です。※相続で取得した場合は課税されません。

不動産取得税は都道府県が課税をする地方税で、土地や家を取得してから6ヶ月から1年ぐらい経つと、「納税通知書」が名義人(取得者)に送付されてきます。そして、送付されてきた納税通知書で納税をします。

不動産取得税:新築住宅の3つのケース

新築の家を取得するケースは、主に3つ考えられます。

  1. 古くなった家を解体して、同じ土地に新築の家を建てる「新築の家に建て替えるケース」
  2. 新しく土地を購入して、新築の家を建てる「土地を購入後、新築住宅を建てるケース」
  3. すでに新築住宅が建っている土地と家を購入する「建売住宅を購入するケース」

それぞれのケースで、不動産取得税がどうなっているか解説します。

① 不動産取得税:新築の家に建て替えるケース

古くなった家を新築の家に建て替える場合の不動産取得税は、新築の家に対しのみ発生します。

土地はすでに所有しているので、不動産取得税はかかりません。

新築の家が完成すると、市区町村の固定資産税担当課が新築住宅の固定資産価格評価のために調査にきます。調査が終わると、「新築住宅の固定資産課税評価額」が決まり、不動産取得税が算出されます。

② 不動産取得税:土地を購入後、新築の家を建てる場合

新たに土地を購入し、その後、新築の家を建てる場合の不動産取得税は、土地と新築の住宅の両方に発生します。

まず、土地を購入した時に不動産取得税を支払います。

購入時の土地の固定資産課税評価額を元に算出され、不動産取得税額が決定されます。

次に新築の家が完成した時に、新築住宅に対して不動産取得税がかかります。

この時に「住宅用土地を取得した場合の軽減措置」に該当する場合、土地の減税分が還付されます。(減税の申請が必要)

住宅を建てるために土地を購入した場合は、「住宅用土地を取得した場合の軽減措置」が受けられるように新築住宅を建てると不動産取得税が減額されてお得になります。

③ 不動産取得税:建売住宅を購入する場合

建売住宅を購入する場合は、購入した時に土地と新築住宅を取得したことになるため、土地、新築住宅の両方に不動産取得税がかかります。

建売住宅を購入後、土地と新築住宅、両方の不動産取得税の納税通知書が届きます。

建売住宅の不動産取得税は、注意が必要です。

建売住宅を建てた会社が建築会社ではなく不動産業者(宅地建物取引業者)の場合は、新築後半年が経過すると、先行して不動産業者が新築の家の不動産取得税の納税をしているケースがあります。

建売住宅の場合は、不動産取得税がどうなっているか確認をしておくと良いでしょう。

また、建売住宅の場合、完成してから2年以上経過している場合、不動産取得税の減税措置が該当しないケースもあります。ケースバイケースとなりますので、こちらも不動産取得税がどうなっているか確認しておきましょう。

では、次に不動産取得税の税額の算出方法について見ていきましょう。

新築の家:不動産取得税の計算方法

不動産取得税は、土地や家の固定資産課税標準額と税率で計算されます。

一定の要件を満たす場合、税率の特例と軽減税額を受けることができます。

不動産取得税の税額の計算方法と税率

不動産取得税は、土地や建物の固定資産課税標準額に税率をかけて計算されます。

不動産取得税の計算方法は下記になります。

不動産取得税=土地・建物の固定資産課税標準額×税率

不動産取得税の標準税率は4%です。不動産を取得した日、不動産の種類によって税率の特例が適用されます。

<table>
	<tbody>
		<tr>
			<td>不動産を取得した日/不動産の種類</td>
			<td>土地</td>
			<td>建物:住宅用</td>
			<td>建物:非住宅用</td>
		</tr>
		<tr>
			<td>平成20年4月1日~令和3年3月31日</td>
			<td>3%</td>
			<td>3%</td>
			<td>4%</td>
		</tr>
	</tbody>
</table>

※建物:住宅用とは、住宅だけでなく、住宅用車庫や住宅用倉庫も含まれます
※建物:非住宅用は、店舗や事務所、工場、農業用倉庫、別荘などで、住宅と同じ土地に建っていても「非住宅用」となります。

不動産取得税の固定資産税評価額と固定資産課税標準額

不動産取得税を計算する時の土地や建物の価格は、実際に購入した価格や建築工事費用ではありません。税額を算定するために求めた価格を使います。

それが『固定資産課税標準額』です。

固定資産課税標準額とは
固定資産税評価額より算出され、土地と建物で違います。建物の場合は、固定資産課税標準額と固定資産税評価額がほぼ一致します。土地の固定資産課税標準額は、固定資産税評価額に対して特例があり評価額は2分の1になります。(令和3年3月31日までに取得した場合に適用されます)
固定資産課税標準額=固定資産税評価額×1/2

「固定資産税評価額」は、総務大臣が定めた固定資産評価基準により評価した価格又は区市町村の固定資産台帳に登録されている価格です。

一般に固定資産税評価額の金額は、土地の場合は時価の70%程度、住宅の場合は建築工事費用の50~70%程度が評価水準と言われています。

不動産取得税の計算方法まとめ(令和3年3月31日まで)

・不動産取得税(土地)=(土地の固定資産税評価額×1/2)×3%
・不動産取得税(建物:住宅用)=(住宅の固定資産税評価額)×3%

不動産取得税の軽減措置と要件

不動産取得税には、新築住宅とその土地に対して、税額の軽減措置があります。軽減内容と軽減を受けられる要件をまとめました。

建物に対して

建物(住宅)の軽減税額は、固定資産税額評価額より1,200万円差し引かれる特例です。

建物(住宅)不動産取得税=(固定資産税評価額―1,200万円)×3%

※認定長期優良住宅の場合は、1,200万円が1,300万円になります。(令和2年3月31日まで)

<建物(住宅)の軽減税額を受ける要件>

  1. 建物の種類:居住用、その他の住宅全般(専用住宅、別荘、セカンドハウス、賃貸用マンション(住宅用)など)
  2. 床面積制限:課税床面積50㎡以上(戸建て以外賃貸住宅は1戸当たり40㎡以上)240㎡以下

・土地に対して

土地の軽減税額は、計算された不動産取得税から控除される控除額があります。

土地(住宅用)不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2)×3%%-控除額

控除額は、下記AかBの大きな方の金額が適用されます。

A=45,000円

B=(土地1㎡当たりの固定資産税評価額)×(課税床面積×2(200㎡限度))×3%

(令和3年3月31日まで取得した土地の場合、固定資産税評価額が1/2となります)

<土地軽減税額を受ける要件>

  1. 建物の種類:居住用、その他の住宅全般(専用住宅、別荘、セカンドハウス、賃貸用マンション(住宅用)など)
  2. 床面積制限:課税床面積50㎡以上(戸建て以外賃貸住宅は1戸当たり40㎡以上)240㎡以下
  3. 土地取得してから3年以内に建物を新築する(土地先行取得)
  4. (令和2年3月31日までの特例)
  5. 土地を借りるなどして住宅を新築し、新築1年以内にその土地を取得した場合(建物先建築)

例から解説。新築住宅の不動産取得税の計算方法

新築住宅の不動産取得税をシュミレーションしてみましょう。

① 不動産取得税:新築の家に建て替える場合

・土地:取得済

・新築の家:古い家を解体し、新築の家を建築(建て替え)
床面積 99.37㎡(30坪)
固定資産税評価額 1,300万円
令和元年5月20日取得

不動産取得税の金額は

不動産取得税額 30,000円=(1,300万円―1,200万円)×3%

② 不動産取得税:土地を購入後、新築の家を建てる場合

・土地:新築の家を取得する1年前に取得(平成29年4月30日)
土地の面積 140㎡(42.27坪)
固定資産税評価額 2,000万円

・新築の家:新築の家を建築
床面積 99.37㎡(30坪)
固定資産税評価額 1,300万円
平成30年4月30日に取得

不動産取得税の金額は

土地不動産取得税額 0円=(2,000万円×1/2)×3%―425,800円(B)=▲125,800円
控除額 A又はBの大きい金額
A=45,000円
B=(2,000万円/140㎡×1/2)×(99.37㎡×2)×3%=425.800円
住宅不動産取得税額 30,000円=(1,300万円―1,200万円)×3%

土地を購入してから、新築住宅を建てる場合は、土地の不動産取得税の納税を先に行います。この時点で新築住宅は完成していたにため、軽減措置は受けられません。

新築住宅が完成した時に軽減措置の要件が満たされていれば、土地の軽減措置の対象となり、不動産取得税の還付を受けることができます。

土地の不動産取得税の還付は、課税者本人が申告しないと受けられませんので、忘れずに申告するように注意しましょう。

③ 不動産取得税:建売住宅を購入する場合

・建売住宅の価格 総額3,500万円
平成31年3月31日に取得

・土地
土地の面積 132.50㎡(40.00坪)
土地の価格 2,300万円
土地の固定資産税評価額 1,400万円

・新築の家:
建築床面積 82.81㎡(25坪)
新築住宅の価格 1,200万円
新築住宅の固定資産税評価額 840万円

不動産取得税の金額は

土地不動産取得税額 0円=(1,400万円×1/2)×3%―262,4000円(B)=▲52,400円
控除額 A又はBの大きい金額
A=45,000円 B=(1,400万円/132.50㎡×1/2)×(82.81㎡×2)×3%=262,400円
住宅不動産取得税額 0円=(840万円―1,200万円)×3%

このケースでは、不動産取得税はかかりませんでした。

さいごに

不動産取得税は「地方税」であるため、税金の徴収・還付などの手続きは各都道府県単位で行われています。

不動産取得税の軽減税額や軽減税率は、要件や期限があります。事業年度により内容が変更になることもあります。不明な点があったら、都道府県の関係機関に相談しましょう。

相談先は、各都道府県で異なっています。各都道府県の窓口、問合せ先で確認しましょう。

相談先の例

・東京都の相談窓口 都税について
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/iken-sodan/otoiawase/madoguchi/toze.html

・神奈川県 県税事務所
http://www.pref.kanagawa.jp/div/1121/

・愛知県 県税事務所一覧
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/zeimu/0000026176.html