オール電化住宅の世帯別1ヶ月電気料金の目安とカンタン節電対策

オール電化住宅は『電気料金が安くなる』と言われますが、本当に安いのでしょうか?

ここでは、オール電化住宅の世帯別電気料金と節電対策をまとめました。

後から後悔することがないように電気料金や節電になる使い方を理解しておきましょう。

① オール電化住宅とは

オール電化住宅は給湯や冷暖房、調理器具設備のエネルギー源をすべて電力で供給する住宅をいいます。

ガスや石油は使用しません。

オール電化住宅の設備の特徴をみてみましょう。

オール電化住宅の設備

水をお湯にする給湯設備はガスの場合はガス給湯器を使用しますが、オール電化の場合はエコキュート又は電気温水器を使います。

エコキュートは空気中の熱を利用するヒートポンプという技術を使いお湯を沸かします。

電気温水器は内蔵されているヒーターでお湯を沸かします。

冷暖房設備は、エアコンや電気式床暖房、蓄熱ヒーターなどを使い、ガスファンヒーターや石油ストーブなどは使用しません。

調理器具はIHクッキングヒーターや電気コンロを使用し、ガス調理機器は使いません。

IHクッキングヒーターは内蔵されている磁力線に電流を流して、接している鍋やフライパンを直接発熱させる調理器具で、IHクッキングヒーター自体は発熱しません。

電気コンロは渦巻き状の電熱線が電磁誘導で発熱する仕組みの調理器具で、IHクッキングヒーターと違い電気コンロ自体が発熱します。

オール電化住宅の主なメリットは5つ

オール電化住宅は安全

ガス調理器やガスファンヒーター、石油ストーブなどは室内で「火」を使うため、火災の心配があります。

オール電化住宅の熱源は電気で「火」がないため、子供や高齢者のいる住宅では安心して使用できます。

ガス漏れなどの事故の心配もありません。

また、室内でガスや石油の燃焼がないため一酸化炭素も発生しません。

高気密住宅に向いています。

深夜の電気料金が安くなる

電力会社ではオール電化住宅用に深夜時間帯の電気料金を安くしています。

オール電化住宅の給湯設備(エコキュートや電気温水器)は電気料金の安い深夜を利用して貯湯タンクのお湯を沸かし、電気使用量をおさえる仕組みになっています。

電気とガスの基本料金を一本化できる

住宅内で電気とガスを併用するとそれぞれに基本料金がかかります。

オール電化住宅の場合は使用するエネルギーが「電気」のみになるので、基本料金は一つとなり基本料金分光熱費が安くなります。

災害の復旧がガスより早い

大雨や地震でガス、電気、水道などのライフラインが被害にあった時、一番初めに復旧するのが「電気」です。

都市ガスやLPガスは復旧までに1週間から10日前後かかりますが電気の場合3日前後で復旧しています。(場所や被害の程度による)

給湯設備の貯湯タンクが断水時に利用できる

断水した場合、給湯設備の貯湯タンクの水が利用できます(飲料不可)。

4人家族で370Lから460Lの貯湯タンクを使用しているので、何日分かの水を確保できます。

オール電化住宅の主なデメリット3つ

停電時にすべての設備が止まってしまう。

オール電化住宅は災害時の復旧は早いのですが、停電が起きるとすべての設備が止まってしまうことが弱点になります。

停電した時のために、カセットコンロや石油ストーブなどを災害時用として準備しておくと安心です。

設備費が高い

オール電化住宅は調理機器と給湯設備を電気式のものにします。

どちらもガス設備より設備費用が高くなります。

ガス調理機器とIHクッキングヒーター又を比較すると、同等の機能で10~15万円高くなります。

ガスボイラーとエコキュートを比較すると、同等の機能で40~60万円高くなります。

昼間の電気代が高い

オール電化住宅は家族形態や使い方によって電気料金が高くなる場合があります。

各電力会社ではオール電化住宅の料金プランとして、時間帯によって電気料金の単価が変わるプランがあります。

深夜の電気料金が安く、日中の電気料金が高くなっています。

そのため、日中に電気使用量が多い在宅ワークや高齢者、赤ちゃんがいる家庭は注意が必要です。

② 世帯別、1ヶ月の電気料金の目安

世帯別、1ヶ月の電気料金の目安

オール電化住宅は「電気料金が安くなる」と言われています。

光熱費や電気料金を比較したデーターを見てみましょう。

1ヶ月の平均光熱費はいくら?

総務省統計局や関西電力が公表しているデーターをまとめました。

それぞれのデーターを比較しながらオール電化住宅の1ヶ月の電気料金は安くなるのか考えてみました。

※世帯別 1ヶ月の光熱費との比較

(総務省統計局データーより2017年)

世帯の種類 オール電化電気代 電気+都市ガス 電気+LPガス
1人世帯 6,072円 6,989円 11,118円
2人世帯 9,713円 10,519円 11,954円
3人世帯 10,494円 11,854円 12,494円

参考:総務省統計局 家計データー

政府統計ポータルサイト「e-Stat」から引用

※オール電化住宅 世帯別1ヶ月の電気代平均額

(関西電力:オール電化の電気代平均額2017年より)

世帯の種類 電気代
1人世帯 10,751円
2人世帯 12,904円
3人世帯 14,454円
4人世帯以上 14,914円

参考:関西電力HP

総務省統計局のデーターを見ると、オール電化住宅の電気料金は都市ガス、LPガス併用の光熱費より安くなっています。

これは、同じサンプリング値をまとめた結果なので比較対象になります。

関西電力HPのオール電化住宅の電気代平均額は総務省統計局のデーターと比較すると高くなっています。

これはサンプリング値が同じではないこと、関西電力管内のデーターであることがこのような結果の要因と考えられます。

地方別の電気料金の平均額を見てみましょう。

※地方別1世帯(2人世帯以上)当たりの電気料金平均額

(総務省統計局データーより:2017年)

地方の種類 電気料金
北海道 10,843円
東北 11,143円
関東 9,629円
北陸 12,627円
東海 10,258円
近畿 10,729円
中国 10,290円
四国 11,582円
九州 10,148円
沖縄 10,024円
平均 10,312円

関西電力管内の地域は近畿・北陸地方が中心です。

全国平均より電気料金が高くなっています。

オール電化住宅の電気料金は単純に安くなるわけではないことがわかります。

③ ストレスフリーな節電対策

ストレスフリーな節電対策

電気料金の請求書をみて高い場合「どうして高いの?」「節電しないと・・・」と思うものです。

同居している家族に「TVを見ない時は消して」「エアコンの温度上げて」「トイレを出る時は電気消して」と言うのは疲れます。

一度対策を行ったらずっと節電になる方法や季節ごとに行う節電方法をまとめました。

ストレスフリーな節電方法でオール電化住宅の電気料金を節約しましょう。

電気契約の見直しと電気契約に合わせた生活の工夫

各電力会社にはオール電化住宅用の電気契約があります。

時間帯によって電気料金が変わる契約で、電気料金は深夜が安く、日中が高くなっています。

共働きで日中家にあまりいない、子供の帰りも18時過ぎというご家族はオール電化住宅用の契約が向いています。

しかし、自宅で仕事をしている、赤ちゃんがいる、高齢の両親と一緒に暮らしている場合は、オール電化住宅用の電気契約が必ずしも節電になるわけではありません。

シュミレーションして確かめるようにしましょう。

オール電化住宅用の電気契約の場合、洗濯機や食器洗い機、炊飯器の稼働時間を電気料金の安い深夜にすることで節電することができます。

※各家電 1回あたりの電気代 時間帯別比較

家電製品の種類 消費電力量 デイタイム
@38.71円/KW
ホームタイム
@28.52円/KW
ナイトタイム
@16.30円/KW
洗濯乾燥機 2.29kwh 88.65円 65.31円 37.33円
食器洗乾燥機 0.52kwh 46.10円 14.83円 19.41円
炊飯器(保温無) 0.71kwh 27.48円 20.25円 11.57円
浴室乾燥機 1.2kw/時間
3時間使用
139.36円 102.67円 58.68円

※中部電力のオール電化住宅の電気料金で試算(スマートライフプラン)

※家電製品は一般的な種類の消費電力にて試算

洗濯から乾燥までを行った時の電気代は日中のデイタイムでは88.65円、深夜のナイトタイムでは37.33円で51.32円の差があります。

月の半分15日菅乾燥機まで使用したとすると、約770円の差になります。

タイマー運転できる家電製品は電気料金の安い深夜に運転するようにすると節電することができます。

節電になるエコキュートの使い方

エコキュートはお湯をまとめて沸かす給湯器です。

電気料金の安い深夜に沸かす設定になっています。

エコキュートで節電をするには、電気料金の高い時間帯にお湯を無駄に沸かさないことが基本です。

エコキュートの節電になる使い方をまとめました。

一つ目は、エコキュートの運転方法を季節により変更する方法です。

エコキュートは「省エネ」「節約」「少な目」「多め」などの沸かし方、沸かす量を設定できるようになっています。

お湯を使う量が少ない夏は「省エネ・節約」「少な目」、お湯をよく使う冬は「多め」を選び、電気代が高い日中に無駄なお湯を沸かすことがないようにしましょう。

二つ目は、季節ごとに給湯温度の設定を変更しましょう。

夏は冬より2,3度温度を低く設定すると節電になります。

三つ目は、浴槽のお湯を熱くする場合は「追い炊き」より「高温足し湯」を使いましょう。

追い炊きより高温足し湯の方が省エネです。

四つ目は、貯湯タンク内の水が少なくなると電気料金の高い日中にお湯を沸かす「自動湧き上げ機能」のあるエコキュートは、その日お湯を使わないことがわかったら「昼間沸き上げ停止」をしましょう。

無駄なお湯の沸き上げがなくなり省エネになります。

五つ目は、エコキュートのヒートポンプユニットのまわりをきれいにしておきましょう。

ヒートポンプは空気中の熱を利用してお湯を沸かしています。

室外機回りが雑草におおわれていたり、吹き出し口が何かでふさがれていると、熱効率が悪くなります。

効率よく運転するために室外機まわりはきれいにしておきましょう。

節水水栓の利用

シャワー水栓はシャワーヘッドを取り換えるだけで節水になる商品があります。

ヘッド部分の水圧を高くすることで少ない水量でもあまり変わらない使い勝手でシャワーを使えます。

節水効果が30%もあるシャワーヘッドもあります。

使うお湯の量が減れば、お湯を沸かす電気料金も減ります。

シャワーヘッドは1度取り換えればずっと節電効果が続きます。

IHクッキングヒーターの節電

IHクッキングヒーターで使用する鍋などは、IH対応のものでも種類や大きさにより熱効率が違います。

以下の様な鍋・フライパンは熱効率が良いため省エネです。

  • 鍋底の大きさが12㎝以上
  • 鍋底が平ら
  • 素材が鉄やステンレス(アルミや銅は避けましょう)

便座の温度設定と蓋で節電

便座は暖房便座の温度と洗浄便座の水温の設定ができます。

気温が暖かくなってきたら、暖房便座をOFFにし洗浄便座の温水の温度を低くすると節電できます。

寒くなってきたら元に戻します。

年二回設定温度を変えるだけで節電できます。

また、便座には節電モード機能があります。

これは便座の蓋を閉めることで機能するので、蓋を閉める習慣をつけておきましょう。

冷蔵庫の温度設定で節電

冷蔵庫の庫内の温度は季節によって変更するようにしましょう。

寒い冬は「中」や「小」、暑い夏は「高」に切り換えます。

年二回設定温度を変えるだけで節電になります。

照明の節電

家庭内では照明のつけっぱなしが「電気代の無駄」として問題になります。

トイレや玄関・廊下など長く人がいない場所には人を感知して照明が付き一定時間が過ぎると消灯する機能をもった「人感センサー」を利用して、照明のつけっぱなしを防止しましょう。

また、照明器具を交換する時には「LED照明」を積極的に取り入れましょう。

LED照明の消費電力は白熱電球の1/5で電気料金があまりかからない照明です。

電力会社の変更

2016年4月から「電力の自由化」がはじまりました。

当初は電力会社が少ない、契約や解約が面倒、災害時の対応が不安などの心配がありましたが、電力会社を変更する企業や家庭、電力会社の数も増え、いろいろなプランが用意されるようになりました。

大手電力会社の管轄により変更できる電力会社やプランが異なるので選ぶ時には注意が必要です。

今の電気使用量がわかる請求書などを用意し、シミュレーショをして安くなることを確認するようにしましょう。

オール電化住宅は安全で便利ですが、電気料金体系や使い方により電気料金が安くなるかはわかりません。

オール電化住宅にしたら何が変わるのか、電気料金を節約するにはどうしたらよいのか、取り入れる前に理解し後悔することがないようにしましょう。