住宅用地の特例とは?家が建つ土地は固定資産税が安くなる!

住宅用地の特例とは?家が建つ土地は固定資産税が安くなる!

固定資産税は、賦課期日である1月1日時点の状況によって、所有する不動産のある市町村に毎年納める税金です(東京都だけは都に納税)。

この税金の大きな特徴は、一軒家やアパートなど、住宅用の土地には特例措置が適用され、税額が安くなるということです。

なお、固定資産税と一緒に納めることの多い都市計画税についても、住宅用地の特例措置があります。

ここでは「住宅用地の特例」について詳しく説明するとともに、具体的な税金の計算方法をご紹介していきます。

固定資産税の住宅用地の特例とは。2つのタイプがある

固定資産税算出の根拠となっている地方税法において、「住宅用地は、その税負担を特に軽減する必要がある」とされています。

ただし、住宅用地には

  • 「専用住宅用地」
  • 「併用住宅用地」

の2つがあり、それぞれ住宅用地特例の適用対象が変わってきます。

・専用住宅用地とは

もっぱら人が居住するための家屋の敷地で、その土地全部(ただし、家屋床面積の10倍まで)が特例適用となります。

・併用住宅用地とは

事務所兼住宅など、家屋の一部分が居住できる建物の敷地で、その土地の面積(ただし、家屋床面積の10倍まで)に一定の率をかけて算出した部分にのみ適用されます。

では、それぞれについて解説していきまうs。

専用住宅用地の住宅特例について

はじめに、一般的な住居のある専用住宅用地の特例について説明します。

専用住宅用地であれば、その面積のすべてが特例の対象となります(家屋床面積の10倍の面積まで)。

しかし、全面積が同じ特例率で計算されるわけではありません。

住宅用地はさらに

  • 「小規模住宅用地」
  • 「一般住宅用地」

に分けられ、それぞれ率が違います。

・小規模住宅用地

家一戸につき200㎡までの土地を、「小規模住宅用地」といいます。小規模住宅用地の固定資産税は、土地の評価額に6分の1を乗じたものを課税標準額として計算します。

・一般住宅用地

家の敷地のうち、200㎡を超えた部分を「一般住宅用地」といいます。

一般住宅用地の固定資産税は、土地の評価額に3分の1を乗じたものを課税標準額として計算します。

専用住宅用地の住宅特例計算例(固定資産税の場合)

それでは、具体的な計算例です。

例1)地積400㎡の土地に住宅が1軒建っており、土地の評価額は2,100万円の場合。

この場合、200㎡分が小規模住宅用地、残りの200㎡が一般住宅用地になるので、計算は次のとおりになります。

小規模住宅用地: 2,100 万× 200 ㎡/ 400 ㎡× 6 分の1= 175 万
一般住宅用地: 2,100 万× 200 ㎡/ 400 ㎡× 3 分の 1=350 万
175 万+ 350 万=525 万(固定資産税課税標準額)
525 万 × 1.4=73,500 円(固定資産税額)

この土地の住宅用地特例適用後の固定資産税課税標準額は、175万+350万=525万になります。さらに、課税標準額に税率(1.4%)をかけた73,500円がこの土地の固定資産税額になります。

例2)地積400㎡の土地に住宅が2軒建っており、土地の評価額は2,100万円の場合。

この場合、400㎡すべてが小規模住宅用地になるので、計算は次のとおりです。

小規模住宅用地:2,100万×400㎡/400㎡×6分の1=350万
350万(固定資産税課税標準額)×1.4%=49,000円(固定資産税額)

この土地の住宅用地特例適用後の固定資産税課税標準額は、350万になります。そこに税率をかけた49,000円がこの土地の固定資産税額です。

例1と例2を比べるとわかるとおり、 同じ面積、同じ評価額の土地でも、住宅の戸数によって特例率が変わってくるため、最終的な税額は違ってくるのです。

併用住宅用地の住宅特例計算例(固定資産税の場合)

次に、店舗兼住宅や事務所兼住宅のような「併用住宅」の計算例を紹介します。

併用住宅は、その家屋のうち居住部分の占める割合によって、住宅用地となりうる面積が決まります。内容は以下のとおりです。

家屋の種類 居住部分の割合 住宅用地の率
併用住宅 2分の1以上 1.0
4分の1以上2分の1未満 0.5
4分の1未満 なし

では、実際に計算してみましょう。

例3)地積400㎡の土地に店舗兼住宅が建っている場合(土地の評価額は2100万円とする)。なお、家屋全体の床面積は120㎡、居住部分48㎡、店舗部分72㎡とします。

まず、住宅用地の率を求めます。

48 ㎡÷ 120 ㎡= 0.4

となり、居住部分が4分の1以上2分の1未満にあたるため、住宅用地の率は0.5です。

地積400 ㎡× 0.5=200 ㎡

よって、200㎡だけ住宅用地の特例が適用され、残りの200㎡は「非住宅用地」となります。

住宅用地200㎡は、すべて小規模住宅用地に適用されるため、固定資産税課税標準額と税額は以下のとおりになります。

小規模住宅用地: 2,100 万× 200 ㎡/ 400 ㎡× 6 分の 1= 350 万
非住宅用地: 2,100 万× 200 ㎡/ 400 ㎡= 1,050 万
350 万+ 1,050 万= 1, 400 万(固定資産税課税標準額)
1,400万× 1.4=196,000 円(固定資産税額)

例1と比べると、同じ地積の土地に建つ1軒でも、住宅と店舗兼住宅では、かなり税額が違ってくることがわかります。このような店舗や事務所のような家屋に限らず、家を壊して更地にした場合や、駐車場にするなど、建物がない場合もこのような「非住宅用地」となり、住宅特例が適用されません。古い家屋を壊した翌年、固定資産税が跳ね上がるのはこのような理由からです。

建て替え中の場合の住宅特例

相続で取得した古い家を建て替えたり、元々所有していた古い家を取り壊して建て替えをするという方もいるでしょう。

この時、固定資産税の賦課期日である1月1日は更地の状態だったり、新築物件が完成していないこともあると思います。

では、その土地は「非住宅用地」となり、住宅特例が適用されないことになるのでしょうか。

地方税法では、ある要件を満たす場合のみ、建て替え中であっても住宅用地の特例が適用されるとしています。

その要件とは以下のとおりです。

  • その土地が、前年度の賦課期日(1月1日)時点では住宅用地であったこと。
  • その土地の(建て替え中の)住宅建築が、今年度の賦課期日時点で基礎工事に着手していて、次の賦課期日までに完成すること。(※整地程度では基礎工事とはみなされません
  • 住宅の建て替えが、同一の土地で行われること。
  • 土地の所有者が前年度の賦課期日と今年度の賦課期日において、原則同じであること。(※前所有者の配偶者や直系家族は、同一とみなされます)

この要件すべてに当てはまる場合は、建て替え中でも住宅用地の特例を受けることができます。

なお、「去年、中古住宅を買って建て替え中だったが今年の1月1日には完成していない」場合は、この要件に当てはまりません。また「1月1日までに整地と地鎮祭を終えていた」としても、1月1日までに建築確認申請が出されていなければ、基礎工事に着手しているとはいえませんので特例は適用されないことになります。

建て替え中の住宅用地特例については、要件すべてに当てはまらないと適用されないため、事前にしっかりと市町村役場の固定資産税担当や、建築会社等に確認しておきましょう。

都市計画税の住宅用地の計算方法

都市計画の区域によっては、固定資産税とあわせて都市計画税も納める必要があります。

固定資産税の税率は1.4パーセントと全国一律ですが、都市計画税の税率は最大で0.3パーセントと定められており、地域によって変わります。

また、都市計画税も住宅用地の特例があり、課税標準額が小規模住宅用地で3分の1、一般住宅用地で3分の2になります。

では、実際に計算してみましょう。

例4)地積400㎡の土地に住宅が1軒建っており、土地の評価額は2,100万円、都市計画税率は0.3%の地域とする。

この場合、200㎡分が小規模住宅用地、残りの200㎡が一般住宅用地になるので、計算は次のとおりになります。

小規模住宅用地:2,100万×200㎡/400㎡×3分の1=350万
一般住宅用地:2,100万×200㎡/400㎡×3分の2=700万
350万+700万=1,050万(都市計画税課税標準額)
1,050万×0.3=31,500円(都市計画税額)

この土地の住宅用地特例適用後の都市計画税課税標準額は、
350万+700万=1,050万に
なります。

さらに、課税標準額に税率(0.3%)をかけた31,500円が、この土地の都市計画税額になります。

自分の土地を一度チェックしてみよう

固定資産税と都市計画税の住宅用地の特例について、また具体的な計算方法についてもご紹介しました。

慣れないと少し難しく感じるでしょうが、ぜひお手元に納税通知書がある方は、ご自身の土地の評価額から計算をしてみてほしいと思います。

ただし、併用住宅の場合は、居住部分、居住以外の部分のほか、共有部分がある場合もあり、より計算が細かくなります。計算がわからないのであれば、一度、各市町村の固定資産税担当部署に確認してみることをオススメします。

ご自分の土地ですので、しっかりチェックして確認してくださいね。