リフォーム工事には「重ね張り」といい、今のフローリングの上から新しいフローリングを張る方法があります。
床の工事は、フローリングを剥がさなくても工事はできるのです。
重ね張り工事をするにあたって、事前知識や知っておくべきポイントを掴んでおきましょう。
この記事の目次
《ポイント①》フローリング重ね貼りのメリット・デメリット
まず、フローリングの重ね張り工事には、どんなメリット・デメリットがあるのかお伝えします。
《メリット》
- 張り替え工事と比べて、リフォーム価格が安くなる
- 解体工事がなくなることで騒音がなく、近隣の方に迷惑かけずに工事ができる
- 工事期間が短くなる
- 段差がなくなりバリアフリーにできる
- 二重床になり防音効果がある
- 床が補強される
重ね張りには上記のようなメリットがあります、特に工事期間、工事費用が安くなるのは嬉しいポイントではないでしょうか。
《デメリット》
- 今の床より1~1.5㎝ほど高さが上がる
- ドアやサッシと干渉する可能性がある
- 下地が傷んでいても確認ができない
フローリングの張り替え工事をする際は、解体するため下地の状態を確認できますが、重ね張りの場合は解体をしないため、床の下地を確認できないことがデメリットに挙げられます。
《ポイント②》フローリング重ね張り 失敗例
ここではフローリングを重ね張りしたことで、起こってしまった失敗例をいくつかご紹介します。
失敗しないために、どんな失敗例があるのか見てみましょう。
建具との干渉、段差
- お部屋の扉やクローゼットなどの建具が床に擦れてしまうケース
- キッチン引き出しが開けられなくなるケース
- 廊下よりもお部屋の床が高くなってしまうケース
せっかく工事したのにも関わらず、生活が不便になってしまうのはもったいないです。
今のお部屋の高さをしっかり確認して、その高さに合うフローリングを選ぶことが必要です。
後程説明しますが、フローリングには様々な高さがあるので、お部屋に合う高さを選ぶことが大切です。
カビ
カビが生えてしまったフローリングの上に、新しいフローリングを重ね張りするのは危険です。
フローリングにカビが生えたまま、新しいフローリングを重ねると、カビが繁殖して下地が傷んでしまい、余計な工事が増えてしまう可能性があります。
カビの生えたフローリング部分をしっかり剥がして、防腐剤を入れましょう。
剥がしたスペースは、新しいフローリングで隠れてしまう場所なので、合板などで調整してから新しくフローリングを張りましょう。
床暖房が効かない
重ね張りをしたいと思っているお部屋に、床暖房がある方は必見です。
床暖房のあるお部屋の重ね張りには、床暖房専用のフローリングがあります。
床暖房専用のフローリングでないものを使用してしまうと、床の暖かさが届かずせっかくの機能が台無しとなってしまいます。
床暖房用のフローリングは、薄いタイプが多く、既存の床暖房もそのまま使用することができ、重ね張りをしてもしっかり温かみを感じることができます。
《ポイント③》事前に確認すべき注意点
建具や引き出し等の隙間の確認
リフォームをして生活が不便になってしまうのは問題です。
事前に段差確認をしっかり行う必要があります。
他のお部屋の境目となる扉下の敷居や、お部屋にある収納棚の下部の隙間も確認が必要です。
敷居の高さの確認
せっかく工事するのであれば、お部屋の足元の段差を解消できるチャンスです!!
フローリングを重ね張りするにあたって、敷居と同じ高さに調節することができます。
そのためにも、今のフローリングと敷居の高さの確認が必要です。
フローリングの厚みはいくつかありますので、一番ベストなサイズを選びましょう。
お部屋の段差をなくして、バリアフリーにすることがオススメです。
《ポイント④》知ってお得!リフォーム知識
フローリングの厚みはどのくらい?
リフォーム用のフローリングには、
- 12mm
- 6mm
- 1.5mm
など様々な厚みがあります。お部屋の段差に合わせて、フローリングを選ぶことができます。
また、12mm以上の段差がある場合は、フローリングの下に合板を敷くことで高さ調節することもできます。
見切り材とは?
「見切り材」はリフォームだけでなく住宅を作るにあたって、必要不可欠な材料となっています。
床と床の境目を綺麗に仕上げる建材のことを「見切り材」と言います。
床材との境目の段差を緩和し、床材との段差に違和感のないように緩和する機能があるのです。
キッチン、リビング、洋室、トイレなど、それぞれの床材は異なり、床材の高さがそれぞれ違うのですが、その段差を「見切り材」で調整をしています。
分かりやすくお伝えすると、階段ではなくスロープのように足元のストレスがないような役割があります。
玄関の框はどうしたら良いの?
玄関から廊下の重ね張りをする方も多いと思いますが、玄関のリフォーム框といい、上から被せるだけで新しい框も綺麗に仕上げることができます。
L字の形をしているので、L字框と呼ばれることもあります。
様々な色味がありますので、新しく張るフローリングの色味に合わせて框の色を選ぶことができます。
幅木はそのまま?交換するの?
重ね張りを検討している方で、一番の悩みは幅木だと思います。
幅木の役割は、
- 壁と床の隙間にゴミが溜まらないようにする機能
- 掃除機をする際に壁を傷めない機能
の2点があります。重ね張り工事をする際に、幅木の工事方法としては大きく2つありますので、ご紹介します。
① 幅木は今のまま残して使う
幅木をそのまま使う場合は、どうしても今の幅木と新しいフローリングの隙間が開いてしまう可能性があるので、コーキングで埋めるという方法があります。
新しいフローリングの厚み分、幅木が短くなりますので、事前に幅木がどのくらいになるのか確認が必要です。
また、幅木をそのまま使いながら壁紙を貼り替える場合、幅木でクロスを抑えることができないため、クロスが捲れやすくなる可能性はとても高いです。
ですが、一番価格を抑えて重ね張りの工事をすることができます。
② 幅木は全部外す
もう1つは、今の幅木は外して交換する方法です。
先程お伝えしたようにクロスを貼り替える場合は特に、幅木も一緒に交換することをおすすめします。
クロスをしっかりと貼ってから幅木で抑えることで、クロスが剥がれにくくなります。
また新しいフローリングの色味を変更する場合、幅木の色と統一感がないとお部屋のバランスが悪くなってしまいますので、色味を大きく変える場合は幅木も張り替えることをおすすめします。
③ 特殊パターン
戸建ての場合、昔の建物工法の1つに、壁の下に幅木が埋め込まれている事例があります。
この場合は相当大掛かりとなってしまいます。
ご自宅によって構造が違いますので、どういう工法で作られているのか確認することも必要です。
今のフローリングを活かして、もっと安く工事をする方法とは?
リフォーム工事するにあたり、少しでも価格を安くしたいとお考えになる方は多いと思います。
フローリングほど厚みがなく、簡易的に工事できる方法があります。
それは、フロアタイルやクッションフロアと言われる材料で、今のフローリング上に貼る方法です。
先程お伝えしたようにフローリングの重ね貼りはドアと干渉してしまうことがあるのですが、フロアタイルやクッションフロアは2mm~3mmと厚みが薄いので、ドアとの干渉をする心配もなくなります。
また水に強いため、お子様やペットを飼われている方にもおすすめです。
クッションフロアは元々ロール状になっていますので、フローリングを1枚1枚張るよりも手間がかからないため、より工事期間、工事費用を抑えることができます。
まとめ
重ね張りは張り替えるより、工事費、工事期間は抑えることができることができます。
しかし、事前の確認ができていないと、床の高さがあがることで生活に影響が出てしまいます。
満足いく形でフローリング工事をするためにも、事前に重ね張りの知識を身につけることを心がけましょう。