減築リフォーム前に知っておきたい6つの話(メリットとデメリット・費用等)

減築リフォーム前に知っておきたい6つの話(メリットとデメリット・費用等)

近年、減築によるリフォームが注目されています。

子どもが独立して夫婦で済む場合に部屋が余って手入れが大変になったり、古民家などの中古住宅を購入したものの家が大きすぎる場合に、減築によって快適な暮らしを実現しようとするものです。

一方で、
「デメリットはあるの?」
「費用の目安がわからない」
「確認申請や固定資産税はどうなるの?」
など、多くの疑問があるかと思います。

ここでは、減築リフォームについてのメリット・デメリット、費用など知っておくべきことを詳しく説明していきます。

減築リフォームとは?

床面積を増やしてリフォームを行う増築リフォームはよく聞きますが、減築リフォームとはその逆で、既存の住宅の床面積を減らしてリフォームを行うことです。

少子高齢化が進む中で世帯人数が縮小し、住まいを持て余す人が多くなり、そのような住まいのリフォームで検討されるのが減築リフォームです。

一見、「家を小さくするなんてもったいないのでは?」と思いますが、減築リフォームには多くのメリットがあります。

減築リフォーム・4つのメリットとは

1.掃除やメンテナンスの負担が減る

不要な部屋を取り除くことにより、わざわざ使わない部屋を掃除する必要がなくなり、日々の掃除や手入れの負担が軽くなります。

また、屋根・外壁も同時に撤去することで外皮の面積が減り、定期的なメンテナンスにかかる費用を抑えることができます。

2. 光・風を住まいに取り込んだ快適な住まいになる

家全体を小さくすることにより新たに庭を確保したり、2階の床をなくして吹き抜けをつくることで、家の中に光や風を新たに取り込むことができます。

間取りの工夫により、リフォーム前は暗かった部屋や風の通らなかった部屋に光・風を取り込み、快適な空間を確保することができます。

3. 耐震性が向上する

2階建ての建物は、柱や梁といった構造材に2階部分の床と屋根の荷重の負担がかかっています。

これに対して平屋の建物は屋根の荷重のみを負担しているので、2階建ての建物に比べると荷重の負担が軽くなります。

2階を減築して平屋とする場合などは、全体の荷重が軽くなるので耐震上有利になることがあります。

4. 省エネにつながり光熱費が削減できる

住宅の断熱性能は、建物全体の表面積となる外壁・屋根・床の面積により左右されます。

家の表面積が大きいほど、屋外の影響を受けやすくなり、暖気や冷気が出入りしやすくなります。

不要な部分を撤去して表面積の小さいコンパクトな家とすることで、外気の出入りが少なくなり、省エネにつながることで光熱費を削減することができます。

減築リフォームにはデメリットな所もある

減築には多くのメリットがありますが、減築の方法によってはデメリットとなることもあります。

ここでは、減築リフォームを行う上で注意するべき点を説明します。

1.減築の方法によっては耐震性能が低下する

減築を行うことで建物を軽くし、耐震性を向上させることもできる減築リフォームですが、減築方法によっては耐震性能を低下させることになるため、注意が必要です。

通常地震が起こった際、建物の壁や床が地震に抵抗することで、建物の安全性を保ちます。

例えば、2階建ての建物の一部を1,2階ごと、もしくは平屋部分を減築するような場合、建物全体の壁の量が減ることがあります。

これにより力のバランスが悪くなり、耐震性能を低下させることがあり得ます。

もしくは、2階床のみをなくして吹き抜けをつくる場合、床面による地震への抵抗力が小さくなり、逆に耐震性が落ちる場合もあります。

こうした場合は別の箇所に壁を増やす、ブレースを入れるなどの方法によって耐震性能を維持できますので、建築士に判断を仰ぎましょう。

3. 防水の施工に注意

減築リフォームではそれまで間仕切りであった場所が外壁になったり、既存の屋根に新たな屋根が取合うことがあります。

こうした場合、防水の施工に十分に注意しなければ、雨漏りの原因ともなり得ます。

リフォーム後に問題が出ないようにするために、実績のある施工業者に依頼することが大事になってきます。

5つのパターンに見る。減築に必要な費用例

減築にあたって必要な費用は家のどの部分を撤去するかで大きく変わってきます。

以下に減築のパターンごとの費用の目安を説明します。

基本的には、 減築によって外壁や屋根を補修・新設する面積が大きくなるほど費用が高くなるとイメージすればわかりやすいかと思います。

既存の構造や周辺の状況により費用も変わってきますので、信頼できる施工業者に現地を確認してもらい、見積もりを依頼するとよいでしょう。

2階建ての2階部分を一部平屋にする

費用:撤去部分の床面積1坪あたり約45万円~60万円(解体費+屋根新設費+内外壁補修費)

2階に使っていない部屋がある場合、2階の一部を撤去して平屋建てにします。

2階の重量が減りますので、耐震上有効になる方法です。この場合、2階部分の解体費用、新たな屋根・外壁・内壁の補修費用がかかります。

2階建てをすべて平屋にする

費用:撤去部分の床面積1坪あたり約35~50万円(解体費+屋根新設費)

2階部分のすべてを撤去して平屋建てにします。

2階の重量がなくなる分、耐震性を向上させることができます。

2階部分を一部撤去する場合と比べ、外壁の補修費用が必要ありませんので、面積あたりの費用は抑えることができます。

2階建ての1、2階共を1部撤去する

費用:撤去部分の床面積1坪あたり約45~60万円(解体費+内外壁補修費)

1階と2階を合わせて垂直に撤去します。撤去部分は屋外となるので、光・風を取り込んだり庭を確保することができます。内外壁の補修や足場代は2フロア分必要になります。

平屋建てを一部撤去する

費用:撤去部分の床面積1坪あたり約35~50万円(解体費+内外壁補修費)

平屋建ての一部を撤去します。

内外壁の補修費用などは1フロア分で済みます。

2階建ての床の一部を撤去して吹き抜けをつくる(解体費+床補修費)

費用:撤去部分の床面積1坪あたり約15~30万円(解体費+内外壁補修費)

2階内部の床を撤去して吹き抜けをつくり、光を取り込みます。外皮の工事が不要であるため、費用としては最も抑えられる方法です。

減築リフォームに確認申請は必要?

減築にも確認申請が必要なのか、疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。

リフォーム方法によって必要かどうかが左右されますので、それぞれのパターンを解説します。

減築工事のみで床面積が減る場合は確認申請不要

基本的に多くの住宅は、建築基準法で「4号建築物」と呼ばれる建築物にあたります。

その場合、既存の住宅の床面積が増えない限りはリフォームによる確認申請は不要です。

ただし、既存の住宅が「2号建築物(3階以上の木造住宅など)」又は「3号建築物(2階以上の鉄骨住宅など)」にあたる場合は、建築基準法の「大規模の修繕」もしくは「大規模の模様替え」に該当する場合、確認申請が必要となります。

リフォームの工事内容が
「大規模の修繕」「大規模の模様替え」
にあたるかは所轄行政の判断によりますので、リフォームを依頼する業者や建築士に確認をしてもらうようにしましょう。

減築工事+増築工事により床面積が増える場合は注意が必要

リフォームの内容が減築だけでなく、別の箇所で増築も伴うことで既存の床面積よりも増える場合、既存住宅の地域や増築部分の面積によって左右されます。

まず、既存住宅の地域が「防火地域・準防火地域」に指定されている場合、増築部分の面積に関わらず、確認申請が必要になります。

既存の地域が市街地でなく、「防火地域・防火地域」にあてはまらない場合、増築部分の面積が10㎡以内であれば確認申請は不要となります。

こうしたリフォーム工事を行う場合も見落としがないよう、リフォーム業者・建築士に確認をするようにしてください。

減築で固定資産税はどうなる?

減築リフォームにより固定資産税はどのようになるのでしょうか。

建物にかかる固定資産税の金額は床面積によって決まります。

そのため、減築を行い既存の住宅から床面積を減らすことで、固定資産税を軽減することができます。

減築によって安くなる固定資産税の長期的な金額とリフォーム金額との比較を行うことで、出費に対する効果を検討することができるでしょう。

まとめ

減築リフォームは家族構成が縮小するなかで、大きすぎる住宅を持て余すことなく、快適な暮らしを手に入れることのできるひとつの方法となります。

メリット・デメリットを理解し最適な減築方法を行うことがリフォームの質を左右しますので、慎重に検討を行いましょう。