「断熱材はどうして重要なのかいまひとつピンとこない」そうお考えの人も多いのではないでしょうか。
断熱材は家の中の温度を快適に保つために重要な役割を果たします。
その断熱材の種類や施工のされ方によって、住宅の快適さには実はかなりの差がでます。
とは言え、断熱材のことは専門的な知識が必要な分いまひとつわかりにくいという人も多いのではないでしょうか。
そこでここでは、断熱材とは何か、その種類や特徴を紹介し、どの断熱材が良いのか具体的に解説します。
この記事の目次
まずは抑えておきたい基本知識。断熱材とは
断熱材は住宅の壁の内部に使われ、外の寒さや暑さを内部に侵入させない、または家の中の空気を外に逃さないことを目的に使われる建材です。
完成した住宅でその状態を確認できることはないため、いまひとつ存在感がないかも知れません。
外部と内側の壁の間に断熱材を施工することで、その内部に空気の層を作ることで、熱を伝わりにくくする役割があります。
断熱性能を高めることで、冷暖房費の節約に繋がるだけではなく、1年中快適な環境で過ごしやすくなるなどの効果が期待できるのです。
つまり断熱材は住宅での快適な環境作りに重要な役割を果たしています。
この断熱材は隙間なく施工されていることが重要で、隙間が発生してしまうと、そこから熱が逃げてしまい、断熱材が持っている役割を十分に果たせなくなることもあるので、覚えておきましょう!
断熱材にはどんな種類がある?大きく分けて2つある
断熱材は大きく分けて2種類に分かれています。
- 繊維系断熱材
- 発泡プラスチック系断熱材
それぞれの特徴を次で紹介します。
繊維系断熱材
繊維系断熱材は、細かい繊維状のものを敷き詰めることで、空気を中に通さない仕組みの断熱材です。
繊維の太さ、繊維の密度によって熱の伝わりやすさが変わります。
- グラスウール
- ロックウール
がこの繊維系断熱材に該当します。
繊維系の中には、天然素材で作られたものもあります。
その代表的なものが
- セルロースファイバー
です。
セルロースファイバーは新聞紙を加工して作られた断熱材です。断熱性だけではなく吸音性なども期待できます。
発泡プラスチック系断熱材
発泡プラスチック系断熱材とは、プラスチック素材を発泡させ、細かい空気の泡を形成することで、外の空気を中に通さない仕組みになっている断熱材です。
泡の密度や数によって断熱性が変わる他、プラスチック自体が熱を通しやすかどうかも断熱性能に関わってきます。
- 発泡ウレタン断熱
がこちらに該当します。
それぞれの断熱材の詳しい特徴
断熱材には種類がいくつかあり、断熱性能以外にもいくつか特徴があります。
ここでは断熱材として使われることが多い以下の断熱材の特徴について見ていきましょう。
- グラスウールの特徴
- ロックウールの特徴
- 発泡ウレタンの特徴
- セルロースファイバーの特徴
断熱材・グラスウールの特徴
グラスウールはガラスを高温で溶かし繊維状にしたものです。
価格が安く、軽量で高いことから多くの住宅で使われています。
カタログスペック上の断熱性能は、ロックウールと比べてもそれほど変わりません。
デメリット:
としては湿気に弱いことが挙げられます。グラスウールは軽量の繊維であり、湿気で結露してしまうと、グラスウールが水分に耐えられなくなり、下に押しつぶされてしまい、十分な断熱性能を発揮できなくなります。
断熱材・ロックウール
ロックウールとは、鉱物を繊維状に加工した断熱材のことを刺します。
主にケイ素と酸化カルシウムが主原料になっており、これらの成分を1600度の高温で加熱し、繊維状に加工しています。
断熱性能はグラスウールと同様ですが、熱に強く火事になっても燃えにくいことです。
ただし鉱物成分を繊維状に加工してあるためか、グラスウールと同様湿気に弱いのがデメリットです。
発泡ウレタン
発泡ウレタンは、ウレタンの内部にフロンガスなどの発泡材を加えて作った断熱材です。
板状になっているものと、充填式になっているものと2種類があります。
充填式のものであれば、工場などではなく、現場で直接壁に充填するため、隙間なく施工できます。
隙間なく施工できるため、気密性が高いことも特徴です。
気密性が高いことで、より室内の空気が外に出にくくなるため、室内の空気を外に逃がしにくいという特徴を持っています。
そのため、エアコンなどの空気を逃がすことなく、快適な環境を維持しやすいのがメリットです。
ただし、大きな欠点として、燃えた場合に引火するだけではなく、有毒ガスのシアン化水素を発生させてしまいます。万が一火事が発生すると、この有毒ガスの影響で死に至る可能性も。
またこちらは現場で施工するため、やや手間がかかり施工代がグラスウールやロックウールよりも高額になります。
セルロースファイバーの特徴
セルロースファイバーとは、新聞紙を加工し、ホウ酸を加え燃えにくくした繊維系断熱材です。
新聞紙という自然素材を原料にしているため、安全性が高いだけではなく、湿度を調整する機能や吸音性もあり、断熱性だけではない様々な特徴を持っています。ただし、施工には手間がかかり、価格は比較的高いことがデメリットです。
結局どの断熱材いいの?ランキングしてみました
断熱材はどの建材を選ぶのが最もよいのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
断熱材の性能として比較するなら、熱伝導率で比較するのが一般的です。
ランキング付けすると以下のようになります。
- 発泡ウレタン(0.035)
- グラスウール・ロックウール(0.038)
- セルロースファイバー(0.040)
熱伝導率の数値はその値が小さいほど、移動する熱量が小さく断熱性能が高くなります。
そうした観点で見ると発泡ウレタンが断熱性能としては最も高いことが伺えますね。
ただし、断熱材の断熱性能は、断熱性能では多少の違いがあるものの、実はそれほど大きな違いはありません。
それ以上に正しく施工されていることが重要です。
正しく施工されていない場合、断熱材はその役割をほとんど果たせず、断熱欠損を発生させてしまうことがあります。
※断熱欠損とは断熱材がの機能が果たせない隙間のこと
断熱材は隙間なく施工することが基本になるため、断熱欠損が発生すると、住宅全体の断熱性能は大幅に下がってしまいます。
そのため、断熱材を選ぶときには断熱性能以外の要素で選ぶことが重要です。
- 燃えにくさ
- 結露のしにくさ
- 機密性能
で選ぶのがよいでしょう。
また住宅の断熱性について確認するのであれば、機密性能を確認しましょう。
気密性能とは、その家にどのくらいの隙間があるか測定する検査のことです。
その数値が一定水準以上であれば、断熱性能は問題ないと言えるでしょう。
気になる断熱材の価格はどのくらい?
断熱材の価格は、施工する会社によって材料費や手間賃が異なるため、単純に比較することは難しいですが、大まかに価格の安さでランキング付けすると、以下のようになります。
- グラスウール・ロックウール
- 発泡ウレタン
- セルロースファイバー
グラスウールやロックウールは価格が最も安く特にローコスト住宅ではこれらの断熱材が採用されているケースが多いです。
発泡ウレタンは工場などで生産できず、現場で職人が充填することになるため、材料費だけではなく、施工費用が別途かかるため施工費用が高額になります。
セルロースファイバーは自然素材のため環境に優しく安全性が高い断熱材ですが、材料費が高いだけではなく、現場で施工する手間がかかるため、上記の断熱材と比較すると、高額になるケースが多いようです。
断熱材、結果は何がいい?
今回は断熱材の種類にはどんなものがあるのか、どの特徴やメリットデメリットを比較しながら紹介してきました。断熱材は断熱性能以外にも特徴があるため、その特徴を理解することが大切です。
何が良いかはケースバイケースですが、基準をお伝えすると
- 安さ重視で選ぶなら、グラスウール・ロックウール
- 燃えにくさで選ぶならロックウールやセルロースファイバー
- 気密性を重視するなら発泡ウレタン
- 吸音性や安全性を求めるならセルロースファイバー
大まかに言えば、以下のような基準で選ぶとよいでしょう。
ただし、断熱材はどの断熱材を選ぶか以上に適切に施工されているかどうかが重要な建材です。
そのため、新築などの住宅を検討しているのであれば、気密検査や断熱検査の内容を確認し、きちんと断熱性能が確保されているか確認してから契約するとよいでしょう。