家を建て替え費用を項目別にすべて洗い出してみた

現在住んでいる家が古くなった、家族が増えて手狭になった、ライフスタイルが変化して使いにくくなったなどの理由で建て替えを検討する場合に、やはり気になるのは「建て替え費用」のこと。

家を建て替えるのに必要なお金は、建物本体の工事費だけではありません

一般的に建物本体の工事費は建て替えにかかる総費用の7割程度といわれています。

建て替え費用のおよそ3割が本体工事費以外の様々な費用です。

最終的には当初の予定をはるかに超えた金額になって困惑したという方も決して少なくないと思います。

そこで「建て替えには他にどんなお金がかかるのか」具体的に見ていくと共に、お金に関することをまとめてみました。

仮住まい費用

建て替えを行うためには、工事中に住む家を確保しなければいけません。

仮住まい期間は新築する家の工期によって変わりますが、最低でも半年位は必要と思った方が良いでしょう。

この間の賃料と敷金、礼金、仮住まいを仲介してくれた不動産会社への仲介手数料(1か月分の家賃)、仮住まいへの引っ越し費用(往復分)が必要になります。

仮住まいの家賃を10万円/月程度としても、100万円以上見込んでおく必要があります

ほかにも電話の移設費用や粗大ごみの処分費などが必要になる場合もあるでしょう。

この機会に家の中の不用品をまとめて処分する様にすると良いと思います。

また家族が少ない場合には、仮住まいにはマンスリーマンションやウィークリーマンションを利用して、荷物はトランクルームに預けた方が安くすむ場合もあるので、比較して検討すると良いでしょう。

家の解体費用

現在の住まいを解体して更地にするための費用です。

解体費用の目安は、木造2階建の場合で坪当たり3万円程度なので、30坪の家ではおよそ100万円弱です

しかし重機やトラックが入れない、廃材の運び出しが困難などの悪条件の場合や、建物本体以外にも塀や物置、樹木の撤去などがある場合は、追加費用が発生します。

その他建物滅失登記を土地家屋調査士へ依頼する場合にはその報酬が必要です。

地盤調査、地盤改良工事費等

更地にして地盤調査を行った結果、地盤が軟弱だった場合には必要と判断された基礎補強工事が追加で発生します。

地盤の強さによって地盤改良工事や杭工事が必要になります。

また敷地に高低差がある場合には、擁壁工事などの費用が発生することがあります。

式祭典費用

希望により地鎮祭、上棟式などを行う場合は、それらの費用も見込んでおく必要があります。

地鎮祭では神主への謝礼(初穂料または玉串料)やお供え物の費用などで合わせて5万円くらい、上棟式では棟梁や他の大工さんへのご祝儀、職人をもてなすつまみや酒肴代などが必要になります。

(参加する人数や式の段取りによってかかる費用が異なります。)

建物本体工事費

建物本体の建築工事にかかる費用です。

建て替え費用の中で最も大きな金額となるのがこの本体工事費になります

住宅の価格の目安として一般的には坪単価(1坪あたりの価格)で表現されますが、これは当然建物の構造や仕様(グレード)、性能、設備などによって異なります。

また住宅会社の規模やターゲットとする顧客層によっても様々です。

坪30万円台のローコスト住宅から大手ハウスメーカーの坪80万円台の高級住宅まで、様々な価格帯の商品があります。

最も多いのは坪50万円前後の住宅でしょう

しかし一般的な坪単価に含まれない工事もあるので、注意が必要です。

そして坪単価は、同じ仕様で建てられた住宅でも床面積が小さくなるほど高くなる傾向があります。

それは足場などの仮設費用や資材の運搬費、住宅設備機器、住宅会社の経費などは、面積が小さくなっても面積に比例して減らないためです。

したがってカタログの表示価格が40坪で2,000万円(坪あたり50万円)でも、30坪で建てる場合には1,500万円、20坪では1,000万円では建てられないのが普通です

また平屋建ての住宅は2階建ての住宅よりも坪単価は高くなります。

これは平屋建ての住宅の方が基礎工事や屋根工事にかかる費用が割高になるためです。

(平屋建ての住宅では同じ坪数の総2階の住宅と比較して、基礎や屋根の面積が約2倍になります。)

一方、3階建ての住宅も2階建ての住宅よりも割高になる傾向があります。

これは3階建ての場合は構造計算が必要になるためと、建物の重量が増えるので地盤改良費用にコストがかかるためです。

そして2世帯住宅の場合も坪単価は上がります。

キッチン、バスなど水廻りの住宅設備機器が2倍になるのが大きな原因ですが、電気や水道のメーターを分ける場合はさらに電気配線や設備配管工事も割高になります。

以上をまとめると、

  • 坪単価は建物の仕様や住宅会社により様々
  • 坪単価は建坪(面積)が小さくなるほど割高になる
  • 坪単価は平屋建てや3階建ての方が2階建てよりも割高になる傾向がある
  • 2世帯住宅の坪単価は割高になる

です。

設計料

 住宅の設計を建築設計事務所に依頼する場合には、建築工事費の10%から15%程度の設計料がかかります

また住宅会社で注文住宅を建てる場合にも設計料がかかる場合もあります。

付帯工事費

家を建て替える際には建物本体工事費以外にも必要になる工事があります。

カーテンやエアコン等の空調設備、リビングや寝室などの居室の照明器具などは一般的には建物本体価格に含まれていません。

よって販売価格が坪あたり40万円でも、1,000万円で25坪の家は建てられないので注意が必要です。

その他門や塀、カーポートなどの外構工事も別途工事になります。

家具や調度品などもあらかじめ予算に入れておいた方がいいでしょう。

諸費用

建て替え費用の一部として最後に諸費用があります。

諸費用には登記費用、印紙代、住宅ローン諸費用、金利、火災・地震保険などがあります

また着工前や引っ越し時の近隣へのご挨拶時に持参する手土産代なども必要です。

家を建てる際には、ほとんどの方が住宅ローンを利用すると思います。

住宅ローンには主に銀行などの民間機関と自治体などの公的機関があります。

またローンを組む際の金利にも「固定金利」と「変動金利」があります。

現在は低金利なので変動金利の方が有利だと思いますが、将来金利が上昇すると一定期間金利が変わらない固定金利の方が有利になります。

どちらが良いのかは一概にはいえませんが、ほんのわずかな金利の差でも支払う利息が大きく変わってしまうので、慎重に検討したいものです。

またインターネットのサイトなどで銀行などの住宅ローン金利比較表や住宅ローンの返済シュミレーションが掲載されているので、参考にすると良いと思います。

その他

その他家を建てる時に知っておいた方が良いこととして、補助金や減税・優遇制度があります

これらを上手く利用することで建て替え費用を節約することができます。

具体的には住宅ローンを利用して家を建てる際に年末の住宅ローンの残高の1%がその年の所得税から控除される「住宅ローン控除」や、エコ住宅への建て替えを行った場合に補助金がもらえる制度住宅ローン購入に伴う負担が緩和されるすまい給付金ゼロエネルギー住宅補助金などです。

それぞれ一定の条件や期限等が設けられているので、どんな補助金が受けられるのか事前に住宅会社に相談しておくと良いでしょう。

家の建て替え費用まとめ

以上の様に一口に建て替え費用といっても、様々な費用がかかることを理解していただけたと思います。

建て替えを実行する前に必要となる費用をしっかりと理解して、予算組をしましょう。

また2月、3月の年度末になると各住宅会社は繁忙期になり、職人不足で突貫工事になりがちです。

住宅会社によっては工事費が割り増しになることもあります。

十分な現場管理が行き届かなくなる傾向もあるので、できればこの時期の完成を避け、余裕を持って計画を進めて欲しいと思います。