住宅性能評価とは?制度の概要と5つのメリットを詳しく解説

住宅性能評価とは?制度の概要と5つのメリットを詳しく解説

家を新築したり、不動産を購入する際に「住宅性能評価」という言葉を耳にしたことはありませんか?

住宅性能評価は、不動産の品質を保つ上で非常に重要な要素のひとつです。

今回は、住宅性能評価とはどんなものなのか、制度の概要やメリットなどと共にご説明します。

家を購入する予定がある方は、しっかり理解しておきましょう。

住宅性能評価とは「家の通信簿」のこと

住宅性能評価とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」という国が定めた基準に基づいて住宅を評価したもののことです。いわゆる、家の通信簿のようなもの。

住宅性能評価の申請は、基本的にハウスメーカーや工務店、設計事務所などが代理で行います。

よって、個人で申請しなければならないということはないですが、住宅性能評価という制度がどんなものなのか、大枠は理解しておきましょう。

住宅性能評価を取得する5つのメリット

メリット①|誰が見てもその住宅の品質が一目でわかる

住宅性能評価は、「構造」「火災」など10個の分野から住宅を評価します。

目に見える数値で表されるため、誰が見てもその住宅の品質が一目でわかるのがメリットです。

例えば2つの建売住宅で迷った時、共に住宅性能評価を取得していれば、同じ基準で評価された2つの数値を見比べればどちらのが高品質なのか簡単に判断できます。

メリット②|設計者でも工事者でもない第三者機関の評価だから安心

住宅性能評価は、国が定めた第三者機関によってチェックされます。

設計者や工事者が自分で評価するわけではないので安心できますね。

また、どの機関も品格法という同じ”モノサシ”で評価するので評価内容も信頼できます。

メリット③|住宅ローンの優遇や地震保険の割引が受けられる

住宅を購入する際は、ローンを組む方が多いと思います。

そのローンを組む際に、住宅性能評価を取得していれば金融機関で優遇を受けられる場合があります。

またフラット35を利用する場合は、住宅性能が一定の基準を満たせば、通常必要な検査を簡素化することができます。

地震保険料が割引されるというメリットもあります。

「構造」の分野にて耐震等級が数値化されますが、等級が高いほど割引率も高くなります。

メリット④|トラブルが起こった場合、紛争機関へ依頼できる

住宅は大きな買い物なので、トラブルが発生することもあるかと思います。

例えば工事が完了してから瑕疵が見つかったり、お願いしたはずの施工がされていないなど、さまざまなトラブルが考えられます。

そんな時、住宅性能評価書があれば、国が指定した紛争処理機関に紛争の処理を依頼することができるのです。

専門の機関に相談できるのは、万が一の際に安心ですね。

メリット⑤|売却する場合に査定に有利

新築で住宅を購入しても、ライフスタイルの変化と共に売却を考える時期が来るかもしれません。

不動産屋へ査定を依頼する際、住宅性能評価書を取得していれば、資産価値が判断しやすいため有利になります。

住宅性能評価の項目と等級について

住宅性能評価は10個の分野に分けて評価されるとお伝えしましたが、その詳しい内容について見ていきます。

10項目のうち、★マークが付いている4項目については取得必須項目で、残りの6項目はオプションです。

等級が高いほど性能はいいですが、どの項目も最高性能に設計しようと思うとかなりのコストがかかります。

等級を取得することに意味があるということを理解しておきましょう。

①構造★ ②火災 ③劣化★ ④維持管理★ ⑤温熱★
⑥空気 ⑦光・視 ⑧音 ⑨高齢者等 ⑩防犯

①構造の安定(★必須)

地震・暴風・積雪に対して、どの程度耐えうる構造かを評価したものです。

それぞれ「耐震等級」「耐風等級」「積雪等級」を1〜3で表し、数値が大きいほど評価が高いことを示します。

地震等級に関しては、等級1でも数百年に一度の大地震(震度7相当)でも耐えられる構造になっています。

つまり住宅性能評価を取得している住宅はどれも、数百年に一度の大地震に耐えられる構造になっているということになります。

②火災時の安全

万が一火災が起きてしまった際に、安全な建物かどうかを評価したものです。

火災報知器は適切な箇所に設置されているか、安全に避難できる構造か、建物に使われている材料が燃えにくい材料でできているかなどを項目に分けて等級で評価します。

火災で住宅が燃える原因は、

  • 自分の家が原因の場合
  • 周囲の家からの延焼の場合

の2パターン考えられます。

どちらの火災にも対応できる設計がされているかが評価のポイントです。

③劣化の軽減(★必須)

住宅は、年月と共に劣化していくのは避けられません。

その劣化をなるべく軽減させるための対策がきちんとされているかどうかを評価したものです。

ここでは主に、耐用年数の長い柱や土台などの構造躯体について等級で評価されます。

劣化しにくい構造になっているか、劣化しにくい材料が使われているかなどがチェックされ、木造・鉄骨・鉄筋コンクリートによって評価のポイントは変わります。

④維持管理・更新への配慮(★必須)

住宅の劣化に関して、③の構造躯体と比べて耐用年数の短い配管などの維持管理に関して評価したものです。

給排水管・給湯管・ガス管について、「清掃」「点検」「補修」が容易にできる措置がされているかどうかが等級で評価されます。

⑤温熱環境(★必須)

いわゆる「省エネ」に関して評価したものです。

住宅の冷暖房を効率よく使用するために、建物の断熱対策がきちんとされているか、その建物で消費されるエネルギー(電気・灯油・都市ガス)はどの程度かを等級で表します。

⑥空気環境

室内の空気環境を適切に保つための措置が講じられているかを評価したものです。

内装に使われる材料が有害物質(ホルムアルデヒド)発散量の少ない材料かどうかを等級で表し、室内の空気をきちんと換気できるよう窓や換気設備が適切に配置されているかどうかは設備の有無を表示する形で表します。

⑦光・視環境

窓などの開口部の面積と位置について評価したものです。

住宅を適切な明るさに保つためには、外部からの採光が取れるかどうかが重要になります。

そのためには、適切な大きさの窓を、きちんと光の入る位置に設計しなければなりません。

  • 床面積に対する開口部の比率
  • 居室に対する各方位別の開口部の比率

この2点をパーセンテージで示すことで評価します。

⑧音環境

騒音に関する対策がされているかどうかを評価したものです。

生活する上で、周囲の騒音はストレスの原因にもなるのでなるべく軽減したいものです。

そのため、ある程度の遮音性能を有するサッシを使用することが重要です。

居室のサッシについて、各方位別にどの程度の遮音性能のサッシを使用しているかを等級で表します。

また、共同住宅の場合はこれに加え、住戸間の音環境についても評価します。

⑨高齢者等への配慮

高齢者や身体の不自由な方などが生活する上で、安全かつ介助がしやすい設計がされているかどうかを評価したものです。

危険な段差がないか、適切な箇所に手摺りが設置されているか、トイレやお風呂などで介助する際に必要なスペースが十分確保されているか、などの基準を元に等級で表します。

⑩防犯対策

周囲から住宅内に侵入されにくい設計になっているかを評価したものです。

人が侵入できる大きさの開口部が評価の対象となり、それぞれ防犯の措置がされているかどうか否かを階ごとに表示します。

防犯の措置は、開口部の種類によってガラスのみの措置でいい場合や枠にも防犯性能が必要な場合など定められています。

住宅性能評価書の種類|設計評価と建設評価

住宅性能評価書は、

  • 設計段階で図面や諸計算書などを元に評価した「設計住宅性能評価書」
  • 建物が完成したあとの評価を記した「建設住宅性能評価書」

の2種類があります。

これらは2つ揃って「住宅性能評価書」としての効力を発揮するので、両方申請するのが普通です。

フラット35や地震保険の申込みをする際にも両方添付を求められます。

設計評価が完了し交付されると、それに基づいてきちんと施工されているかどうか、工事段階に分けて検査が行われます。

そして工事が完了した後、建設評価が交付されるという流れです。

よって、設計評価を受けていないと建設評価を受けることができません。

住宅性能評価の気になる費用は?

住宅性能評価にかかる費用は、評価機関や建築会社によって異なります。

費用の内訳としては、【評価機関への申請料+建築会社の手数料】となるため、評価機関や建築会社によって大きく変わってくるのです。

評価機関への申請料は、建物の構造・建物の規模・どの分野を選択したかなどによっても異なりますが、だいたい10万円台〜20万台が相場です。

そこへ建築会社の申請業務に係る手数料(申請に関わる図面や諸計算書の作成など)がかかってきます。

まとめ

住宅性能評価はさまざまなメリットがあることがわかりました。

少し費用はかかりますが、後々のメリットを考えると取得しておくのが得策です。

建売や中古住宅を購入する際も、その建物がどんな性能なのかをきちんと把握するためにも確認するようにしましょう。