【ルーフバルコニーの理想と現実】メリットとデメリットを紹介

【ルーフバルコニーの理想と現実】メリットとデメリットを紹介

ルーフバルコニーとは階下の屋根を利用して設置されたバルコニーのことです。

屋根がなく広く開放的な空間を楽しめるのが魅力です。

昨今のアウトドアブームもあり注目されていますが、そんなルーフバルコニーのメリットやデメリットを紹介していきます。

バルコニーとベランダとテラスの違いについて

まず、意外と知られていないこの3つの違いについて簡単に説明します。

  • バルコニー:建物の2階以上より張り出した屋根(庇)のない場所
  • ベランダ:建物の2階以上より張り出した屋根(庇)付きの場所
  • テラス:建物の1階より突き出した場所

つまりルーフバルコニーとは『階下の屋根の上に設置された建物の2階以上より張り出した屋根のない場所』ということになります。

建設業界ではこの3つは明確に分けられていますが、一般的には2階以上の場所でもテラスと名づけられていたり少し曖昧です。

テラスという響きのほうがおしゃれに感じるからなのか、商業施設などルーフバルコニーが『ルーフテラス』や『屋上テラス』と名称づけられていることも。

建設や不動産業界ではそんな誤解を生む表記がされていることはあまりないのでご安心を。

戸建てとマンションのルーフバルコニー

ルーフバルコニーは一戸建てだけでなく、マンションにもあります。

マンションのルーフバルコニーは共用スペースか占有スペースかにわかれます。

共有スペースはマンションの住人全員が使用できます。屋上など高層に設置されていることが多いです。

使い方はそれぞれのマンションの規約によって様々ですが、その多くは個人的に使えるものではありません。

占有スペースのものは、居住者のみが使用できます。

しかし、マンションの場合、いくら占有スペースであっても、ベランダやバルコニーは『専用使用権が認められた共用部分』となり、マンションの管理組合が管理します。

そのため、防災や避難経路の確保といった理由で、占有者であっても用途には多少の制限があります。

バルコニーの防水工事等のメンテナンスは管理組合の修繕費から払われますが、工事期間や準備など否が応でも管理組合に協力しなければなりません。

その点、戸建てのルーフバルコニーはいくらでも自由に使えます。

ただし、メンテナンス費用などは自己負担ですので大切に使いましょう。

ルーフバルコニーの使い方

ルーフバルコニーは階下の屋根を利用することで広さを確保できます。

屋根を設置しないことで得られる開放感も大きな特色でしょう。

そんなルーフバルコニーの用途をあげていきます。

  • 家庭菜園やガーデニング
  • バーベキューなどアウトドアスペース
  • ドッグラン等ペットの遊び場
  • ベランダよりも広々とした物干し場として
  • 露天風呂の設置

このようにルーフバルコニーとは生活のためというより、趣味やリラックスなど人生を豊かにするためにつくられるものです。

住宅に必ず設置すべき場所というものではありません。

ルーフバルコニーのメリット

前述の使い方がそのままメリットになりますが、もう少し詳しく紹介していきます。

ガーデニングができる

戸建てでも庭を広くとれなかったり、そもそもマンションで庭がない場合、日当たりのよいルーフバルコニーはうってつけの場所になります。

屋根がなく雨が降り注ぐのでより自然に近い状態で菜園や園芸を楽しめます。

しかも、庭と違って野良猫や害獣の被害にあいにくいのも嬉しいポイントです。

ただ、土を使う場合、そこからシロアリなどの害虫がウッドデッキや住居部分に侵入しやすくなるので、害虫駆除などのケアが必要になります。

ルーフバルコニー ガーデニング

引用:有限会社グレースランド(ルーフバルコニーでガーデニング-高橋邸(横浜市金沢区))

バーベキューなどアウトドアスペースとして

煙がもくもくと出る炭焼きのバーベキューは、いくら換気扇を使っても一般家庭の宅内でやるのはむずかしいでしょう。

下手をすると火災報知器が作動したり、一酸化炭素中毒になる恐れがあります。

電気プレートを使った焼き肉でも、壁や天井が煙で汚れてしまうので、なるべく室内でやるのは避けたいもの。

その点、ルーフバルコニーなら煙を出しても問題ありません。より家族団らんの機会が増えるかもしれませんね。

ただ、煙や騒音がご近所に迷惑にならないよう配慮は必要です。

風向きで隣家に煙がいきそうなら、囲いをするなど対策をしたほうがいいでしょう。

ルーフバルコニー バーベキュー

ルーフバルコニー バーベキュー

引用:有限会社グレースランド

広い物干しスペースとして

家族が多いと洗濯を干すスペースがいくらあっても足りないといった悩みがありますよね。

ルーフバルコニーなら広々としているのでたくさんの洗濯物を干せます。

ただ、屋根や庇がないので雨の日は濡れてしまいます。

物干し用のエクステリアを設置すれば天気に左右されず使いやすくなることでしょう。

設置費用は15万円~ぐらいで大きさにより変わります。

ルーフバルコニー 広い物干しスペース

引用:LIXIL(テラス屋根・テラス囲い・サンルーム一覧)

ペットの遊び場として

日当たりがよいルーフバルコニーはドッグランに最適です。

ドッグランとして使うなら犬が走り回れる広さがほしいところです。できれば6帖(約9㎡)は確保したいですね。

犬への足の負担を軽減するには、人工芝など足に優しい床材にしたほうがいいでしょう。

ドッグランがあれば散歩できない時でもストレス発散ができて、犬の健康寿命を延ばせること間違いなしです。

他のペットでも日向ぼっこや遊べる場所として使えます。

ただ、ペットの種類にあわせて脱走や落下防止対策をする必要があります。

ルーフバルコニー ペットの遊び場
引用:RoomClip

ルーフバルコニーで露天風呂!?

もちろん、住宅内部にお風呂があった上でのセカンドバスという贅沢な使い方になります。

自分の家で露天風呂につかりたいという夢をお持ちのかたにルーフバルコニーという場所はぴったりです。

2階より上なので目隠しさえすれば人目が届きにくいし、なにより開放感があります。

防水工事や給排水、給湯工事の他に、水の重さに耐えられる床の補強工事など費用は高額になりますが、露天風呂の設置は新築だけでなくリフォームでも可能です。

ただし、現状のルーフバルコニーに施工可能か業者に調査してもらう必要があります。

ルーフバルコニー 露天風呂

引用:BELCY

ルーフバルコニーのデメリット

ここからはデメリットをあげていきます。

ルーフバルコニーは屋根がなく開放感があるぶん、雨風の影響を直接受けます。

デメリットの大半はそこにあります。

設置に費用がかかる

新築工事の場合、ルーフバルコニーの大きさにより工事費は変わりますが、追加で100万円前後の費用はかかることを念頭に置いてください。

高額になる理由は、雨漏り防止のために防水工事をしっかりと行わなければならないのと、床面の補強や手すりの取り付けなど必要になるからです。

後々のメンテナンスを考えると、ルーフバルコニーはとにかくお金のかかる贅沢品と考えておいたほうがいいかもしれません。

居室から行き来できない場所にルーフバルコニーをつくる場合、階段を設置しなければなりません。

内部と外付けで価格に差はありますが、20~80万円ぐらいが相場になります。

室内につくる内階段のほうが費用がかかる傾向があります。

一戸建てのルーフバルコニーの増築費用は、これも様々な条件があって一概には言えません。ですが、

  • 1階部分に柱を立てて一からバルコニを設置するなら50~150万円
  • 1階を増築してその上に設置するなら200万円以上

これくらいかかりますので、目安として考えてください。

階下の天井への水漏れや雨漏り

ルーフバルコニーは階下の屋根を利用しているので広くつくられることが多いです。

床面積が広いということは、それだけ雨漏りのリスクが高くなります。

それと、床がフラットにつくられているため、勾配のついている屋根より雨水が溜まりやすいのも原因の一つになります。

ルーフバルコニーにウッドデッキなど敷いている場合は雨漏りに気付きにくく、階下の天井に染みができてからやっと異常に気付くことも。

ガーデニングや露天風呂をしている場合は、雨漏りでなく給水や排水からの水漏れという可能性もあります。

そういった様々な要因があるため、一度雨漏りしてしまうと原因を探るのも大変です。

雨漏りや水漏れを起こさないようにするには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

特に床の防水と排水溝周辺のケアを怠ると、居住スペースにまで水が侵入してしまい、後々の修繕に多額の費用が掛かる場合があるのでご注意ください。

ルーフバルコニ 階下の天井への水漏れや雨漏り
引用:防水市場

定期的なメンテナンスが必要

前述にあるようにルーフバルコニーには防水工事が欠かせません。

防水の種類もウレタン、FRP、シート、アスファルトと様々あり、費用や耐用年数も変わります。

それぞれに特色があり、どの防水がルーフバルコニーに向いているかは一概には言えません。

広さや設置場所、使用目的、メンテナンスの手軽さ、保証期間の長さなど、施工業者とよく相談して、最適の工法を選びましょう。

メンテナンスの年数は大体5年が目安となっています。費用は条件によって変わりますが、5~10万円ぐらいが相場になります。

戸建ての場合は外壁や屋根のメンテナンスと合わせて行うと費用が抑えられることもあります。

その他、ウッドデッキや人工芝など床材の劣化もあるので、それぞれの耐用年数を理解して早めに修繕しましょう。

防水工事セレクトナビ

目隠しや安全対策

2階より上に設置されているルーフバルコニーですが、近隣の間取りやマンションが隣接しているなど、条件によっては周りから見える恐れがあります。

新築の場合、近隣の窓の位置などを考えてルーフバルコニーの設置場所を考えなければなりません。

近隣の視線が気になる場合は、目隠しの塀を取り付けるなど対策が必要になります。

せっかく屋根がなく開放感のあるルーフバルコニーが、塀に囲まれて狭く感じてしまっては台無しです。

そんな本末転倒にならないためにも、ルーフバルコニーの設置場所はしっかり見極めなければなりません。

子供やペットの遊び場として利用する場合、落下防止の安全対策が必要です。

自治体が子供の落下防止に推奨する手すりの高さは120センチ以上、隙間は9センチ以内となっています。

しかし、マンションの占有バルコニーの場合、手すりが低くて危険に感じても、管理組合の了承なしに勝手に手すりを変更することはできません。

物件を購入する際によく確認しておきましょう。

ルーフバルコニー
引用:エコウッド

ほとんど使わなくなることも

ルーフバルコニーを調べていて、実はこの意見が一番多かった印象があります。

せっかく家族団らんできるスペースとしてつくったのに、いざとなると最初の2、3回しか使わず放置したままだったりとか、家庭菜園にすぐ飽きてしまったりと有効活用できずに終わってしまうことがあるようです。

そうなるとルーフバルコニーは維持費ばかり高くつく負の遺産になりかねません。

そんな悲劇を防ぐには、家族との話し合いを重ね、それぞれの性格を理解した上で物件の購入を考えたり新築工事の計画を立てるほかありません。

まとめ

一見、華やかな印象のルーフバルコニーですが、現実的には維持費が高く、うまく使いこなせるかは住人の技量にかかっているようです。

ルーフバルコニーの特色である屋根のない開放感がメリットでありデメリットにもなりますが、一番大事なのは、多額の費用がかかってでも使いたい場所なのかをよく考えることです。

有効活用できそうになければ、ルーフバルコニーのない物件を選ぶほうが賢明かもしれませんね。