家を建てたいと思う時期は、ご家族それぞれ違います。
しかし、家を建てる時期は、年齢・お金のこと・工事など、それぞれにベストなタイミングがあります。それぞれのベストな時期を知って、マイホーム計画を立てましょう。
この記事の目次
年齢のベストな時期はどう考える?
年齢でベストな時期を考えるには、主に4つのことを検討します。
ライフイベント
ライフイベントは、
- 結婚
- 出産
- 子供の進学、結婚
- 親の介護
を考えます。
理由は、これらのライフイベントにはまとまったお金が必要だからです。
住宅ローンの返済期間と金額、ライフイベントにかかる費用を一緒に検討しましょう。
住宅ローンの返済期間
住宅ローンの返済期間で考えなければならないのは定年と年金です。
会社員の場合、定年は60歳、年金支給開始年齢は65歳が一般的です。
60~64歳までの5年間は再雇用や再就職で働かなければ無収入となります。
60歳以降も住宅ローンが残っていると退職金で支払うか老後資金から支払うことになります。
多くの人が、60歳までに住宅ローンを支払い終わることを目標にしています。
しかし、結婚年齢・家の老朽化などにより60歳までに住宅ローンの返済が終わらないこともあります。定年後も住宅ローンが残っていても大丈夫かよく検討しましょう。
マイホームの頭金
マイホーム資金は、頭金と住宅ローンで準備するという方がほとんどです。
全額を住宅ローン準備する方もいますが、返済額が大きくなる、又は家にかけられる金額が少なくなります。
頭金の目安は、マイホームを建てる時にかかる税金や登記費用などの諸経費分で建築費の1割と言われています。
例えば、頭金200万円を月々3万円貯めると5年半かかります。マイホームを建てたい時期から逆算すると、子供が中学に上がる時に家を建てたいと思ったら、小学生になった年から貯めはじめると良いでしょう。
アパート暮らしの場合、頭金の1割を貯める年数と貯める期間の家賃を比較しましょう。
アパートの家賃5万円を3年払うと、180万円になります。
頭金を3年かけて貯めるより、今マイホームを建てた方が良い場合もあります。現在の生活費なども考慮しながら検討しましょう。
子供の進学
子供の進学時期とマイホームの工事・完成時期を一緒に検討しましょう。
子供が小学校に入学する前の3月に新居に入居する方が比較的多くいます。
理由は、小学校6年間同じ学校に通わせたい。学期途中で転校させるのは、大変でかわいそうという理由です。
また、高校や大学進学時期も避ける傾向にあります。落ち着いて勉強させたいという理由です。勉強が本格化する9月以降の引越しを避ける傾向にあります。
税金のお得な時期
住宅を建てる時には、色々な税金がかかります。
また、お得な所得税減税や税金非課税制度もあります。
それぞれの内容を理解しておくと、いつ建てるのがお得かわかります。
契約印紙税
工事会社と「工事請負契約」を交わす際に契約書に貼る印紙税です。
契約金額1,000万円~5,000万円の場合は、印紙代20,000円ですが、平成30年3月31日までは、軽減措置で10,000円に引き下げられています。
参考記事:家の建替えに減税や補助金はある?優遇制度を抑えよう
消費税
現在の消費税は8%です。※2019年時点
家を建てる時、家には消費税がかかり家を建てるために購入する土地には、消費税はかかりません。
2,000万円(税抜)の家の消費税は160万円かかります。
消費税は、平成31年10月に10%に引き上げられる予定です。
細かい内容は決まっていませんが、家を建てる時の消費税も10%となれば、2,000万円の家の消費税は40万円上がることになります。
消費税のアップが決まったら、消費税が上がる前に家を建てる方が税金は安くすみます。
しかし、消費税が上がる時は駆け込み需要が多く、住宅業界はとても忙しくなります。
また、消費税アップ後は需要が落ち込みます。そのため、消費税アップ後は消費税アップ分を還元するサービスや公的補助金が導入される傾向にあります。
消費税アップだけを理由に無理に家を建てるのは、必ずしも良いタイミングとはいえません。
消費税アップ後にアップ分ぐらいの金額は補てんできる可能性があります。よく検討しましょう。
登録免許税
土地や建物の登記を行う時にかかる税金です。所有権の保存・移転・抵当権の3種類がありますが、現在、軽減措置がとられています。
所有権保存は、税率0.4%が0.15%となっています。平成32年3月31日までです。
所有権移転は、建物の場合税率2%が0.3%となっています。平成32年3月31日までです。
抵当権は、税率0.4%が0.1%となっています。平成32年3月31日までです。
(参考⇒国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7191.htm)
不動産取得税
不動産取得税は、土地・建物を取得した時に1回だけかかる税金です。
建物の税率は評価額の4%です。平成30年3月31日まで軽減措置が取られています。建物評価額から1200万円が差し引かれます。(床面積50㎡以上240㎡以下が対象です。)
土地の税率は評価額の4%です。
平成30年3月31日まで軽減措置が取られています。土地固定資産税評価額が1/2となっています。
また、土地を取得して住宅を建てる場合、土地を取得してから2年以内に建物を新築すると軽減措置があります。
平成30年3月31日までは、その期間が3年になっています。
固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税は、土地・建物を1月1日に所有している人に毎年かかる税金です。
1月31日に完成した場合は、次の年から固定資産税が発生します。
12月15日に完成した場合も次の年から固定資産税が発生します。固定資産税の納税のタイミングを考えて、家を建てる時期を考える人もいます。
住宅ローン減税
毎年、住宅ローン残高の1%を10年間、所得税を減税する制度です。
控除限度額は、1年20万円10年間で200万円です。
住宅ローン残高が2,000万円あった場合、その年に納めた所得税から20万円が減税されます。
平成33年12月までは控除限度額が1年40万です。4,000万円のローン残高がある場合40万円が減税されます。20万円お得です。
減税については以下の記事に詳しく記載しています。
参考記事:家の建替えに減税や補助金はある?優遇制度を抑えよう
贈与税非課税制度
贈与税非課税制度は、「住宅所得等資金の贈与税の非課税制度」という制度です。
子供や孫が住宅を購入するための資金を援助する場合、700万円まで贈与税がかかりませんという制度です。(消費税8%の場合・平成32年3月31日まで)です。
通常、贈与税の年間非課税は110万円までです。贈与税がかからないこの制度を利用する方が増えています。
非課税金額は、家の契約日及び消費税額・住宅の種類で違います。
参考:国税庁HP
また、非課税制度が受けるには条件があります。
直系卑属であること、贈与を受けた翌年の3月15日までに入居すること、確定申告することなどです。
また、実際の相続の際の「小規模宅地等評価減」を利用できなくなる場合があります。
非課税制度を受けられるか、受けるのが実際にお得なのか確認しましょう。
住宅ローン金利がお得な時期
家を建てる時、ほとんどの方が「住宅ローン」を借ります。
安い金利で借りられれば、その分負担が軽くなります。
住宅ローンの金利は今安いのか?
今の住宅ローンの金利は、「低金利」と言われています。
約25年前の平成3年の金利は8.5%でした。現在の金利は、フラット35 1.35%、変動金利2.475%、3年固定金利3.00%となっています。現在の住宅ローンの金利は、低金利でお得です。
参考:住宅支援機構HP
各金融機関で金利が安くなる時期がある?
各金融機関では、住宅ローンのパンフレットがあり金利が書かれています。
その金利より安い金利で借りることが可能な場合があります。
各金融機関の半年・1年決算の時は、決算のため金利交渉が可能な時期です。決算は、概ね9月と3月で、より低金利で借りるために、決算の2、3ヶ月前から相談して交渉しましょう。
また、各金融機関では給与の受取・公共料金の支払いを変更して利用すると住宅ローンの金利を下げてくれるケースがあります。
変更可能時期をあらかじめ調べておくと対応ができます。
各種補助金が受けられるお得な時期
家を建てる時に、市や県・国から補助金を受けられる制度があります。
しかし、補助金には対象条件や手続きの締め切り・予算額があり、全員が受けられるわけではありません。
補助金を受けるには、家の着工、完成時期が重要です。補助金の制度を知って確実に補助金を受けられるようにしましょう。
太陽光発電の補助金
現在、国からの補助金はなくなりましたが、県によっては補助金制度がある自治体もあります。
お住まいの市町村や県で確認しましょう。
参考:パナソニックHP
各県・市町村により募集期間が違います。
太陽光発電業者が良く知っていますので補助金を受けられるように工事をしてもらいましょう。
浄化槽補助金
下水道が整備されていない地域では、下水処理のために「浄化槽」を設置します。
浄化槽を設置する費用に対して市町村から補助金(30万前後)が出ます。
ほとんどの市町村で、4月から今年度分の補助金の受付を開始します。予算がなくなれば補助金はもらえません。
確実にもらうためには補助金が開始されてからすぐに申込みできるように着工するのが良いでしょう。
省エネ住宅エコポイント制度
現在は終了していますが、消費税導入時期や経済対策・復興対策でたびたび制度が導入されてきました。
一定の省エネ性能を備えている新築住宅に300,000ポイント=30万円相当のポイントを発行して、商品や金券に交換できる制度です。
制度導入は、1月末の来年度予算編成を経て決定されます。
制度には、着工、完成時期に期限が設けられます。制度が導入されることがあったら、着工前に確認して時期を合わせましょう。
住まい給付金
現在、国土交通省が行っている制度で、消費税の引上げによる負担を緩和するために行われている給付金です。
消費税8%では最大30万円、10%では最大50万円の給付が受けられます。
現在の対象期間は、平成33年12月までとなっています。しかし、消費税アップの日程により流動的な制度です。その都度、確認して着工・完成時期を合わせましょう。
市や県・国の補助金制度は、制度の期間や対象住宅要件・着工・完成・入居時期などに明確なルールがあります。
着工を早めたためにもらえなかったということがないように注意しましょう。
逆に家を建ててはいけない時期はあるの?
住宅を建ててはいけない、注意したい時期があります。
それは、日本は四季があり温度・湿度などその季節ごと工事に影響があるからです。
木造住宅の着工おすすめタイミング
木造住宅では、構造材の木材や床下地のベニヤが雨に濡れることに注意します。
梅雨時期の上棟は避けたいものです。
上棟して外壁工事が終われば、雨に濡れることを注意しなくてよくなります。
そのためには、3月に基礎工事、4月に上棟すると良いタイミングになります。
基礎工事の注意点:冬と真夏
基礎のコンクリートは、温度調整が仕上がりに影響をする工事です。
冬、気温が低いと、コンクリートが凍結しひび割れや硬化不良をおこすケースがあります。
コンクリートの養生をする時に採暖したり、打設時間を調整したりするなどの対策もありますが、寒冷地の場合は冬に基礎工事を避けた方が良いでしょう。
真夏、気温が高いと、コンクリートの水分蒸発が早くなりひび割れを起こす場合があります。散水する、日陰を作るなどの対策もありますが、真夏の基礎工事も避けた方が良いでしょう。
3月と12月の家の完成は本当に良いタイミングか?
3月の年度末や12月は、家の完成が集中する時期です。
いろいろな理由でこの時期を選ぶ方が多いのですが、施工業者は忙しく、銀行も官公庁の手続きも混みあいます。
また、引越し費用も高くなります。おすすめは、それぞれ余裕のある2月中旬や10月に完成を迎えるとスムーズに物事が進みます。
退職後に家を建てるということ
定年を迎えるころに家を建てる方がいます。
退職金を見込んで家を建てる、二世帯住宅を建てる方です。
この時期は、定年後の生活費を検討して、本当に家を建てるタイミングが良いかよく考える必要があります。
家族みんなでよく相談しましょう。
家を建てるベストなタイミングはどう考える?
家は、家族が安心してのびのび暮らすために建てます。
家を建てたい理由は、家が古くなった、子供が増えて手狭になった、アパートは窮屈、両親と一緒に暮らすことになったなど様々です。
家を建てるベストな時期は、家を建てたいはっきりした理由があることが、まず大事です。家を建てたい理由があいまいなまま、家を建てると「今じゃなかった」と後悔するケースがあります。
家を建てる理由が明確になったら、家族のライフイベント・住宅の予算を考えておおまかに建てる年を決めます。そして、工事を始める時期や完成時期は、補助金や工事に良い時期を考えて決めましょう。
家を建てることは、家族みんなが幸せになること。家族の一大イベントです。家を建てる幸せな時間を一緒に過ごせるように、ベストな時期を選びましょう。]]>