新築工事の計画で、意外に費用がかさむ「水道引き込み工事」。
「なんでこんなに高いの!?」
「これって必要な工事なの!?」
と思ってしまいますが、生活に必要不可欠なライフラインはしっかり確保して、安心して過ごせる家を作りたいですね。
ここでは、水道引き込み工事の費用や注意点などについて、徹底解説します。
この記事の目次
水道引き込み工事とは
「引き込みってどういうこと?」
道路の中には、水道本管という水道管があちこちに走り巡っています。
私たちが家の中で水を使うためには、この水道本管から水を引っ張ってくる必要があるのです。
そうすることで、初めて蛇口から水が出てくるのです。
水道引き込み工事は、この水道本管から家の敷地の中に引き込むまでの配管の分岐工事の事を指しています。
水道管の口径種類
前面道路の水道本管の口径は100mmだったり、田舎のほうへ行くと50mmだったり様々です。
そこから敷地内に引き込む水道管の口径は、昔は13mmが多かったのですが、20mm・25mmが主流になっています。
実際の工事内容
道路を覆っているアスファルトをまず剥がして、掘削開始。
水道本管を見つけたら、敷地の中まで新しい水道管を配管後、土を戻して元通りのアスファルト舗装に復旧します。
その際に、アスファルトが分厚かったり、範囲が広かったりすると、工事費用に響いてくるのです。
水道引き込み工事の申請
水道の引き込み工事は、公共のインフラを利用するために、自治体への申請が必要です。
- 給水装置工事申込書
- 位置図
- 工事図面
- 道路使用許可申請書
自治体や立地条件によって必要な書類は違いますが、一般的には上記4種類の書類を用意します。
実際は、自治体で指定されている指定給水装置工事事業者が行いますので、住宅を計画している施主自ら何かを行うということはありません。
ただ、申請をしてから工事を行うまで日数が必要になります。
よって、なるべく早い段階で工事の見積りを確認し、承諾後申請を進めてもらう事をお勧めします。
水道引き込み工事の費用相場
工事費の相場
一概には言えませんが、多くの場合、大きな問題がなくても40~60万程度はかかってきます。
この工事は、敷地の形状や立地状況によってとても大きな差が出てしまうのが現状で、水道本管から敷地内までの距離が大きく影響してしまうのです。
たった、2~3mの差でも金額に影響してしまうので、相場費用に開きがあります。
工事費以外の負担金
自治体によって、名称が異なりますが、水道施設の設備費を一部負担するために、給水申込納付金(水道加入金・水道分担金など)を支払う必要があります。
金額も自治体によって異なりますが、一般的に口径が大きくなればなるほど費用は高額になります。
大凡、
- 13mm⇒3~10万円
- 20mm⇒4~20万円
- 25mm⇒10~40万円程度
となっています。埼玉県のある町では、300円という箇所もありましたし、様々なようです。
下水の引き込み
地域によりますが、下水道区域の場合は下水道管も敷地内に引き込まなければいけません。
もともと建物が建っている場合は引き込まれている可能性もありますが、新しく開発された土地や、もともと駐車場だった土地など、引き込まれていない場合もあります。
東京都の場合、下水が引き込まれていない土地だと、申請費等はかかりますが、工事にかかる費用は無償にて行ってくれます。
それ以外の地域だと、上水の引き込みと同等の費用がかかりますので、計画をたてる時には、忘れずに確認してくださいね。
引き込み工事でトラブル発生!?ケース別に紹介
私が工務店で働いていた時に遭遇したトラブルや、予期せぬ事態をいくつかご紹介します。
水道の引き込みがないって知らなかった・・
新築の計画をする時、必ず金額を予想して、見積もりとにらめっこしますよね。
住宅本体工事費以外に、
- 地盤改良費
- 照明器具
- 外構費用
- 引っ越し費用
そこに、水道の引き込み工事が入っておらず、建築会社と契約してから水道引き込み費用がかかりますと言われてしまい、慌ててしまう場合があります。
土地の購入と住宅の工事を一括して同じ会社さんで行う時は、そこまでの費用を見積もりに入れてくれていると思います。
ですが、別会社で行う際、できるだけ価格を安くみせるために含まれていない事も考えられます。
忘れずに、確認しましょう。
隣の敷地を水道管が経由していたので新しく引き込み直さなければいけない・・
水道の引き込み管は、原則、他人の敷地を通過してはいけません。
ただ、古くからある敷地の場合、経緯は不明ですが、他人の敷地を通過して自分の敷地の中に水道の引き込みがされていることがあります。
逆に、隣家の水道管が自分の敷地内を通過している場合もあります。
前者の場合、今後の事を考えて新しく引き込み直すのが無難な選択です。
代変わりしていく時に、必ず直面する問題ですし、大きなトラブルになる前にクリアにしておく事をお勧めします。
後者の場合、難しいですが、隣家の方に水道の引き込み直しをしてもらう事がベストです。
ただ、費用が発生する話になるので、次に建て替える際には配管し直してもらうよう約束しておくとか何か事前に相談しておくことも大事です。
私道に面しているため引き込み工事ができない・・
前面道路が私道の場合、私道の持ち主全員に「掘削承諾書」にサインしてもらう必要がでてきます。
これは、水道の引き込み工事だけに関わらず、ガスの工事に関してもいえることです。
すんなり、承諾書にサインをもらうことができれば良いですが、なかなか思うようにいかず時間だけが経過してしまうこともあります。
中には、承諾書にサインする代わりにお金を要求されることも、まれにあります。
新しく土地を購入する際に、前面道路が私道の場合、最初に掘削承諾書を入手できているかどうかチェックしておきましょう。
引き込みがあったが13mmなので、やり直す必要がある・・
もともと家が建っていたので、引き込みはされていると安心していたら、引き込まれている口径が13mmと小さく、20mmに引き込み直さなければいけない事態に。
13mmでも水圧が強ければ実際は問題なく利用することができるのですが、最近水道局の申請が13mmでは通らない場合があります。
そうすると、口径を大きくするために、配管のやり直し工事が発生する場合がありますので、ご注意を。
思っていたより高額になってしまった・・
前述した通り、工事費は水道本管から敷地の引き込む部分までの距離によるのです。
そのため、例えば前面道路が広くて水道本管が中央より奥のほうにあり、道路を掘る距離が長くなってしまったために、100万以上の費用がかかってしまうケースも珍しくありません。
こればかりは、見積もりをとってみないとわからないので、前面道路が幹線道路のような大きな道路の方は注意しておいたほうが良いと思います。
補助金ってある!?
前面道路に水道本管がきていない場合は、高額な費用がかかってしまいます。
ですので、補助金がでる自治体もあるのですが、全額ではなくあくまで補助的な金額です。
また、前面道路に水道本管がきている場合は、全て自費工事になります。
15年以上建築の仕事に携わっていますが、水道引き込み工事の補助金というワードは耳にした事がありません。
ただし、
- 排水設備の浄化槽
- 雨水浸透設備
に関しての補助金などはあります。
使えるものがあるか建築会社さんに詳しく聞いてみましょう。
まとめ
生活する上で、なくてはならないライフライン「水道」。
都市ガスはガス会社が負担して道路工事をしてくれますが、水道は完全に自費工事になります。
意外に忘れがちで、思っていたよりお金がかかってしまったという方も多くいます。
お金をためてから後でやろう!というものでもありませんし、やはり、計画的な新築計画をたてることが必要ですね。