住宅を新築する際に、ハウスメーカーや工務店で見積もりを貰い,目を通していると「地盤調査費」という項目を目にしませんか?
地盤調査ってそもそも何?なぜ地盤調査をしなければならないのか、調査して悪かったらどうなるのか、今回は知っているようで知らない地盤調査について説明していきたいと思います。
この記事の目次
地盤調査ってどんなことするの?工法の種類や特徴!
安全な家を建てるには、その土地の地盤に一定基準以上の強度が必要です。
軟弱な地盤だと、地盤沈下や液状化などが起きることもあり、せっかく立てた家が傾いてしまいます。 そうなると大規模改修となり大きな修繕費がかかります。
そういったことを失くすために、地盤を調査し、一定基準の強度があるか判断します。
万が一基準以下の強度でしたら、「地盤改良工事」が必要となります。
2000年に建築基準法の改正で、建築物の基礎の構造は国土交通大臣が定めた方法に従わなくてはならなくなり、厳密に言うと地盤調査自体は義務ではないのですが、施工会社は地盤を調べなくてはならなくなり、実質義務のようなものですね。
地盤調査には、数多くの種類の調査の仕方があります。
しかし、住宅の地盤調査は主に2種類のどちらかで調査を行います。その二つの工法や特徴などについて説明します。
「スウェーデン式サウンディング試験」
メリット
- 主要な地盤調査方法の中でもっとも費用が「安い」
- 調査日数が「短い」(住宅程度の大きさの場合、半日程度で終了)
- 簡易的装置のため、一人で調査可能。簡単に地盤強度を調べられる。
デメリット
- 試験結果の改ざんが容易
- 土を採取できないため、精度が低い
- 調査者の技術によって試験結果に差が生じる ※現在はほとんど全自動式で記録するため、試験結果の改ざんや調査者の技術によって差が生じることは少なくなってきています。
「ボーリング調査」
メリット
- スウェーデン式サウンディング試験よりも精度が「高い」土質試験も可能
- 調査制度が高い為、高度の工法設計が可能、地盤改良の費用を抑えることができる
- 広く普及しているため、参考地盤データが豊富に存在する
デメリット
- スウェーデン式サウンディング試験よりも費用が「高く」、期間も「長い」
簡単にまとめるとこのようになります。住宅の地盤調査はほとんどが、スウェーデン式サウンディング工法となっています。
ボーリング調査は大型物件とかに使用されますので、住宅でやるのは少々大がかりです。
予定場所が埋立地などではない限りスウェーデン式サウンディング工法で十分だと思います。
地盤調査費の費用は?相場は?負担は?
地盤調査の必要性と種類の次といえば、「値段」ですよね。
工法によって値段の変動もあるので、前項でも述べた2つの工法の相場をチェックしていきましょう。
調査コストがリーズナブルなスウェーデン式サウンディング試験で、相場は「6~10万円」、ボーリング調査では、「20~30万円」程度が相場となっています。
数千万の住宅を建てるうえでは、小さい金額だと思われがちですが、日常生活に置き換えると相当な負担ですよね。
それではその調査費を負担するのは誰なのでしょうか?
地盤改良の多くの場合「買い主負担」です
地盤調査は通常土地を購入してから買い主が行うのが一般的になっています。
しかし最近は地盤調査済みの土地として売り出す事も昔より多くなってきました。
買い主としては、リスクが高くなりますよね。
地盤調査により地盤改良が必要と判断された場合、安くても数十万、場合によっては数百万の地盤改良費が必要となります。 それにより家のグレードを落としたり、最悪家が建てられないなんて事もあるかもしれません。
まだ土地を購入されていない方は、地盤調査済みの土地を探すのも一つの手ですね。
地盤改良とは?必要な場合は?種類は?
地盤調査が終了し、基準値以上の強度が出た場合は良いですが、もし基準値を下回ったらいったいどうすればいいのか?
家は建てられないのか?
そうではなく、基準値以上の強度を出すために地盤を強くします。
それが「地盤改良」です。
地盤調査費とは別に地盤改良費がかかりますので、注意してくださいね。
現在主に用いられる宅地の地盤改良工法には2種類あります。
それぞれの地盤改良の種類と工法などを説明してみたいと思います。
「表層改良」
強度を出すために地表の土を必要なだけ漉き取り、セメントと漉き取った土をバックホウで混ぜます。
混ぜた土を漉き取った所に戻しローラーで締め固める工法です。
様々な土質に対応可能ですが、改良できる深さは地表から「2m」までと決まっています。
メリット
- 地表を固めるだけなので施工が簡単であり「短工期」
- 改良深度が‐1m程度の場合は比較的「安価」
デメリット
- 改良深度が「‐2m」が限界
- 構造物が近接する場合、土留めが必要になる
- 近隣対策で高価な飛散防止用セメントを使用する場合費用が「高く」なる
「柱状改良」
専用の重機で攪拌しながらミルクセメントを注入しながら、掘削を進めていく工法です。
現場内の土とミルクセメントを混ぜ合わせることによって、穴を掘らずにコンクリートの杭を地中に成形させます。
メリット
- 現場の土を材料とするため「比較的安価」
- 軟弱層が厚くても‐9mまで使用できる。
デメリット
- 高有機質土の場合、セメントを混ぜても固まりにくい
- 改良剤注入時の圧力により、近くの擁壁等が影響を受ける場合もある
- 柱状改良自体が、産業廃棄物、地中障害物となる恐れがある
以上の二つが最もメジャーな工法となっています。
工法の種別は専門家に任せることに越したことがないですが、自分でも調べて本当にこの工法で良いのか、無駄じゃないか、意味があるのか、など調べて問題提起することも大切です。
地盤改良の相場や単価は?
地盤改良に限らず、内装や外壁、基礎などすべて単価で計算します。
わかりやすく説明すると、外壁が500㎡あるとします。
外壁の単価が1㎡あたり10000円だとすると、500×10000で50万円となります。
ほとんどの場合職人の方々の手間賃も含まれて計算されています。
それでは地盤改良の相場はいくらなのでしょうか?
表層改良の場合、単価は一坪あたり3万円程度となります。
※地域や会社によって単価はそれぞれ異なります。
一方柱状改良の単価は一坪あたり4∼5万円となります。
そんなにしないのかと思っている方もいるでしょうが、建坪が20坪で表層改良が60万円、柱状改良が80万円∼100万円となりかなりの金額になることが容易に分かりますね。
誰に地盤調査は依頼するの?注意する点は?
それではここまで説明した地盤調査はいったい誰に依頼するのがいいのでしょうか?
ハウスメーカーさんや工務店さんの見積もりには入っていますが完全に外注で費用もそこまで金額も結果も大差ありませんので、知り合いの業者などいない限りはお任せで十分だと思います。
データ改ざんされたらどうすればなどとの心配もあるかもしれませんが、データを改ざんされ施工された場合には、建設業者に「瑕疵責任」が発生しますので安心してください。
しかし、調査費用に10万円以上の要求をする会社は要注意です。(スウェーデン式サウンディング調査の場合です)
2階建てまでならスウェーデン式サウンディング調査で十分ですので、ボーリング調査必要ありません。 この試験方法も担当者に確認しておくと安心です。
新築の地盤調査費用について大事なポイントまとめ
知っているようで知らない地盤調査について深く知ることができましたか?
地盤調査も地盤改良も新築の上で最も重要です。
ほとんどの人は一生に一度の買い物でしょうから、しっかりと安全で頑丈な建物に住むために多少値が張っても強い地盤を作り、地盤のように固い絆で結ばれた家族生活を満喫できますように。