知らないと怖い!木造住宅のメリット・デメリット(木造軸組工法)

木造住宅の5つの

1.価格

木造住宅のメリットとして最初に上げられるのは、他の構造と比較して価格が安いことでしょう。

もちろん構造材などに使用する木材の種類や寸法、産地や仕様などによって全ての木造住宅が安いとは限りませんが(オール国産無垢材の自然乾燥材使用になれば高額になります)、比較的材料が入手しやすく工期が短くてすむ木造住宅はコスト面で有利です。

以前は構造材を大工さんが加工場で1本1本手刻みしていたのに対し、近年ではほとんどがコンピーター制御された機械を使用して、あらかじめ工場でプレカットしたものを現場で組み立てるだけになったので、作業効率が更に高まって品質のバラツキも以前ほどはなくなりつつあります。

また木造の住宅は建物が軽いため、基礎工事のコストも他の工法に比べて割安になります。 一部のローコストハウスメーカーでは坪単価(床面積1坪あたりの金額)30万円代や40万円などというものもありますが、他の構造では不可能でしょう。

その他将来の修繕費用や建て替えを行う際の解体費用などの面でも、他の構造と比べて有利です。

2.豊富な施工会社

木造住宅を建築できる住宅会社、工務店はたくさんあります。

住宅会社ならどんな構造の住宅でも建築可能という訳ではなく、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は直接請け負わないという会社もたくさんあります。

しかし木造住宅は多くの会社が取り扱っています。 木造住宅を建てる場合には、数多くの施工会社の中から施工実績や評判、提案力や品質管理体制、職人の腕などを十分吟味して業者を選ぶことができます。

3.自由度の高い設計

特に木造軸組工法のメリットになりますが、基礎と土台、柱、梁さえ強度を確保できれば、間取りやデザインなどの自由度が高いのが特徴です。

また設計に自由度があるので変形地や狭小地でもプランしやすく、施工の面でも大型の重機が使用できない場所でも施工可能です。

新築時に限らずリフォーム、増改築を行う際にもメリットが多いです。

間取り変更や間仕切り壁の撤去などが比較的容易なので、将来の家族構成の変化や生活スタイルの変化にも柔軟に対応することができます。 (ただし2×4工法では対応が困難です。)

4.耐震性

木造住宅の耐震性の低さをデメリットに上げる専門家も多いのですが、私はあえてメリットとしたいと思います。

先の熊本地震では多くの木造住宅が倒壊してしまいましたが、倒壊した建物を見ると古い建物や設計、施工に問題があったと思われるものがほとんどです。

現在の建築基準法の耐震基準を守り、正しく設計・施工されたものは耐震性が著しく低いとはいえません。

確かに鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅と比較すると必ずしも耐震性が高いとはいえませんが、たとえ鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅でも品質管理が悪ければ大地震で倒壊する可能性が高まるのは同じです。

問題なのは木造住宅の耐震性能ではなく、その品質管理体制にあるのではないでしょうか。

一方木造住宅は、耐震補強を行うのも比較的容易です。 筋交いを増やす、壁に構造用合板を貼る、柱頭・柱脚に緊結金物を使用するなどにより耐震性を高めることができます。

また木造住宅は軽いので、この点でも重い建物ほど大きな揺れを受ける地震に対しては有利なはずです。

しかし熊本地震の様に建て続けに大きな地震にあった場合の耐震性には不安が残るので、これから木造住宅を建築する場合には、耐震等級3(建築基準法の1.5倍の耐震性)は是非確保したいものです。

5.断熱性・調湿性

木材は鉄やコンクリートに比べ熱伝導率が低く断熱性の高い素材です。

また、湿度を調整する機能もあるので、より快適な室内環境を実現しやすいメリットがあります。

梅雨や湿気の多い時期も快適に過ごすことができ、冬は乾燥し過ぎる事もなく、寒い時期でも床や壁に熱を奪われることが少ないです。

木造住宅のデメリットは?

ここまでは木造住宅のメリットをあげてきましたが、当然デメリットもあります。

1. 防音性

特に防音性の面では大きな不安があります。 木造住宅では生活音が漏れることも決して珍しくありません。 小さな音でも気になる人、映画鑑賞や音楽鑑賞を大音量で楽しみたい人、近所を気にせずに楽器の演奏をしたい人などには木造住宅はお奨めできません。 鉄骨造住宅も防音性は決して良いとはいえませんが、木造住宅の防音性はさらに劣ることを覚悟しないといけません。

2.自由度は限られる

一方、木造住宅は設計自由度が高いといっても、木は鉄やコンクリートと比較すると強度が劣るため、柱のない大空間の設計は困難です。 構造が比較的似ている軽量鉄骨造と比較してもこの点では不利になります。 家の一部を店舗や事務所にしたい方は、鉄骨造か鉄筋コンクリート造をお奨めします。

3.耐久性や劣化、害虫

また、木造住宅の耐久性の低さをデメリットとしてあげる人がいます。 木造住宅の寿命は約30年といわれます。 しかし30年しかもたないということではなく、平均して30年で建て替えが行われているということです。 実際に築年数100年以上の木造住宅もたくさん存在しています。 しかし木材は水分や湿気に弱いため、風雨による劣化やシロアリ等の害虫被害も鉄骨やコンクリートに比べて受けやすいのも事実です。 木造住宅では定期的な点検とメンテナンスが長持ちさせるためには特に重要になります。 計画的な修繕を行うことで、耐久性の低さは充分に補うことが可能です。 地震以外でも、台風などの自然災害による被害を他の構造よりも受けやすいのもデメリットと言えるでしょう。 しかし木造住宅では被害にあった部分の補修が容易なのは逆にメリットとなります。

4.火災による防火性

その他木造住宅は火災に弱いと言われます。 事実火災保険の保険料も他の構造と比べて割高です。 しかし他の構造でも火事で燃えないわけではありません。 木材は燃えやすいといっても、燃え尽きるまでには時間がかかります。 火事になってもすぐに倒壊してしまうことはありません。 火災にあえばどんな構造の建物でも損傷してしまいます。 安全に避難するまでの時間を十分に確保できる構造であれば、この点だけで選択肢から外れることはないと思います。

木造住宅のメリットデメリットまとめると

木造住宅は我が国の気候風土にあった住宅です。

地震や火事に弱いといわれながらも、我が国において最も実績のある建築物は木造建築なのです。

それだけに施工できる工務店、建築会社が多く、業者選択の幅が広いメリットは先に挙げましたが、反面では施工技術、品質管理能力のバラツキも大きくなる傾向があります。

震災による木造住宅の倒壊が多いのも耐震性能だけが原因ではなく、木造住宅の品質管理体制の甘さにも多くの原因があると思います。

1人の現場監督が担当する現場が10棟を超えても決して珍しいことではないのは木造住宅だけだと思います。(その分建築費は安くなるのですが。)

きちんとした設計を行い、しっかりと品質管理を行って、適切なメンテナンスを心掛ければ木造住宅でも十分な耐震性と耐久性を確保できるはずです。

また第三者機関にチェックを依頼するのも有効な対策です。

この様に木造住宅のデメリットは、正しい対策を行うことで解決可能なことが多いのです

それだけに木造住宅を建てる際の業者選びはとても重要になります。

  • 本物の「木の香り」に包まれて暮らしたい人
  • 家族に化学物質に敏感な人やアレルギー体質の人がいる人
  • とにかくローコストで家を建てたい人
  • 将来増改築を行う可能性の高い人
  • 万が一の時には例え建物に大きな被害を受けても安全に避難ができれば良い人
  • 多少の防音性の低さは我慢できる人

は、はじめに木造住宅を検討してみると良いでしょう。