今住んでいる家を建て替えよう!
思い立ったは良いものの、どこから手を付けて良いか分からない・・・。
そんな時、まずおさえておきたい大事なポイントや手順をまとめました。
「え!?そんな事も段取りが必要なの!?」・・・と、建て替えの準備は多岐にわたるのです。
この記事の目次
土地・建物についての準備
不動産名義の確認をしておこう
建て替えのとき陥りやすいトラブル上位は名義の確認不足による各種手続きのストップです。
具体的には住宅ローンや不動産登記の手続きに支障をきたす場合が多いですね。
売買で取得した土地ならば、[土地名義人=建築主]となり、各種手続きもスムーズに行えます。
しかし、建て替えの場合、“建築主の祖父名義の土地に建っている父名義の建物を建て替える”なんていう複雑なケースも。
この状況で住宅ローンを組む場合、建築主だけではなく土地名義人の祖父にも担保提供者として住宅ローンに参加してもらう必要があります。
そして、建物の名義人である父には既存建物の滅失登記が必要です。
※名義人が分からない場合は管轄の法務局で謄本(不動産の住民票のようなもの)を取得すれば分かります※
「建築主だけの名義で住宅ローンを組みたい!」
その場合、不動産の名義を建築主に変更する必要が出てきますが、不動産=財産のため、生前贈与となり贈与税など費用がかかってしまう場合も。
ここまででもかなり複雑な内容ですね・・・。でも実はまだスムーズなケースなんです。なぜなら当事者が全員揃っているからです。
さて、どういうことでしょう?
名義人が全員存命とは限りません。その場合、相続権をもつひと全員に名義変更の同意を貰わなければならないのです。
元々の名義人が何十年も前に他界しているとしたら、それだけ相続権をもつひとも増えるわけです。名義変更のため、国をまたぐなんてことも。
色々と書きましたが、まずは既存の名義人を調べ、建築会社を尋ねましょう。
住宅ローンの兼ね合いなど確認を行い、必要に応じて司法書士など専門分野の人間を紹介してくれます。
敷地の境界を確認しておこう
こちらもトラブル上位、敷地の境界問題です。
昔からの土地の場合、
- 土地に境界が明示されていない
- 測量図が曖昧
というケースが多いのです。
家を建て終わったあと、「そこ、うちの敷地なんですけど・・・」と、お隣さんに言われても、困りますよね。
そうならないため、費用はかかりますが、事前に境界確定しておくことをおすすめします。
簡単にいうと、土地家屋調査士の立ち合いのもと、対象敷地に接する全ての関係者が集まり、「この敷地とこの敷地の境界は過去資料から割り出すとココのようですが、それでよろしいか?」・・・と、一ヵ所づつ確認し、写真・文章・図面・当事者の署名などが入った書類を作成。それを法務局に届出る、といった揺るぎない敷地境界を示すものです。
ある程度建築会社が決まっているようなら、費用も分かりやすいし、資料のやり取りもしてくれるので、建築会社に紹介してもらうのがおすすめです。
そうでない場合は土地家屋調査士事務所を尋ねるのが話が早いでしょう。
現行法の確認をしてもらおう
建築の法律や条例は毎年変更されています。
それによって、昔は可能だった建築が今は出来ない、ということがざらにあります。
どの範囲で建て替え出来るか?そもそも建て替え可能なのか?
こちらは、まず建築会社に相談しましょう。
よくある例として、接する道路幅によりセットバックが発生する場合です。
関連記事:42条2項道路のポイント解説。家づくり時に確認すべき「敷地前の道路」
これにより、建築できる敷地面積が実際より小さくなってしまうケースがあります。
その他にも、地域の条例で隣地との距離が明確に決まっていたり、景観条例で外部に使えない色彩があったりなど、様々な決まり事が絡んできます。
違法建築とならないためにもしっかりと確認してもらいましょう。
上下水道の現況を知っておこう
見落としがちなこの項目。上下水道は生活していくうえで大切な設備ですよね。
昔からの上水道引込みの場合、鋼管というはがね製の水道管が主に使われています。
この鋼管、経年劣化で水漏れや錆水の原因となることがあります。
新築した家の水道からいきなり錆水がでるのは避けたいですよね。
市町村によっては、補助金がでるところもありますので、建て替えの際は引込み管の新設を一度検討しましょう。
実は水道メーターにも種類があり、それによって水圧、つまりシャワーや水道の強さが変わってきます。
収める税金も変わってくるので、この機会に検討してみましょう。
また、公共下水エリアの場合、敷地内の下水桝が大きすぎて、建て替え時に邪魔になるケースもあります。移設可能なことが多いので、確認しましょう。
その他、まれにですが自分の敷地に延びる上下水道が他人の敷地を経由していることもあります。
その場合は大がかりな手続きや工事が必要になることもあるので、工事開始前にきちんと確認しましょう。
上下水道については、専門的な分野になりますので、建築会社に確認を依頼することが基本となります。
工事中の生活の準備
仮住まいの準備
今住んでいる家を建て替える場合、工事中に住む場所が必要ですよね。
「どうせ近くに借りるし、工事がはじまる少し前でいいか・・・。」
いえいえ、仮住まい用となると以外と見つからないものですよ。
まず、工事中限定なので、短期で貸してくれるところを探さないといけません。
また、賃貸と違い、広い一戸建てからの仮住まいなので荷物もたくさん。整理するのも一大事です。
賃貸部門をもっている建築会社であれば相談にのってくれることもありますが、基本的に自分で段取りが必要です。余裕をもって準備しましょう。
引越の手配
仮住まいの場所がある程度決まっていれば、見積と日程はおさえれるので早めに準備しましょう。
引越費用は繁忙期と閑散期で振れ幅が大きいので、工期に余裕があればぜひ閑散期を狙って安くおさえましょう。
また、建築会社と提携している業者もありますので、一度尋ねてみましょう。
荷物の一時預かり
こちらは一番見落としがちな項目です。
「新築には持っていきたいものが仮住まいには入らない・・・。」
そんな時はどこか別の場所で荷物を預かってもらうしかありません。
段取りが早いのは引越業者の荷物預かりサービスを利用すること。
費用と手続きが分散しないので、シンプルで使いやすいサービスです。
注意点として、一度預けた荷物は新築への引越まで確認できないことが多いこと。
一ヵ所の大きな倉庫に様々な荷物が保管されていることがほとんどで、防犯上立ち入らせてもらえません。
土地の権利書など引越前に必要な書類もありますので、よく確認して預けましょう。
心配な場合はレンタル倉庫を借りるのもよいでしょう。
こちらは個別になっているので、好きな時に荷物の出し入れが可能です。
引越と同様、自分で段取りを行わなければいけませんが、こちらも建築会社と提携している業者もありますので、一度尋ねてみましょう。
その他工事前に必要な準備
解体工事の手配
解体工事の費用はピンキリ。
多くは建物にいたる道路幅や隣地との空きスペースなどで差がでます。
また、“安いから”という理由だけで業者を決めてしまうのはとても危険。
全ての業者がそうではありませんが、金額が安いということはそれだけ作業内容を簡略化する必要があるということ。
例えば・・・
・業者A[費用:200万円]
→解体工事中、きれいに仮囲いを行い、隣地周辺は手作業で丁寧に解体。また、ほこりが飛ばないように水をまきながら工事を行った。
・業者B[費用:150万円]
→仮囲いは行うが、ところどころシートが破れている。全て重機を使って一気に解体。作業中水はまかない。
極端ではありますが、上記のような違いで差額がでている場合もあります。
近くに隣家が無いような場所であれば、業者Bでも問題ないですが、住宅街ならそうはいきませんよね。
建築会社に手配を依頼し、解体工事中に近隣に迷惑をかける心配がないか、確認しましょう。
神棚・仏壇など神仏移設の作法
神仏の移設や、井戸を埋めるときなど、神社やお寺に相談する場合があります。
どこまでするかは、家庭ごとに異なりますので、一度家族で相談しましょう。
こちらは自分で準備しましょう。神主さんなど相談するあてが無いときは建築業者から紹介してもらうこともできますよ。
近隣への挨拶
基本的には工事前に建築会社の担当者が近隣挨拶にいってくれます。
「そもそも近隣の挨拶って何のため?」
建築工事とは、少なからず近隣に迷惑をかけてしまいます。
普段は響かない機械の音、何度も行き来する大きな車両。
なんの挨拶も無しに始めてしまうと、クレームというかたちで工事の進捗に影響することも。
なので、工事前の近隣挨拶というのは
「しばらく建築工事でご迷惑をおかけしますが、ご協力お願いしますね。」
という、ことわりを先にいれておくこと。
これにより、近隣住民の工事に対する印象はぐっと良くなるのもです。
売買土地の場合は知らない土地に新築するので、建築主の挨拶は新築後というのが一般的。
ですが、建て替えの場合、ご近所さんも見知った仲のことが多いので、自分たちで工事前の挨拶を行っておけば、より親切で印象は良くなります。
このあたりも、どこまでするのか家族で相談しましょう。
また、建築会社と別々に挨拶を行う場合、不要なトラブルを避けるためにも訪問する家を事前に確認しましょう。
まとめ
建て替えの事前準備、建築会社に頼むこと、自分たちで準備すること、たくさんありますね。
あくまでおさえておきたいポイントです。
まず行う行動としては、
“土地・建物の資料を準備して建築会社を尋ねる”
建築会社とのやりとりのなかで、上記ポイントをしっかりおさえていきましょう。