予算別!古民家の再生の費用を決める時に確認すべき6つのこと

予算別!古民家の再生の費用を決める時に確認すべき6つのこと

最近、中古の家を購入し、リノベーションをして暮らすことが人気になっています。

中でも、築100年を超えるような古民家をリノベーションすることは非常に難しく、様々なことを考慮しなければなりません。

今回は、古民家のリノベーションする際に押さえておかなければならないポイントと、どのくらいの予算が必要なのかをご紹介します。

正しい知識をもって古民家をリノベーションし、古き良き日本家屋で素敵な暮らしを実現させましょう。

1.古民家再生とは

古民家再生
引用:伝匠舎 石川工務所

古民家再生とは、現代の私たちの暮らしに合った形へ古民家をリノベーションし、今後も暮らし続けることができるようリノベーションすることです。

古民家は、現代の私たちの生活にはマッチしない部分が多くありますが、全体を壊して新しく建て替えをするのではなく、現代の技術で足りない部分を補うことによって、新築住宅には無い古民家独特の雰囲気を持った空間を作り上げることができます。

古民家について

まず、どのような住宅のことを古民家と呼ぶのでしょうか。

「古民家」と聞くと、瓦屋根や茅葺き屋根のような、ザ・日本家屋をイメージする方が多いと思いますが、実は、「古民家」には明確な定義はないのです。

一般的には、現在の木造住宅の構造とは異なった伝統工法と呼ばれる構造で建てられた住宅で、築50年以上のものを「古民家」と呼ぶことが多いようです。

事前調査が必要

古民家をリノベーションする際には、事前調査を入念にしておく必要があります。

見た目は頑丈そうでも、実は土台の木材が腐っていたり、柱が傾いていたりと、簡単には気づかない欠陥があることがあります。

事前調査を怠ってリノベーションをしてしまうと、せっかくきれいに作り変えたのに後々やり直しをしなければならなかったり、ひどい場合には家が倒れてしまったりすることがあります。

事前調査は、長く住み続けるためにどこをどのように補修する必要があるのかを見極める非常に大切なものになります。

古民家について熟知している業者に依頼

リノベーション前の事前調査は、専門知識を持った業者にしてもらいましょう。中でも、後に施工をしてもらう工務店にしてもらうのが良いでしょう。

事前調査をする業者と施工業者を分けてしまうと、実際に工事に入ってから追加で補修をしなければならない箇所が見つかったりして予想外の費用が必要になるかもしれません。

施工をしてもらう工務店に事前調査をしてもらえば、そのようなトラブルを回避できます。

また、先ほども述べましたが、現代の木造住宅の構造と古民家と呼ばれる住宅の構造は大きく異なります。

多くの古民家は伝統工法と呼ばれる構造になっていることがほとんどですので、伝統工法を熟知した工務店などの業者に依頼をしましょう。

2.古民家耐震改修について

古民家再生のプロセスの中で、多くの方が気にするポイントが、「耐震」だと思います。

「古い建物は地震に弱いのでは?」と考えている方も多いでしょう。

実際に、古民家は現代の木造住宅よりも地震に弱いのでしょうか?早速みていきましょう。

古民家の作りと現代の作りの違い

古民家は、伝統工法と呼ばれる構造で建てられていることが多いです。一方、現代の木造住宅は在来工法と呼ばれる構造で建てられています。

この2つの工法の大きな違いは、「力の受け流し方」です。

一般的に、伝統工法は地震の際に地面の動きに合わせて建物全体がゆらゆらと動くことで、力を受け流しています。

一方、在来工法は全体をしっかりと締め固めることで、地震などの大きな揺れから耐えられるように建てられています。

このように、地震などの力に対する考え方が古民家と現代の木造住宅ではまったく異なります。

部分改修と全体改修 費用

事前調査で、柱や梁、土台について、改修の必要有無を確認します。そうするとどの程度の耐震改修が必要になるのか明らかになります。

ここで問題となるのが、部分改修をするか全体改修をするのかということです。

結論から言えば、全体改修をすることをおすすめします。建物は、全体のバランスをうまくとりながらその耐震性能を維持しています。

そのため、部分的な耐震改修工事をして、一部だけが極端に強くなってしまうと、逆に全体のバランスが悪くなり、全体的な耐震性能に悪影響を及ぼす可能性があります。

特に、伝統工法と現代の在来工法は力に対する考え方が違うので、伝統工法での耐震改修をしない限り、なかなかそのバランスを保つことは難しいです。

しかし、全体改修をすると、当然ながらその費用は多くなります。また、伝統工法での施工は在来工法と比較すると3~4倍の費用がかかります。

費用と建物全体の耐震性能、この2つについて上手くバランスをとりながら耐震改修をすることが大切です。

仮に全体的に耐震改修工事をした場合、40坪程度で1000~1500万はかかるでしょう。全て伝統工法のまま補強工事をした場合は、さらに多くの費用がかかります。

基礎工事 費用

耐震改修工事の中でも、最も重要なのが基礎工事です。現代の住宅は、基礎をコンクリートで立ち上げ、その上に土台を載せています。

このようにつくると、土台が直接土に触れることなく腐食の心配も少ないです。

しかし、古民家には基礎というものが無く、石の上に直接土台が載っています。

そのため、もし土台が石から外れてしまい、土に直接触れてしまっていると腐食が進み、建物が崩れてしまうという可能性があります。

古民家の耐震改修では、土台の下に新たに基礎をつくる場合、40坪程度で1000万くらいはかかります。

基礎工事費用は、耐震改修工事の大部分を占めるといってもいいでしょう。

3.各部の工事費用について

古民家再生のために必要な工事は、耐震改修だけではありません。

もちろん、耐震改修工事は古民家再生工事の大部分を占めますが、その工事だけで快適な生活ができるかというと、そうではありません。

現代の私たちの生活は、たった10年でも変化していきます。ましてや古民家が建設された当時と比較すると、非常に大きく変化しています。

私たちが不便なく生活を送るためには、耐震改修工事以外にも、水回りや電気工事、床の張替に加えて屋根の葺き替えなど、様々な工事が必要です。

屋根の葺き替え費用

屋根は雨や風から家を守る大切な役割を果たしています。外気にさらされている分、雨や日光などの影響を直に受けるため、傷みやすい箇所でもあります。

古民家の屋根は、劣化していることがほとんどなので、全体的な葺き替え工事をする必要があります。

工事費用は、選択する屋根材によって大きく変化します。

特に、瓦屋根の場合には高額になりますが、現代の木造住宅によく扱われているガルバリウム鋼板やコロニアルの選択した場合、40坪程度の住宅で100~120万程度かかるでしょう。

電気工事費用

現代の住宅には電気は不可欠ですが、古民家が建設された当時はどの住宅もそこまで多くの電気を必要としていなかったことがほとんどですので、古民家再生工事にはゼロから電気工事をする必要があります。

40坪程度の住宅で、100万前後かかりますが、使用する照明器具によっては費用が高額になることがあります。

床張替費用

床も、私たちが快適に生活をするためには非常に大切な部分です。

古民家の床は、断熱材などで断熱処理されることなく施工されているので、床からの冷気がそのまま床材に伝わります。

そのため、古民家の床を改修する場合は単に床材を新しくするだけでなく、床下の防湿処理・断熱処理をしたうえで床を再施工する必要があります。

こうした床張り替え工事を行うには、40坪程度の住宅では100万前後かかります。

また、無垢材などの高価な床材を選択したり、床暖房を入れたりすると、その費用は大きく増加します。その他にも、

  • 改修に必要不可欠な水回りを全て改修すると500万程度
  • 断熱工事で断熱材や断熱サッシを施工すると300万程度

と、様々な費用がかかります。

4.予算別の古民家再生

予算別の古民家再生

どのくらいの予算があると、満足のいく古民家再生工事ができるのでしょうか?予算別に、どの程度の改修が可能かみていきましょう。

~2000万円

古民家再生工事には、最低でも2000万円はほしいところです。

私たちが安心して快適に過ごせるよう、必要最低限の工事をするにはこのくらいの費用がかかります。

  • 最低限の基礎工事や断熱工事
  • 屋根葺き替え工事
  • スタンダードな水回りへの改修
  • スタンダードなグレードの建材での内装工事

を行うことができるでしょう。

2000~3000万円

この程度の予算があれば、古民家再生に必要不可欠な工事に加えて、内装材や水回りをグレードアップさせることができます。

また、内装材や水回りをグレードアップしなければ、基礎周りだけでなく全体的な耐震補強もすることができるでしょう。

3000万円以上

これだけの予算があれば、耐震補強などの全体的な必要改修工事に加えて、内装材や水回りの選択肢も広がります。

建材の選択肢が限られてしまうのは、理想の住宅を考える上で非常にストレスになります。

この先何十年と住み続ける家ですから、長期的なスパンで考えて自分の気に入った建材を惜しみなく使用したいところです。

5.古民家再生 安くするには

古民家再生工事には、予想以上に費用がかかると驚かれた方も多いのではないでしょうか。

実は、古民家再生には新築の戸建住宅を建てるのと同じくらいの費用がかかるのです。

しかし、古民家をリノベーションした物件には、新築住宅には出せない雰囲気を持った空間を作り出すことができます。どこか懐かしくてホッとするような、そんな空間を作ることができるのです。

けれども、少しでも予算を抑えたいという気持ちも捨てきれません。では、どのようにすれば予算を少しでも抑えることができるのでしょうか。

できるところはDIYで

DIYが得意であれば、比較的簡単に施工できる部分はご自身でされると予算を抑えることができます。例えば、

  • 壁面は下地までの施工にしてもらい、自分で塗装をする。
  • あらかじめ棚を取り付ける予定の場所に下地を入れておいてもらい、後々自分で取り付けてみる。

このように、できることは全体の工事と比較すると小さいことですが、小さいことの積み重ねで予算を大幅に抑えることも可能です。

ランニングコストを考慮する

建材などを選択する際、その場のコストだけに意識が向いてしまい、ランニングコストのことは後回しにしてしまいがちです。

安い建材は、耐用年数が短いこともあり、短いスパンで施工をし直さなければならないこともあります。

10年、20年の長期スパンで考えると、安い建材を使用したほうがトータルコストが高額になることもあるので注意して選びましょう。

6.古民家リフォーム補助金

現在、日本国内の空き家問題が大きく取り上げられています。

国や自治体は、この対策として空き家のリフォーム工事に対して補助金を設けており、こうした補助金を上手く活用して、少しでも予算を抑えることができます。

基本的には各自治体に補助金の申請をする必要があります。地域によっては補助金を出す工事が制限されている場合があります。

それぞれの役所などに問い合わせをして、どのような工事に補助金を出してもらえるのか確認をしましょう。

また、各自治体によって補助金の予算が異なります。早めに受付を締めきってしまう自治体もあるので、注意してみておきましょう。

省エネリフォームの補助金

断熱工事やサッシの交換費用に対して出る補助金です。補助金の種類によっては、使用する断熱材などが制限されている場合もあります。

耐震補強工事の補助金

耐震補強工事は、古民家再生工事の中でも非常に高額な費用がかかります。補助金を利用して、少しでも予算を抑えたいところです。

耐震補強工事の補助金は、各自治体で予算が限られていることも多く、年に1件しか募集をしていないなんてこともあります。早めに申請をするようにしましょう。

バリアフリーリフォーム工事の補助金

住宅内の段差をなくしたり、スロープを作る、手すりを付けるなど、バリアフリー化するための工事に出される補助金です。

どのような工事がバリアフリー工事に該当するのか確認をしておくと良いでしょう。

7.まとめ

いかがでしたか。古民家再生工事には、予想以上に多くの費用がかかります。

古民家は、現代の住宅とつくり方が大きく異なります。そのため、入念な計画を立てていても着工後に予想外の追加費用がかかる場合もあります。

そのようなことを極力無くすためには、古民家リノベーション工事を熟知した工務店さんに依頼をすることをおすすめします。

専門家の判断を基に、より快適な暮らしを実現させましょう。