2019年時点で、新築で使える2大補助金のうちの1つ「ZEH(ゼロエネルギー住宅)」についてご説明いたします。(もうひとつは色々なサブカテゴリーがある低炭素住宅)
ZEHの補助金に関しては、着工する時期や条件が合えばもってこい!なので、いつ頃に新築の完成を考えられているか、から逆算して使える補助金がどんなものがあるか?を知っておくと良いでしょう。
また、国の補助金は概ね4月から予算が始まるため、年度始めに概要が発表されて年度内に終了するスケジュールのものが多いので、ここも参考にしてください。
※補正予算で秋頃に始まることもあります
まずは、
- どうやってしたらZEHになるのか?条件の話
- どうやったら補助金がもらえるか?
- ZEH住宅のメリットとデメリット
をわかりやすく説明していきます。
この記事の目次
ZEHとは?
まずZEHは、ゼロ・エネルギー・ハウスの頭文字を取ったものです。
住んでいて消費するエネルギーよりも、太陽光発電などで作り出すエネルギーの方が大きい家のことです。
勘違いしやすいポイントは、ZEH=光熱費がゼロの住宅、という勘違いですが、光熱費は通常の住宅に比較して確実に安くはなりますが、必ずしもゼロ光熱費とはならないのです。
詳細のポイントは、後ほど記載しますがここは抑えておいてください。
なぜゼロエネルギーの家を建てると補助金がもらえるのか?
一昔前に真夏に節電を呼びかける話がありましたが、要するに日本国内で電気を使う量を減らして安定的なインフラを保ちたい、という理由から、住宅で使うエネルギーが少ないうちには補助金を出して、節電してもらおうということです。
ZEHはどういう基準の住宅なのか?
簡単に説明すると以下3つの条件すべてをクリアすればZEHになります。
- 断熱性能が0.6以下の断熱性能(主に東北北海道地域は0.46以下)
- 一次エネルギー消費量を20%削減
- 太陽光発電で残りのエネルギーを相殺できる
①と②は恐らく全く意味が分からない方が多いかと思いますので、これから説明していきます。
①断熱性能の話
細かい計算の話は置いておき、
- 計画している住宅にどんな断熱材やサッシ、玄関ドアを採用するか?
- また、東西南北の外壁の面積や、屋根や床の面積を出して、家からどれだけ熱が逃げやすいか?
- 反対に熱がどれくらい入っているか?
という計算をかけて最終的に数値で性能を表します。
ただし、補助金を貰うためには、この基準より良い性能の住宅を建てないともらえません。
その基準が九州四国本州の温暖な地域は0.6以下、東北北海道他の寒冷な地域は0.46以下の性能になっています。
ですので、計画している住宅にどんな断熱材やサッシを採用して、外皮性能(UA値)が上記の基準をクリアするかどうかを、建築を検討している工務店・住宅会社に確認してみましょう。
この基準をクリアしていて初めて②にいくことができます。
②一次エネルギー消費量の20%以上削減
先程の外皮性能が出た段階で、こちらも国の定めているフォーマットに、今度はその住宅の中でどんな設備機器を使って省エネのレベルが高いかどうか、を計算する作業になります。
どれだけ断熱性能が良くても、中で20年前のエアコン使って電気の無駄遣いをしていては意味がありません。
計算で入力が必要な項目は、
- 部屋の大きさはどれくらい?
- 暖房器具は何?どのレベルの性能?
- 冷房器具は何?どのレベルの性能?
- 換気設備は何?どのレベルの性能?
- 給湯設備は何?どのレベルの性能?
- 照明器具はLED?センサーとかある?
- エネファームは導入しますか?
- 太陽光発電は何キロ設置しますか?
主には上記の内容を、それぞれ性能値などを入力していって、あなたが家を建てる地域で、あなたが計画している住宅の平米数で使うであろう基準のエネルギーから、どれだけ省エネな家になっていますか?という計算になります。
この計算をかけて、一般的に使うであろうとされる基準のエネルギー量から、2割以上設備機器が省エネにしてくれている、と言う結果が出れば第2段階はクリアします。
③太陽光発電で残りのエネルギーを相殺できるか
②で計算したエネルギーですが、基準から省エネだとしても、電気やガスなどのエネルギーは使います。
その使うエネルギーよりも、太陽光発電で作ってくれているエネルギーが大きければOKです。
だいたいですが、30~40坪ぐらいの一般的な住宅で太陽光発電を5kw搭載できればクリアすることが多いです。
なので、簡潔にまとめますと、
ZEHビルダー制度。登録していない住宅会社は補助金の申請ができない?
ZEH補助金は、どこの会社でも自由に受けれる訳では無く、ZEHビルダー制度に登録されている会社でないと補助金を受けられません。
そのため検討している住宅会社が登録しているかどうか? の確認は必要です。
ZEHビルダー制度が数年前から導入されて、登録していないビルダー(住宅会社)は補助金の申請すらできません。
ただし、2019年は申請と同時に登録もして頂けるようになったので、まだ登録していない会社であれば登録お願いしましょう。
またZEHビルダー評価制度というものがあり、国がその住宅会社がどれだけちゃんとZEHに取り組みをしているか?の指標があります。
登録だけしていても、今まで補助金採択の事業をやったことがない会社は意外と多いです。
五つ星で住宅会社自体が評価をされており、補助金を取り扱っているSii(環境共創イニシアチブ)の下記のホームページから、お住まいの地域の住宅会社がどれだけの★を獲得しているか調べることができます。
参照:http://sii.or.jp/zeh/builder/search/
ZEHのメリットとデメリット
国は2020年には新しく建築する住宅の半分をZEHにする目標を掲げています。
デメリットの方が大きい住宅でそんな目標を掲げるワケもないので、メリットの方が圧倒的に大きいのは言わずもがなですが…
唯一のデメリットとなるものは初期費用がプラスされること
最大かつ唯一のデメリットはイニシャルコストが高くなることです。
断熱性能や設備機器をグレードアップしたり、太陽光発電を設置するためイニシャルコストは当然高くなります。
ただ、メリットとしてランニングコストが安くなることが挙げられるため、このデメリットは最初にローンを組むことができさえすれば(現金の方は余分に予算があれば)、帳消しにすることができるケースが多いです。
ですので、年収や返済負担率等の問題で、借入する上限額が決まっていて、ZEHにするためにグレードアップしないといけない場合、例えば間取りを少し小さくしたり、内装インテリアや設備機器にかけるお金を削ったりすることが発生してくる可能性はあります。
ここからはメリットの話
経済産業省や環境省が発表しているZEH住宅を建てた方のアンケート集計(https://sii.or.jp/zeh29/file/doc_20171128.pdf?1215)によると、9割の方が
「光熱費が安くなった」
「エアコンなどの効きが良く快適にすごすことができる」
とのアンケート結果が出ており、概ね満足されている方が多く、 この2点のメリットがZEHの一番の魅力になります。
それと、冒頭で「光熱費ゼロとゼロエネルギーは違う」という話をしましたが、年間トータルで住宅で使うエネルギーをゼロにするのがZEHであり、厳密に見るとゼロエネルギーの定義には家電などで使うと想定されるエネルギーは含んでいません。
住宅自体の基本的な性能でゼロにする、となっているため冷暖房や換気で使うエネルギーは住宅の性能に関わりますが、例えばテレビや電子レンジのエネルギーは住宅自体の性能とは関係ないからです。
また光熱費ゼロにするためには気候条件、その月でどれだけ自分自身で電気使ったか、など複数条件があるため、毎月光熱費ゼロになるわけではありません。
ただ、通常性能の住宅に住んでいる場合と比較すれば確実に安くなっているはずです。
ZEHの初期費用とランニングコストを考えてみよう
先ほど記載した通り、
- 断熱性能の性能アップ
- サッシの性能アップ
- 設備機器の性能アップ
- 太陽光発電と周辺機器の設置分
が主には建築コストを押し上げるものです。
今の標準的に使っている各機器がどのくらいのレベルか?によって、住宅会社毎にかなりのバラツキが発生します。
今、標準的にある程度性能のいいもののを採用していれば、標準的な見積からのプラスは少ないですし、安価でスタンダードなものを採用していればアップ金額は多くなります。
一概に言えませんが、費用の目安を紹介します。
約30坪台のZEH住宅でプラスされる費用目安は200〜300万円
断熱材(元々性能が標準的なものを採用の場合) | 0円~数十万円 |
サッシ(元々性能が標準的なものを採用の場合) | 0円~100万円代 |
冷暖房機器(リビングに最新型の上位機種を導入する場合) | 30万円 |
給湯設備(元々適合しているものであれば) | 0円~数十万円 |
太陽光発電は5kwで40万円/kwとしても | 約200万円 |
と、かなり差があるもの初期費用は200~300万円以上のアップになってくることも想定されます。
しかしです。
仮に300万円の増額になっても、住宅ローンは月々1万円も上がりません。
反対に光熱費が、断熱性能が高くなった分、エアコンなどで電気を使いにくく電気代の削減につながるのと同時に、売電での振込のメリットが生まれZEHにすることにより、1万円以上のメリットが出てきます。
なので、結論としては全てに当てはまる訳では無いですが、
イニシャルコストは上がっても、月々の家計から出費するトータルのランニングコストを考えると、ランニングコストの方が安くなります。
2019年度の補助金について
2019年は、経済産業省と環境省と国交省が合同で補助金事業をしています。
最も一般的な環境省が管轄しているZEH補助金についてです。
※詳細のURL:ZEH支援事業 公募情報
まず、ZEHの補助金の額は70万円/戸になります。
3次募集まであり、
一次公募:2019年6月3日(月) ~ 2019年6月7日(金) 17:00必着
二次公募:2019年7月1日(月) ~ 2019年7月5日(金) 17:00必着
三次公募:2019年8月5日(月) ~ 2019年8月9日(金) 17:00必着
※各公募の交付決定は、
一次公募:7月24日(水)、二次公募:8月28日(水)、三次公募:9月25日(水)を
予定しています。
となっており、どれも今年度(2020年3月上旬が目処)中には最低でも建物が完成して書類の提出まで完了しないといけませんので、工期が間に合うかどうかは工務店・住宅会社に相談と確認が必要です。
この募集期間に、申請するためには、上述した①~③までの計算が終わっていて、間取りなども確定した状態でないと提出ができません。
あとは、断熱性能は規定を上回っていればOKですが、導入する設備機器に各々最低限の基準や条件が設定されていますので、明確に最終決定まで必要です。
(一旦、補助金採択されると、そのレベルを下回る設備機器の導入は不可です)
一例:
冷暖房設備:エアコンを選択していれば区分「い」の機器が主たる居室(普通はリビング)に導入。
※各メーカーの上位機種
換気設備:規定を下回る電力消費量
※各メーカーが販売している最新の換気扇は大体基準をクリアしていることが多い
給湯設備:最近はエコキュートが多いですが、年間保温給湯効率が3.3以上(メーカのカタログなどに記載されています)
照明設備:全部LED必須。最近は白熱灯等を探す方が大変ですが…
※洗面化粧台などの設備機器に内蔵されている照明は除外
計測設備:エコネットライトという規格を採用しているHEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)の導入
太陽光発電:概ね5kw以上
※計算によって必要kw数は上下します
上記の条件をクリアすれば、提出できます。
しかし、提出できたとしても必ずもらえる訳ではなく、今年度の補助金は抽選方式で決定されます。
ちなみに昨年は先着順、一昨年は性能の良い順でしたので運頼みです。
ZEH住宅まとめ
ZEH住宅について、ある程度理解できましたでしょうか。
まとめとしては、初期費用はが高くなる可能性が高いけども、それ以上のメリットがある住宅として考えてもらえると良いと思います。
個々の間取りや、建築地の気候条件で全く変わってくるため、新築を現在進行形で検討されてる方で少しでも興味が沸いたら、住宅会社にZEHにした場合のイニシャルコストの変化と、ランニングコストがどれぐらい変わってくるか、計算してもらうのも良いと思います。
補助金がもし貰えなかったとしても、それ以上にメリットが出るZEH住宅なのですから。