近年、都市部では木造3階建て住宅が増えています。
都市部のほとんどが防火地域や準防火地域で、かつては防災上の理由から木造は2階建てまでしか建てられませんでした。
ですが、昭和62年の建築基準法の改正で、準防火地域の木造3階建てが可能にな、平成4年の法改正では、防火・耐火に関する規定が大きく変わり、準防火地域に木造3階建てが建てやすくなりました。
ツーバイフォー工法やプレハブの普及、延焼を防ぐ防火材の開発などで木造住宅の構造強度や耐火性が大きくなったことが、法改正の理由の一つに挙げられます。
その結果、鉄骨造や鉄筋コンクリート造だけでなく、比較的コストの低い木造でも3階建て住宅が建てられるようになり、その可能性はたくさんあります。
ここでは、3階建の住宅を建てたい方に、その魅力や考えておくべきことを共有したいと思います。
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この記事の目次
木造住宅の3大メリットとは
鉄筋コンクリート造は頑丈なイメージがありますが、その他の部分も比較検討して、 木造住宅の良さを知ったうえで、3階建て住宅を検討しましょう。
関連記事:鉄筋コンクリート住宅を徹底解説!メリット・デメリット、知るべき注意点
1.コンクリート住宅と比較して、木造住宅は建築コストが低い
コンクリートの打設は雨の日には行えないということもあり、木造の方が建設工期が短くすみますし、家全体の重量が違うため、支える基礎が違うなどの理由です。
2.コンクリート住宅より外気温度の影響を受けにくい
コンクリートは熱伝導率が高いため外気温度の変化に影響を受けやすく、木造の方が外気温度の影響を受けにくいのです。
3.コンクリート住宅よりもカビが発生しにくい
コンクリートは吸水性が高いので、表面から水分を吸い込んで貯めやすく、カビが発生しやすいです。
納戸やあまり使わない和室などは換気・除湿に気を付けないと特にカビが発生しやすくなりますが、木造は調湿性が高く、蒸し暑さも感じにくいという良さがあります。
3階建て住宅を活かす10のアイデア
3階建て住宅とは地上階数が3の住宅であり、地下1階、地上2階建てのものは3階建て住宅とはいいません。
また鉄筋コンクリート造の半地下駐車場の上に2階建ての住居がある建物は、法律上は2階建て扱いになります。
平成12年の法改正で、ドライエリアと呼ばれる空堀を設けたり換気装置を整えれば、地下室を住居にすることができるようになったので、これらの「3層住宅」も最近増えてきました。
そこで、将来のことまで見通して3階建て住宅をよりよく暮らすためのアイデアをまとめてみました。
①フロアごとに性格を分ける
3階建てにすれば、単純に計算しても床面積は2階建ての1.5倍になります。
希望の部屋数や、ゆとりのある空間を確保できます。
3つの独立したフロアごとに「パブリック」「プライベート」など性格を分けて部屋を配置すると来客時にも難なく対応可能な住まいになります。
また、多世帯や多世代が一緒に暮らす場合も、フロア単位で分けることで独立性の高い住まいにできます。
②床面積のゆとりを利用して生活を豊かに
3階建てにしたことで生まれる床面積のゆとりを使って、
- 趣味の部屋や書斎
- ホームオフィス用のスペース
を設けると、ただ毎日を送るだけの家でなく、生活の幅が広がり、豊かに暮らせます。
必要な部屋数の他に、プラスで一つ部屋を作っておくと大変活用できます。
③ビルトインガレージを確保しましょう
土地の面積が限られている場合は、敷地内にカーポートをつくる余裕がない場合も多いですよね。
2階建ての場合などは部屋を減らしてガレージを作るしかないという事態にもなり、考えた末に結局はガレージを諦めるという方も多いのではないでしょうか。しかし、3階建てにして1階部分をビルトインガレージにすれば、必要な部屋を諦めることなくガレージの両立が可能になります。
④階段スペースを有効に使う
限られた面積の中で3階建てにすることも多く、家全体に対して階段スペースの占める比重が大きくなります。
そのスペースをたんなる上下の通路としてだけではなく、できるだけ有効に利用することを考えたいですよね。
家のど真ん中に階段がある家も多いですが、かなりのスペースを使ってしまいます。そして階段から各部屋に行くための廊下もそれぞれあり、廊下のスペースももったいないですよね。
そこで、 階段をリビングなどの室内に組み込んでしまうのも一つの方法です。
大きな空間が生まれ、無駄な廊下も減ります。家族の動きもお互いによくわかりますのでコミュニケーションも増えますね。
また、ホームパーティーなど大勢が集まるときには、階段が椅子代わりにもなりますよ。空調の効率が下がるので、階段をのぼった上の部分に引き戸を設けるなどの工夫をしましょう。
⑤収納を充実させよう
3階建ての建物では、階段下のスペースがたくさんできるので、ここを有効的に活用して収納を充実させましょう。
扉を折れ戸にすれば、扉の開閉スペースを気にする必要もありません。
また斜線制限で屋根の高さが抑えられ、3階の一部には居室としては使いにくい変形した空間ができる場合もあります。
このようなスペースも納戸やクローゼットとして収納に活用できます。
⑥居室のドアを引き戸に
部屋の出入口はドアが一般的ですが、わざわざドアを開閉するためのスペースを設ける必要が出てきますよね。
出入口を引き戸にすれば、そのスペースは必要ありません。家具などが置きやすくなりますし、空間を有効に使うことができます。
引き戸なら、開け放したり、半分だけ開けていたりすることもできて、必要に応じて風や光を通したり、空間を連続させたりもできます。
⑦採光に工夫を
密集地に建てられることの多い3階建て住宅では、採光にそれなりの工夫が必要になる場合が多いですよね。
そのポイントは上から光を入れることです。
トップライトやハイサイドライトなら、外からの視線を気にすることなく、たくさんの光を採り入れることができます。
また、敷地と建物が建っている位置を考えて、空間が開いている側からも多く光が入る設計にしましょう。
道路側などの前が開けていれば、思い切って大きな開口部を設け、床面まである縦長の窓などを使って、できるだけ多くの光を採り入れるとよいですね。
通りや、隣家からの視線が気になる場合には、一部分をすりガラスにしたり、ガラスブロックなどを使うとプライバシーも守られます。
建物の一面を窪ませて、ライトコートと呼ばれる光庭を設けて、光や風を採り入れるといった方法もあります。
⑧エレベーターやダムウェーターを使って快適に。老後のことも考えよう
3階建てで一番明るくて眺めがよくて、気持ちがよいのは3階部分ですよね。
ですが、1階との行き来が大変なので、3階にリビングを設けたり親世帯のスペースにすることは難しいと考えがちです。
また老後のことを考えると夫婦の寝室を配置するのも考えものですし、子供たちが大きくなって家を出たあとは3階は使わない階になってしまうことも予想されます。
そして3階には子供部屋や納戸、書斎などが配置されることが多いのが現状です。
しかしホームエレベーターを設置すればこのような悩みも一気に解決します。
ホームエレベーターは、開発当初は設置費用を含め小さいサイズでも400万円近くかかっていましたが、 現在は250万くらい~と大幅に価格も下がっていますので、決して手が出せないものではないので検討してみてもよいでしょう。
また、ホームエレベーターを設置するのはちょっと難しいけれど、物を持って3階まで上がるのは大変だなという方は、荷物だけ載せられる「ダムウェーター」を設置する方法があります。
これなら100万円以下で設置することも可能ですし、重い荷物を持って階段を上り下りしなくてすむので、かなり快適に暮らせます。
⑨アパート経営や、テナントを入れることもできる
立地の魅力を活かし、3階建ての1階部分を賃貸にまわすこともできるのが、3階建ての多彩な住まいかたの一つでもあります。
一部を賃貸にすることで、安定した収入が確保でき、将来の生活も安心できます。
賃貸部分にはキッチンや水回りの設備を完備するので、将来子供達が独立したあとは、階段を上り下りする必要のない1階に住んで、2、3階を賃貸にまわすというように賃貸部分を逆にさせることもできます。
2世帯で住む場合などは最初から外階段や玄関入ってすぐの階段で2階3階へ上がれるように設計することも多いので、将来はその階段をそのまま賃貸に活用することもできます。
また、商店街や繁華街に近く条件の良い土地ならば、1階を店舗として貸したり、自らお店を開くこともできます。最初からそのような希望がある場合は、玄関など出入口をあらかじめ2つ計画しておきましょう。
⑩地下室も検討しよう
高さ制限、斜線制限、容積率などの問題で地上3階建てが難しいという場合には、地上2階地下1階建てにする方法もあります。
関連記事:地下室付き一軒家の新築&増築!費用相場と作る前に知るべき7つの話
住むための居室として地下室を用いることは以前は法律で禁止されていましたが、現在は一定の防湿・防水措置が取られていれば、地下室を居室として使うことが認められています。
都市部などでは、土地を有効活用することがとても重要ですので、地下の利用を促進しようという動きもあります。
地下室は、延べ床面積の3分の1までであれば、容積として算定しないという容積率の緩和の法律があります。地下に穴を掘って建物を建てる分コストが高くなりますが、容積率の緩和を利用すれば地上3階建てにするよりも広く床面積が取れますので、検討してみてもよいでしょう。
3階建の住まいづくりのアイデアまとめ
3階建て住宅は、狭くて小さな土地でも十分な床面積が取れるうえに、3つのフロアがあるので多世帯でも快適に過ごせるので、都市部に住宅を建てたい方にも大変メリットがある住まいです。
やや住宅が密集している場所でも、採光や通風が確保できて、屋上からの見晴らしもよいというのはとても魅力的ですよね。
地下室を作って、地上に2階を設けた3層住宅も含め、便利な都心に快適に暮らすことができる3階建て住宅を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。