欠陥住宅の事例と特徴。10のポイントを抑えて未然に防ごう!

欠陥工事を防ぐための10のチェックポイント

新築マンションの耐震偽装問題は誰もが知っている大事件ですよね。

戸建て住宅も、多くの方が欠陥住宅に悩まされているのが現状です。

大手住宅メーカーでさえも、マスコミに掲載されるようなとんでもない欠陥住宅を建てて、欠陥を指摘しても不誠実な対応で、裁判になっているケースもあるくらいです。

つまり、大手だからといって安心は全くできないのが実情です。

下請け業者に安く工事を請け負わせて、現場監督もいい加減な監理では、一生に一度の夢のマイホームのはずが、住めない家になってしまいます。

「では、欠陥住宅を建てられて泣き寝入りしないためにはどうしたらよいでしょうか?」

多少なりにも知識を身に着けて、施工中から自分でも確認できるようにしたいものですね。

ここでは、欠陥住宅の特徴や事例、自分でできるチェック項目をまとめてみました。

そもそも欠陥住宅とはどんなもの?

欠陥住宅とは
住宅が最低限備えるべきである、建物の構造、防火、耐火、安全性などの重要な性能や、雨漏り、床や壁の傾斜などの基本的な使用性能が欠落している住宅のことを指します。

軽度の補修でなおるものではなく、重大な不具合であり、不便であるため、住み続けることが非常に苦痛で困難な状態です。

欠陥は、

  • 直接症状が出て弊害が出ている場合
  • 具体的には症状が無いですが、見えない部分で性能が欠落していて、将来不具合が発生する可能性が高いもの

に分けられます。

代表的な欠陥住宅の事例を一覧紹介

具体的な弊害が出る欠陥

  • 床や壁、柱が著しく傾いている
  • 雨漏りがする
  • 断熱、気密材の施工不良により、多量の結露が発生
  • 給気口の位置が悪く、換気量が常に不足している居室がある
  • 基礎が局部的に大きく沈んでいる

症状は出ていないが将来不具合が発生する可能性の高い欠陥

  • 地盤調査が十分でない
  • 構造用合板の規格や、打ち付ける釘、長さ、打ち付け間隔が基準に適合していないため、強い地震に耐えられない
  • 筋違いが不足、接合金物が適切に設置されていないため、強い地震に耐えられない
  • 基礎の鉄筋コンクリートのかぶり厚さが足りないため、コンクリートの中性化に伴い、鉄筋錆膨張による基礎爆裂現象が早まる可能性がある
  • 基礎の根入れ深さが、地盤の凍結深度に達していないため、凍上作用によって基礎が持ち上げられて建物が傾いたり、独立基礎のた抜け上り等が起こりやすくなる
  • 床下地盤面の防湿不良によって断熱受合板に白カビが発生し、シックハウスに
  • 土台などに防腐防蟻の措置がされていない
  • 準耐火構造にする必要がある部分の違反建築により、火災時に基準より耐えられない

などが挙げられます。

軽微な不具合から垣間見える工事不良

壁紙のズレやはがれ、建具の立て付け不良、巾木の接着不良、階段の蹴込と踏板の隙間、タイルの張り方などの不具合からも、職人や工事監督者の技術や建物に対する思いがどの程度のものなのかが垣間見えるものです。

小さな不具合がいくつもあるということは、見えない部分にはもっと重大な欠陥があるまま施工されてしまっている可能性も十分にあると考えた方がいいかもしれません。

欠陥工事を防ぐための10のポイント

では、家を建てる方はどのようなことができるのでしょうか?

欠陥住宅や手抜き工事を防ぐためには、完成したあとよりも契約段階や工事期間でのチェックがとても重要です。

初めての家づくりではわからないことだらけだと思いますが、人任せにせずに自分の目で納得がいくまでチェックする姿勢が大切です。

しかし詳しい建築のことはなかなかわからないという方も多いと思います。

どのようなことに気を付ければよいのか知りたいですよね。

次に、欠陥工事にならないための自分でできるチェックポイントをまとめてみました。

まずは抑えておきたい2つのポイント

設計図を現場に持参しよう

設計図は読むのが難しいとあきらめずに、読みづらい部分は説明を受けて、きちんと理解しておきましょう。

そして施主が設計図を持って現場にまめに足を運べば、現場の作業も慎重になるものです。

また、万が一トラブルが生じて、契約内容に問題が生じた場合にどうするかが記載されている契約借款も、きちんとそろっているか確認し、必ず内容にも目を通しておくと安心ですね。

法律を知っておく

家族の大切な住まいを守り、欠陥住宅を生み出さないために、消費者を守る法律について知っておくと、いざという時に役立ちます。

トラブルが起きた時に泣き寝入りしないためにもしっかり勉強しましょう。

住宅瑕疵担保履行法

欠陥住宅を予防してわかりやすい性能表示をするためのルールがまとめられている「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(通称「品確法」)に基づいて、新築住宅の売主等は、住宅の主要構造部分の瑕疵について10年間の瑕疵担保責任を負うこととされています。

しかし、構造計算書偽装問題をきっかけに、売主等が倒産してしまったり瑕疵担保責任を十分に果たすことができない場合、住宅購入者等が非常に困窮する状況になることが明らかになりました。

このため、住宅購入者の利益保護のため、平成19年に「住宅瑕疵担保履行法」が成立、平成21年10月1日に施行されます。

新築住宅の施工会社等や売主に万が一のことがあっても瑕疵担保責任の履行を行えるよう、保険への加入または保証金の供託が義務付けられます。(平成21年9月30日までに引き渡される住宅に関しては、住宅瑕疵担保履行法の適用外です。)

欠陥工事を防ぐための10のチェックポイント

契約を済ませて工事がスタートしたら、できるだけこまめに現場をチェックします。

現場に行くときは必ず建築過程の写真を撮っておきましょう。

万が一トラブルが生じた時に役立つ可能性もありますし、写真を撮られることで施工者にも緊張感を与えられます。

初心者の方は何を、どこを、どのようにチェックすればよいのか、なかなかわかりにくいと思いますので、ここに工事内容について10のポイントをまとめました。現場で図面を見ながらチェックしてみましょう。

1.地盤

土地を購入する前に、地盤の状況についても確認しましょう。

軟弱な地盤の場合、建物が徐々に沈んでしまい、家の傾きや壁のひび割れの原因になる可能性があります。

特に水路が近い地域や、低地は要チェックです。

専門業者に地盤の調査を依頼する方法もあります。調査結果によっては補強工事が必要になる場合もありますので相談してみると安心ですね。

関連記事:新築の地盤調査費用について大事なポイントを解説

2.基礎工事

住宅の基礎は逆T字型のコンクリートを土台の形に合わせて連ねる「布基礎」と、地盤一面にコンクリートを打つ「ベタ基礎」が一般的です。

地盤の形状や土地の質に合わせた工法を選びます。

布基礎の場合、工事中は仮枠をつけずにコンクリートを流していないかもチェックするとよいでしょう。

工期を短縮するために雨の日に無理に工事をしていないか、図面通りか、現場に足を運んで確認すると安心です。

3.土台

基礎と土台を固定するアンカーボルトをチェックします。

ボルトの数や位置は図面通りか、きちんと基礎部分に25cm以上埋め込まれているかを確認しましょう。

また、継ぎ目を安定させるためのナットの締め忘れがないか、構造材と土台の継ぎ目がホゾで十分つながれているか、換気や防腐処理、防アリ処理がきちんとされているかなども確認できるとよいですね。

4.骨組み

2×4工法やパネル工法の場合、パネルが基準通りの寸法と材質か、枠のクギ止めは適切かなどの品質をチェックしましょう。

接合の具合や床が水平に組まれているかも点検するとよいですね。

木造軸組み工法の場合は、筋違いの配置や補強金物がポイントになります。

設計内容の変更がないか、寸法不足の木材をつないでいないかもチェックしましょう。

5.小屋裏

小屋裏の通気や断熱材の処理は、住まいの快適性に大きく影響します。

換気口は設計図通りの位置にあるかどうかがポイントになります。

住宅金融支援機構(フラット35融資)の条件通り2ケ所以上設置されていても、位置が悪くて空気の流れがふさがれてしまうこともあります。

断熱材についても、厚さや必要な位置に入っているか、入れ方にムラがないかなどを確認してみましょう。

6.断熱材

断熱材の量や厚さ、充てんすべき場所については、内断熱工法なのか外断熱工法なのかや、使用する建材、建てる地域によって異なります。

図面の段階できちんと適正かどうかを確認しておくとよいですね。

工事が始まったら、すき間がないかを重点的にチェックしましょう。湿気を含んでしまわないよう雨の日の作業や保存状況にも十分に注意をする必要があります。

7.建具

建具に寸法の調整ミスや部材自体のゆがみや反りなどがあると、家の完成後も不便で快適性を損ないます。

細かい建てつけについては竣工検査の時にチェックされますが、工事中に現場に足を運んだ時にも開閉してみるなどして、動きを確認しておくとよいでしょう。

また、光の取り込み方は、建物内にいる人にとってとても重要です。

窓のイメージが違った、天窓やあかり窓が必要だった、などと完成してから悔いが出ないようにこまめに現場で確認しておくとよいですね。

8.内装

内装の決め手は下地材です。

石膏ボードが平らに張られていないと壁紙を張る時に凹凸ができてしまいます。

室内の見た目に直接影響が出てしまいますので、十分に注意してチェックしたいところです。

また、十分な厚みであるか、すき間がないか、しっかりクギ打ちされているかを確認できるとよいですね。

それでも壁紙によじれやシワができる時は、家のゆがみが原因であるケースもあります。

また開口部の位置や大きさについても図面と照らし合わせながら確認しましょう。

9.外装

外装の事故で多いのはひび割れやはく離、落下などです。

吹き付け仕上げの場合は塗装に技術が必要とされます。職人の腕によっては塗りむらができてしまうこともあります。

塗り厚が薄いと水分が侵入しやすくなるので、吹き付け後の変化をよく見ておくとよいでしょう。

また、ローラー工法の場合など、厚塗りしすぎると、はく離のリスクが生じますので、適度な厚さで塗布することが大事です。

サイディング仕上げの場合は下地がしっかり固定されているかをチェックします。

また、壁内部の通気の仕組みについても説明を受けておき、図面通りであるか確認しましょう。

10.屋根

欠陥住宅に多いのが「雨漏り」です。

雨漏りを防ぐために、屋根は図面通りの勾配か、屋根裏に張られる防水紙(アスファルトルーフィング等)はしわなく張られ、図面通りの重ね目できちんととめられているかをできれば確認したいところです。

特に積雪地域では、屋根勾配・流れ長さが地域に適した設計基準になっていないと、雪の重みで家が損傷する可能性もあります。

また、棟木や垂木が図面通り配されているかもチェックポイントです。瓦やスレートなどの屋根材にキズや割れがないかもチェックしましょう。

欠陥住宅を防ぐ対策についてのまとめ

欠陥工事や手抜き工事を防ぐための基本は、業者任せにせずに、自分で関心を持って現場にチェックに行く姿勢です。

もちろん施主のほとんどは家づくりが初めてですので、建築の詳しいことがわからず、初めて聞く用語も多いですよね。

でも自分の家に興味を持って、契約に責任を持つと、自分の家は自分がチェックしなければという気持ちになります。

特に基礎工事、土台、骨組みに関しては、完成してしまってからでは取り返しのつかない、耐震性能に直結する非常に重要なポイントですのでしっかり確認したいですね。

図面をよく読みこんで、現場でわからないことや疑問があれば工事管理者に質問してみましょう。

後悔しない、納得のいく、素敵な我が家になるように、完成までの間、できるだけ現場に行き自分の家をチェックしましょう!