パッシブハウス の3つの特徴とメリット・デメリット。坪単価は60〜80万円

パッシブハウスは、住む人が自然と共存しながら快適に過ごせるように設計された家のことをいいます。

家の中を快適にするだけでなく、省エネ効果も期待でき、日本でもパッシブハウスを建てる人が年々増えています。

これから家づくりを検討される方やパッシブデザインに興味がある方のために、パッシブデザインの3つの特徴と坪単価についてご紹介いたします。

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パッシブハウスとは?メリットデメリットはある?

パッシブハウスとは、自然にあるものを取り入れながら長く快適に過ごせる家のことです。

パッシブハウス・ジャパン代表の建築家・森みわさんによって日本に伝えられ、パッシブハウスの考え方は徐々に全国に広まりつつあります。

しかし、ただ家の造りが良ければパッシブハウスとは言えません。

ここではパッシブハウスのメリット・デメリットや最大の特徴、坪単価についてご紹介します。

将来、パッシブハウスを建てたい方は是非これからご紹介することをふまえ、家づくり計画を立ててくださいね。

パッシブハウスのメリットとは?

パッシブハウスには下記のようなメリットがあります。

  • 夏は涼しく、冬は暖かく、一年中快適に過ごせる
  • 高気密高断熱住宅なので冷暖房効率が良く、光熱費が抑えられる
  • 建物内の温度を一定に保てるので、健康に良い(ヒートショックなどを防げる)

日本の伝統的な家は夏暑く、冬は寒いという欠点があります。

そのため、冬になると家の中は冷え込み、ヒートショックで死亡する人が非常に多いのです。

これは、交通事故で死亡する人よりも倍以上に多く、近年でも問題視されています。

パッシブハウスはそんな日本の家の欠点を減らし、家の中で快適に過ごせるように設計されています。

特に高気密高断熱住宅であることはパッシブハウス最大の特徴であり、長くその家で健康で快適に過ごすために必要な要素の1つでもあります。

パッシブハウスのデメリット

万能のように思えるパッシブハウスですが、デメリットもあります。

なんと言っても「価格が高い」ことです。

たくさんのメリットがあり、これから長く健康で快適に過ごすためには高性能な住宅に住むのが良いことは、これから家を建てる方も十分にわかっているでしょう。

しかし、パッシブハウスを設計するためには、材料や部材も高性能のものが必要になってきます。

ローコストで家を建てたい方には手が届かないのがパッシブハウスのデメリットになります。

パッシブハウスで押さえるべき5つの特徴

パッシブハウスを設計するには以下の5つのポイントに必ず注目しなければなりません。

  1. 断熱
  2. 日射遮蔽
  3. 通風
  4. 昼光利用
  5. 日射熱利用暖房

パッシブハウスの設計者は、上記の5つのポイントを建物に適切に取り込み、土地や周辺環境の問題点をひとつひとつ解決して快適な建物を設計することが求められます。

これらのポイントを達成することで、パッシブハウスにはある特徴が見えてきます。

その主な特徴を3つご紹介します。

室内を常に快適温度に保つための高性能な窓を採用

パッシブハウスでは、南面に大きな掃き出し窓を取り入れています。

これは、冬に南面から太陽の光を部屋に入れることを考慮し、自然の暖房機器の役割を果たしているのです。

また、北側で建物の最も高い位置には高所窓を設け、夏にはその窓を開けることで家にこもった熱気を自然の力で外に出す排熱の役を担います。

さらに、縦滑り窓を建物に多く取り入れることで、縦滑り窓がウインドキャッチャーとして活躍します。

ウインドキャッチャーとは、名前の通り自然風を家の中に引き込むためのもので、縦滑り窓はウインドキャッチャーとして最適な形をした窓なのです。

このように建物の東西南北に最適な窓をデザインして、パッシブハウスを設計します。

またこれらの窓は高性能であることが求められ、パッシブハウスに適している窓は複層ガラスやトリプルガラスです。

気密性が高く、断熱性能が高い窓ほど、パッシブハウスには適しています。

年中快適に過ごすために室内への陽の入りを調整できる庇の採用

南面に大きな掃き出し窓を採用すると、夏の暑い日差しがそのまま家の中に入ってしまう恐れがあります。

家の中に暑い日差しが入ると家を温めてしまい、エアコンを強くかけなければ冷やせないという可能性も出るでしょう。

このような場合は光熱費が上がってしまい省エネにはなりません。

パッシブハウスでは、夏場の陽の入りを調整できる丁度いい寸法の庇を各窓に取り付けています。

また、南面の大きな窓は、庇の他にも夏の暑さを乗り越えるために外付けブラインドを設置することで快適なパッシブハウス を実現できます。

ですが外付けブラインドは30万以上する高額な部材のため、なかなか取り入れるのが難しいものでもあります。
ですが、オーニングやのれん、グリーンカーテンなど、住む人の工夫によって陽の入りを調整して夏の暑さを乗り越える方法もあります。

パッシブハウスは住む人が工夫しながら過ごすことで、さらに住みやすくなっていくのです。

熱交換換気システムが家の中を快適に

パッシブハウスでは、窓や庇の他にも換気システムに注目する必要があります。

一般的によく使われている換気は、室内の空気の排気は換気扇を使用し家の中への吸気は吸気口から自然に取り入れる仕組みの「第三種換気」が使われます。

しかし、パッシブハウスでこの第三種換気を採用するとせっかく家の中で調整した快適な室温を外に逃してしまうことになります。

これを防ぐために、パッシブハウスでは吸気も排気も機械の力で行う「第一種換気」で、さらに「熱交換」タイプの換気システムを採用していることが多いです。

熱交換換気システムは、室内の空気の熱を外から取り入れた空気に伝達して取り入れることができるシステムです。

これにより、室内で調整した室温が崩れる心配がなく、省エネ効果も期待されています。

室内の温度を一定に保ちながら新鮮な空気を外から取り入れるには、熱交換換気システムは必須アイテムと言えるでしょう。

パッシブハウスの坪単価はいくら?

工務店や構造の仕様、建物の大きさによっても異なりますが、坪単価は60〜80万円となります。

パッシブデザインは、上述した特徴やポイントを抑えるため仕様に抜かりがありません。

そのためどうしても坪単価が上がってしまうため、どうしても坪単価が一般的な建物よりも数倍高くなってしまっているのです。

まとめ

パッシブハウスは高額ですが、その反面メリットが非常に多く、建てて損はしない家ではないでしょうか。

パッシブハウスは、家そのものが高性能であり、自然エネルギーをうまく利用することで快適な生活が送れるように設計されています。

しかし、パッシブハウスの意味をきちんと理解せずに「高性能住宅」を謳っている工務店やメーカーも世の中には存在します。

そのため、パッシブハウスの快適さを期待して家を建てたのに、期待外れの性能だったということが起こる恐れもあるのです。

これから家を建てる方で、パッシブハウスに興味がある方は、依頼する工務店やメーカーがきちんとパッシブハウスを理解しているかを見極める必要が出てきます。

そのためにも、今回説明したパッシブハウスの5つのポイントや3つの特徴、メリットデメリットを把握して業者選びをしていきましょう。