ツーバイシックス(2×6)工法の特徴のメリット・デメリット総まとめ

ツーバイシックス(2×6)工法の特徴のメリット・デメリット総まとめ

これから家づくりを始められる方にとっては、家を建てるためのあらゆる工法の特徴やメリットとデメリットを把握した上で、どのような選択肢で家を建てていくかを慎重に考えていきたいですよね。

今回はそうした様々な家の作り方のうちの一つである「ツーバイシックス工法」についてご紹介していきたいと思います。

戸建て住宅の工法として最近徐々に増えてきている「ツーバイシックス工法」ですが、「何となく聞いたことがある」という方もいらっしゃれば、「ツーバイフォー工法も聞いたことがあるけれど、そもそもどう違うの?」という疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。

本記事を参考にしていただくことによって、ツーバイシックス工法とはどのようなものなのかがしっかりと理解できると思いますので、これから家づくりを始められる方はぜひご一読の上、ご自身の家づくりの選択肢としてご検討いただければと思います。

ツーバイフォーとツーバイシックスの違いを理解しよう

まずツーバイフォー工法とは

ではまずはじめに、ツーバイフォー工法についてご説明します。

ツーバイフォー工法は別名「木造枠組壁工法」と呼ばれており、断面寸法が2インチ×4インチの角材を使用していきます。

1インチ=2.54センチなので、サイズとしては5.08センチ×10.16センチの角材になります。

「ツーバイ材」と呼ばれるこの部材を使って骨組みを作り、この骨組みに対して構造用合板を留めつけていって、壁・床を構成していく工法です。

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部材断面のサイズが工法の名前になっている感じですね。

もともとは19世紀アメリカで生まれた工法で、日本においては1974年に三井ホームによって導入されたのが始まりであると言われています。

ツーバイシックス工法は2×6インチの部材を使う

そして次に、ツーバイシックス工法とは何か。

先ほどのツーバイフォー工法が2インチ×4インチの部材を使用するのに対して、2インチ×6インチの部材を使用するという違いです。

ツーバイフォーとツーバイシックスの違い

よって、いずれも木造枠組壁工法の一種ということになります。

もともとのツーバイフォー工法が持つメリットをさらにパワーアップさせて、住宅メーカーが近年徐々に力を入れ始めたことによってツーバイシックス工法が普及し始めていると言えるでしょう。

ツーバイシックス工法を採用するメリットは?

①耐震性

フレームに構造用合板を打ち付けることによって家が構成されるので、建物の剛性が増し、地震に対してがっちりと耐えることができ、揺れにくいと言われています。

特に、ツーバイフォー工法に比べてツーバイシックス工法は部材断面が大きくなっているので、地震の揺れに対する強度は大きくなると言えるでしょう。

②断熱性・気密性

ツーバイフォー工法よりもツーバイシックス工法の方が壁厚が大きくなるので、より厚みの大きい断熱材を壁体内に詰め込むことができ、断熱性能はその分大きくなると言えるでしょう。

ツーバイシックスは断熱材を厚くできる

また、構造用合板を打ち付けてしっかりと家を囲むことができるのでスキマが生じにくく、空気の出入りも少なくなります。

このように、断熱性・気密性が向上することによって空調費用を抑えることができ、ランニングコストを削減することができるというメリットは大きいと言えるでしょう。

また、気密性の高さは防音性にも一定の効果が期待できるといわれています。

③工期短縮

日本では古くから「木造軸組工法(在来工法)」が主流でして、今でも戸建て木造住宅の多くは木造軸組工法によって作られています。

ツーバイフォー、ツーバイシックスなどのような木造枠組工法が、ツーバイ材に構造用合板を打ち付けた「面」で構造躯体を構成するのに対して、木造軸組工法は柱と梁で組まれた「フレーム」で構造躯体を構成します。

そして、一般的にこのような木造軸組工法に比べると、木造枠組壁工法は比較的施工が容易で、工期的にも短期間で施工可能というメリットがあります。

工期が短縮されたり、大工さんの手間が省けることによって、全体的な工事費用も下がりやすい傾向にあります。

部材のサイズ的にツーバイフォーよりもツーバイシックスのほうがコストは上がってきますが、それでも木造軸組工法よりも木造枠組壁工法(ツーバイフォー、ツーバイシックス)の方が、費用は抑えやすいと言えるでしょう。

また、昨今の建築業界においては、職人さんが不足しつつある状況で、今後もこの状況はさらに深刻化していくことが予想されます。

木造軸組工法が熟練を要する工法で、木造枠組工法が比較的容易な施工性であることを踏まえると、今後両者の価格差の広がりが生じてくるかもしれませんね。

ツーバイシックス工法にはデメリットもある。知っておこう

①可変性に乏しい

ツーバイシックス工法のデメリットとして特に重要なのが間取りの可変性に乏しいという点と言えるでしょう。

これについては、ツーバイフォー工法の場合も同様です。

いずれもツーバイ材のフレームに構造用合板を打ち付けますが、この打ち付けられた「面」が構造躯体として重要な役割を果たすので、将来的に壁をぶち抜いて大きな空間するという対応が基本的には難しいです。

ツーバイシックスは可変性が低い

将来的に間取りの変更やリフォームの可能性が考えられる場合は、前述の木造軸組工法を選択しておいた方が、間取りの自由度も高いので賢明かもしれませんね。

②大きな開口部をつくりにくい

これについてもやはり構造的な制約に起因するデメリットです。

壁が構造上重要な役割を果たす枠組壁工法においては、大きな窓を設けるのが難しくなりがちです。

リビングに大きな掃き出し窓を設けて開放的な空間を作ろうとしたときに、窓の大きさや位置に制約があって実現が難しい、というようなことも生じます。

大きな窓に関しては、木造軸組工法のほうが比較的計画しやすいと言えるでしょう。

③結露が生じやすい。カビやダニのリスクも

近年では高気密・高断熱の家を売りにする住宅会社も増えてきますが、ツーバイフォー・ツーバイシックス共に、メリットとして前述したように隙間なくパネルで囲っていくことによって高気密の住宅が出来上がります。

しかし、高気密であるということは裏を返せば、通気性を確保しづらいということになります。

高気密・高断熱であることによって、建物内外の温度差によって壁体内結露が生じやすい、さらに、生じた結露が高気密によってなかなか解消されない。

この流れでカビ・ダニが発生する環境が形成されやすいという点は注意すべきデメリットの一つです。

結局どの工法がいいのか?

木造戸建て住宅を建てる場合、

  1. まずは軸組工法と枠組壁工法のどちらで建てるか
  2. もし後者を選択する場合は、ツーバイフォー工法にするかツーバイシックス工法にするか

といった流れで考えていく形になると思います。

予算を極力抑えていきたいという意向で枠組壁工法を選択される方もいらっしゃいます。

また、将来的な間取り変更を見据えたフレキシブルな計画にしたいというご要望で軸組工法を選択される方もいらっしゃいます。

あるいは、とにかく断熱性・気密性を徹底的に求めていきたいという考え方もあり、千差万別です。

本記事でご紹介したメリット・デメリットとご自身の考え方やライフスタイルを照らし合わせていただきながら、どの選択肢が最も適しているのかを慎重に検討しましょう。

まとめ

今回はツーバイシックス工法の特徴とメリット・デメリットをご説明させていただきましたが、軸組工法、枠組壁構造、ツーバイフォー、ツーバイシックスそれぞれの違いを正確に理解した上で、工法を選択することが重要であると言えます。

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