地鎮祭や上棟式など、家づくりの儀式を詳しく解説!

家づくりには、地鎮祭上棟式などの儀式があり、さらに職人さんたちとのお付き合いや、近所へのあいさつなど、初めてのことだらけでどうしたらよいのかわからないことも多いですよね。

そこで、儀式はどのような流れで行われるのかや、どんなタイミングで行えばよいのかを詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

地鎮祭はいつ誰がどうやって行う?

新築の家づくりがスタートする前に、工事の無事進行・完了と、土地や建物の末長い安全を祈願して土地を祓い清めるのが地鎮祭です。

最近では簡略化する傾向にあるとはいえ、実際には多くの方がやはり行っているようです。

地鎮祭を実施するかどうかは施主が決めることですが、 工事に参加する職人さんたちの心情や地域での慣習もふまえて、施工者とも相談して決めるとよいでしょう。

また、住宅にまつわる地鎮祭は、神式で執り行うことが一般的です。

地域の神社に依頼して、神主さんに来ていただきます。

整地が終わったあとの大安、先勝、友引などの吉日を選んで、施主とその家族、設計者、棟梁と職人さんなど、工事に携わる方全員が参加して午前中に30分ほど行います。

地鎮祭ってどんなことをするの?

地鎮祭は、整地が終わって工事が始まる前に行います。

それでは地鎮祭の流れをみていきましょう。

①修祓(しゅうふつ)の儀式/降神の儀

参加者一同軽く頭を下げて、神主さんのお祓いを受けます。

②献饌(けんせん)の儀

お供え物をした証として、神主さんが瓶子(へいし…細長く口の狭い瓶)のふたを取り、中のお神酒を盛り土にかけて清めます。

③祝詞奏上

神主さんが祝詞を献上することにより、神さまが榊に降りてきます。

※日時や施工者の名前などをあらかじめ神主さんに伝えておくと、祝詞に盛り込んでもらえます。

④四方祓の儀

祭場四方の敷地を大麻で祓ったり、半紙と麻を切って作った切麻(きりぬさ)などを撒き、祓い清めます。

⑤刈初めの儀/穿(うがち)初めの儀

起工の行事であり、設計者が鎌を持ち、盛り土の上に生えた草を刈るしぐさを行います。

続いて施主が鍬で盛り土を掘るしぐさを、施工者は盛り土をすくうしぐさを行います。それぞれ3回ずつ繰り返します。神さまに工事の開始を奉告します。

⑥玉串奉奠(たまぐしほうてん)

神主さんから玉串を受け取り、神前に捧げ、二拝二拍一拝します。施主→施主の家族→設計者→棟梁の順で行います。

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⑦撤饌(てっせん)

神主さんがお供え物を下げるために、瓶子のふたをしめます。

⑧昇神の儀

参列者全員頭を下げておきます。神様に戻っていただくので、神主さんが再び祝詞を奏上します。これで儀式は終了です。

⑨神酒拝戴(おみきはいたい)

儀式が終わったらお酒と酒肴がふるまわれるので、参加者全員でお祝いをします。

これらが一般的な地鎮祭の流れです。地方の風習や神社、施工会社によっても内容は異なりますので、事前に確認しましょう。

儀式に使う鍬(くわ)や鋤(すき)、お神酒などは施工者が用意するのが一般的ですので、施主は神主さんへの謝礼を用意します。

だいたい謝礼の相場は2~5万円です。職人さんたちへのご祝儀は、上棟式を行うならその時に渡すのが一般的です(木造に多い傾向があります)。

もしも上棟式をやらない場合は地鎮祭の時に渡しましょう(木造以外の建築に多い傾向があります)。

特に決まりはありませんので、業者の担当者に相談してみるとよいでしょう。

ご祝儀を渡す場合は、棟梁やとび頭に1万5千円程度、ほかの職人さんたちには5千円程度が目安です。

上棟式を行う目的やタイミングは?

上棟式は、土台の上に柱を建て、梁や桁などをのせながら骨組みを組み立てた後、棟木(むなぎ…屋根の一番高いところに取り付ける横木)を組み上げる時に行います。

これは職人さんたちへのねぎらいと、今後の工事の無事を祈願することが目的です。それと同時に、施主にとっては図面でしか見ていなかったわが家の実際の形が見えてくる胸の高鳴る瞬間であり、大工にとっても大きな節目となるひとつの工程です。

最近はあまり行われなくなりましたが、無事に工事が進んだことへの感謝と、完成を祈願する儀式ということの他に、つくりて側と施主側との親睦を深めたり、職人さん、工事関係者へのねぎらうためにも重要といえます。

実施するかどうかは施主が決めることですが、現場の職人さんたちとコミュニケーションをはかるいい機会ですよ。

本来は地鎮祭のように神主さんに依頼して行う儀式でしたが、最近では棟梁がとり行う方が一般的となっているようです。

地鎮祭と同じく吉日を選んで行います。ただ、工事日程の都合で施工者側が実施を希望しない場合もありますので、あらかじめ確認しておくとよいですね。

上棟式で「やること」と「祝儀相場」

まずは、基本的な流れを紹介すると、

  1. 棟梁の手で魔除けの幣串(へいぐし…麻や木綿をかけたお祓い用の串)を鬼門の方向に向けて立て、棟木の端の支柱にしばりつけます。
  2. 家の骨組みに板などを渡して祭壇を設置します。お神酒や洗米、塩、穀物などをそこに供えます。
  3. 棟梁は祭壇に二拝二拍一拝し、洗米と塩、お神酒を四隅の柱の根元などにまいていきます。
  4. 残りのお神酒を参加者全員の盃につぎ分け、乾杯します。その後祝宴へと移行します。
  5. 施主のあいさつ、棟梁や工事関係者によるあいさつ
  6. 施主から棟梁・工事関係者へのご祝儀を渡します。
  7. 手締めを行い、お開きとなります。

以上の流れが一般的な上棟式ですが、こちらも地鎮祭と同様に地方の風習や神社、施工会社によっても内容が異なることもあるので、事前に確認しておくと安心です。

祝宴を開く時は、通常お料理やお酒などを施主側で用意します。

上棟式の祝儀相場について

工事関係者へのご祝儀を渡す場合の相場は、棟梁やとび頭には2万円程度、そのほかの職人さんたちには5千円程度が目安です。

金額や渡す人数、タイミングについては勝手に判断せずに、あらかじめ棟梁に相談するとよいでしょう。ハウスメーカーや工務店によってはご祝儀を禁止している場合もあるので確認しておきましょう。

工事が始まる前に近隣へのあいさつを忘れずに!

工事が始まると騒音や工事用の車が往来して、近隣にどうしても迷惑をかけてしまいます。

ですから近隣へのあいさつは忘れずに必ずしておきましょう。

後々トラブルに発展して、新しい住居で最初からつまずくことのないようにしたいものです。できれば工事業者と一緒にあいさつにまわり、工事日程について説明をしておくとスムーズです。

工事中は施主よりも施工業者の方が近隣の方と接する機会が多いので、最初にきちんとあいさつをして、コミュニケーションを取りやすい状態をつくっておけるとよいですね。

あいさつにまわるのは、向こう3軒両隣りが目安です。

ただ、袋小路(ふくろこうじ)の奥に土地がある場合などは、その道路を頻繁に工事車両などが行き来する必要があると予想されるので、道路の両側全ての家にあいさつをしておくなど、土地や道路の形状によって考えましょう。

どのような迷惑をかける可能性があるかを施工業者に確認して、あいさつの時に近隣の方に事前に伝えておくことができれば、不要なトラブルを避けることができます。

新居へ引っ越し前にも近所にあいさつしましょう

新居が完成し、移る時も近所へのあいさつを忘れずにしましょう。

できれば引越し当日か翌日には済ませておくとよいですね。

工事前のあいさつと同様の、向こう3軒両隣りに加え、工事中特に迷惑をかけたり、お世話になったお宅へもあいさつしておきましょう。「御挨拶」と書いたのし紙をつけた品物を持参し、既婚者の場合はできるだけ夫婦そろって伺います。

ご近所で決められているルールや、自治会へのあいさつなどについてご近所さんから教えてもらえば、これからの新生活をスムーズに始めることができるでしょう。もちろん、引越し前にこれまでの住まいの近隣へあいさつすることも忘れずにしましょう。

まとめ

トラブルなく、家づくりを順調に行うには、職人さんや近隣の方とのコミュニケーションがとても重要です。

地鎮祭や上棟式は、安全祈願だけでなく、職人さんをねぎらい、コミュニケーションを深める良い機会でもあります。地方の風習に基づき、自分たちでできる範囲で儀式を行えるとよいですね。

地鎮祭は地元の神社に依頼し、上棟式は大工の棟梁がとり行うのが一般的です。近隣へのあいさつも含めて、引越し後にスムーズに新生活を始められるように、まわりとのコミュニケーションを大事にしましょう。