住宅を購入しようと考えたとき、戸建にするかマンションなどの集合住宅にするか、新築住宅か中古住宅か・・・など、様々な選択肢があるかと思います。
今回は、戸建の中古住宅を購入して、全面リフォームをする際に知っておくべきポイントをご紹介します。
新築住宅を建てる場合と比較して、どのようなメリット・デメリットがあるのか、または購入時の注意点などを詳しくみていきましょう。
この記事の目次
中古戸建住宅を購入して全面リフォーム!そのメリットとデメリットとは?
まずは、戸建の中古住宅を購入して全面リフォームをする場合のメリットとデメリットについてみていきましょう。
中古住宅を購入して全面リフォームをするメリット
新築住宅よりも価格が安い
中古住宅は、新築よりも価格が安いことが最も大きな魅力の1つです。
国土交通省の「平成30年度住宅市場動向調査」によると、住宅の購入資金は、
- 注文新築住宅で平均3,971万円
- 分譲戸建住宅で平均3,933万円
- 中古戸建住宅で平均2,814万円
と、新築戸建住宅と中古戸建住宅には約1,000万円もの価格差があります。
中古戸建住宅を購入して全面リフォームした場合でも、新築戸建て住宅を購入するよりも安く済む可能性が大いにあります。
例えば、築年数が20年を超える木造住宅は、しっかりとしていてまだまだこれからも暮らしていくことが可能でも、住宅の価格自体はほぼゼロに近い状態になります。
そのため、土地の評価額のみの費用で購入できることもあります。
リフォームすることで、自分の好みに合わせることができる
中古戸建住宅を購入し、リフォームをすることで、自分の好みにあった住まいを手に入れることができます。
また、リフォームの方法によっては、新築注文住宅には作り出すことのできない雰囲気を持った空間を作れる場合もあり、個性的な住宅を手に入れたい方にもおすすめです。
流通量が多い
中古戸建住宅は、新築戸建て住宅に比べると流通量が多いです。
そのため、駅近であったり学校や幼稚園が近くにあるなど、希望のエリアで見つけられる可能性が高くなります。
中古住宅を購入して全面リフォームをするデメリット
住宅ローンが通りにくい
新築戸建住宅と比較すると、中古戸建住宅を購入する場合は住宅ローンが通りにくいというデメリットがあります。
住宅ローンには、様々な種類がありますが、どれも利用するには様々な条件をクリアしなければなりません。
その条件の中には構造や使用建築材料について指定するものもあり、それらは現在の基準に沿って指定されているため、中古戸建住宅にはクリアできないものも多くあります。
そのため、住宅ローンがなかなか通らない場合があります。
建て替えできない場合がある
中古戸建住宅の中には、「再建築不可」とされる物件もあります。
「再建築不可」とは、将来的に建て替えをすることができないということです。
現在、建物を建てるためには、その土地は幅4m以上の道路に2m以上接道していなければならないという決まりがあります。
中古住宅の中には、敷地がこの基準に沿っていないものもあります。
このような敷地に立っている住宅は、特に手放す際に住宅を解体して更地にしたとしても、売ることが難しいので注意しましょう。
中古戸建住宅を購入する際の注意点は?
全面リフォームすることを前提として中古戸建住宅を買う場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
注意すべきポイントを詳しくみていきましょう。
リフォームしやすい中古住宅は?
戸建住宅は、その構造が木造であることがほとんどです。
木造建築は、現存するお寺や神社のように、大昔からたくさん建てられてきました。日本人に最も親しみのある構造が木造です。
現代の木造戸建住宅で採用されている工法は、主に2種類に分けられます。
「木造軸組工法」と「木造枠組壁工法」です。それぞれ、「在来工法」と「ツーバイフォー」とも呼ばれます。
この2種類のうち、リフォームをしやすいものが「木造軸組工法(在来工法)」です。
この工法は、自由度が高いため、ライフスタイルに合わせて部屋を仕切ったり、2つの部屋を1つの大きな部屋へ作り直したりしやすい工法です。
基本的に柱位置を変更しなければ、壁を取り払って間取りの変更をすることが可能ですが、「耐力壁」と呼ばれる構造上どうしても移動できない壁や、取り除くことのできない柱もありますので、間取り変更の際には必ず専門家と相談をしながら計画を進めていきましょう。
築年数と耐震基準、断熱性能
近年、大きな地震が多く発生しており、耐震性能について敏感になっている方も多いと思います。
特に、中古戸建住宅は大きな地震に耐えられないのでは?と考え、選択肢から外している方もいるのではないでしょうか。
ここで目安となるポイントを挙げておきます。
建物を建てる際には、事前に必ず「建築確認申請」というものを行います。
簡単に言うと、「このような建物を建てたいので、許可をください」という申請になります。
この審査では、きちんとした耐震性能が確保されているか、禁じられている建材が使用されないかなど、申請時の建築基準法通りの計画になっているかを審査します。
この建築基準法は、時代によって少しずつ変化していて、昔と比較すると厳しくなっています。
その中でも耐震基準についての重要キーワードが、「新耐震基準」と呼ばれる基準です。
これは、1981年(昭和56年)6月1日に施行されたもので、震度6~7の地震であっても倒壊しないような強度を持った構造である必要があるとされています。
つまり、1981年(昭和56年)6月1日以降に確認申請が行われた中古戸建住宅であれば、この基準を満たしていると考えられますので、確認申請がされた年月日が1981年(昭和56年)6月1日以降かどうかを確認するのが一つの目安となります。
しかし、実際には施工不良などで構造部材が腐敗していたり、シロアリによって食べられてしまっていたりと、構造的に弱くなってしまっている場合もあります。
そのため、購入前には確認申請年月日だけでなく、実際の構造部材の状態についても、専門家に判断してもらうと安心です。
また、築年数が30年程の戸建住宅でも、断熱材が入っていない物件も多くあります。
築30年程の物件では、窓サッシの断熱性能が低いのは仕方ないでしょう。
窓サッシを交換する断熱リフォームをすることを前提として購入を検討したほうが良いです。
しかし、断熱材も入っていないとなると断熱リフォームもかなり大規模なものになり、費用も大幅に上がるので注意しましょう。
建築時の図面が残っているかどうか
中古戸建住宅を購入する場合、建築時の図面が残っているかはとても重要なポイントになります。
建築時の図面を見ることで、建築時にどのような建材が使用されたのか、柱や梁の位置などが正確に分かります。
特に、間取りの変更をするようなリフォームを考えている場合には、構造的に変更することのできない「耐力壁」の位置を知ることが非常に重要になります。
また、先ほどご説明した「建築確認申請」の時期も、建築図面や申請書類が残っているかどうかで分かることができます。
もちろん、図面がなかったとしても現地で測量をしたり壁をはがしたりして柱や梁の位置を確認し、リフォームの計画を進めていくことは十分可能ですが、図面があるかどうかで計画期間を短縮したり、無駄のないリフォームをできるかどうかが変わってきます。
外壁や屋根の劣化具合
中古戸建住宅を購入する際に見落としがちなのが、外壁や屋根の劣化具合です。
一見、きれいな状態に見えたとしても、外壁に亀裂が入っていたり屋根が劣化していることによって、雨水などが壁内に流れ込み、構造部材に悪影響を及ぼしている場合があります。
こうした劣化部分を見落としていると、購入後リフォームをする際に外壁と屋根の補修費用も予想以上にかかってしまうことがあります。
さらに、構造部材の劣化による耐震改修なども加わると、費用が大幅に上がってしまいます。
しかし、このような部分の劣化具合の見極めは非常に難しいので、購入前に専門家と一緒に確認をすることをお勧めします。
床下もしっかりとチェック
中古戸建住宅の購入前に、外壁や屋根の劣化具合と合わせて床下もチェックしておきましょう。
土台がシロアリによって食べられていたり、湿気によって腐敗していることが多くあります。
見た目だけにとらわれずに、見えない部分も専門家にしっかりとチェックしてもらうと良いでしょう。
リフォーム済み中古戸建住宅はお得?
全面リフォーム済みの中古戸建物件は、新築より安い価格で最新の設備が揃っているという、非常にお得に見える物件ですが、果たして本当にお得なのでしょうか?みていきましょう。
全面リフォーム済みでも、見えない部分は・・・?
一見、とてもきれいで何も問題ないかのように見える全面リフォーム済み物件ですが、見えない部分はどうでしょうか。
これまでご説明したように、構造部材等は目に見えてくる部分ではないため、知らない間に劣化が進んでしまっている場合もあります。
表に内部の劣化が見えてきてからでは、ほとんど手遅れです。
キッチンやお風呂など、目に見える部分のリフォームだけでなく、屋根や外壁、床下等、家の隅々まで事前に点検がなされているのかをしっかりと確認しておきましょう。
また、その際の写真なども残っているかどうか尋ねておきましょう。
入居後に不具合が見つかり、補修のために多額の費用がかかる場合もあります。
目の前のキレイさだけにとらわれずに、慎重に購入の検討をしましょう。
まとめ
いかがでしたか。中古戸建住宅を購入して全面リフォームをする場合、同規模の新築戸建住宅を購入するよりは費用が抑えられることが多く、さらに流通量も新築と比較すると多いので、良い立地条件にある物件を見つけられる可能性も高いです。
しかし、購入前には家全体の状態をきちんと確認しておく必要があります。
専門家に相談をしながら購入を検討していくといいでしょう。