「畳や障子の手入れが大変」「洋風のインテリアに合わない」などの理由で、和室は新築される家から年々減り続けています。
でも、旅館の畳のある部屋に泊まった際などに、改めてその良さを実感する人も多いのではないでしょうか?
洋室が一般に普及したのは70年ほど前からですが、和室は鎌倉時代から1000年近い歴史があります。私たち日本人の暮らしに合う和室の良さを見直してみませんか?
これから家を新築する方には、和室を準備しようと考えている方もいらっしゃるでしょう。
やはり、日本人ですから和室のホッとできる空間は1つあると長期的には意味のあることです。
ここでは、和室作りをするうえで、そのメリット、デメリットを交えながら、抑えておきたいポイントを紹介します。
この記事の目次
和室のメリットやデメリットを知っておこう
汎用性が高い
和室のメリットは、何といっても「汎用性がある」ということではないでしょうか?
夜は寝室として使い、日中は布団を片付けてちゃぶ台を出し、作業をするといった使い方もできます。
赤ちゃんをお昼寝させたり、ちょっとくつろぎたい時に横になることもできます。
香りによる癒し効果
別のメリットは、畳の香りによる癒し効果です。
特に新品の畳にはフィトンチッドという成分が多く含まれていて、森林浴をしているのと同じような効果が期待できます。
和室に入るとほっと落ち着いた気分になるのはそのためなんですね。
畳のイグサには、湿度が高い時には水分を吸収し、低い時には放出するという調湿作用や、有害物質を吸着する空気の浄化作用もあります。
和紙でできている障子紙にも、イグサと同様の調湿作用や浄化作用があります。
また、夏は障子を開け放して風を通し、冬は閉めて熱を逃がさないようにするといった気候に応じた使い分けができるのも和室の良さです。
デメリットな点
デメリットは、やはりメンテナンスに手間や費用がかかることでしょう。
しかし、新築の畳は傷みがそれほど激しくなければ10年近く畳替えは不要ですし、破れやすい障子紙を強化和紙にするなどの工夫で障子の張り替えの頻度を抑えることもできます。
和室がないとどんな後悔をするのか?
和室がないことで、特に生活が不便になるということはありません。
しかし、和室から洋室へのリフォームは比較的容易であるのに対して、洋室から和室へのリフォームは60万円程かかるというデータもあります。
「和室が欲しい」という気持ちが少しでもあるなら、新築の際に作った方がお得かもしれません。
畳の上には固定の家具を置かないことが多いので、来客が宿泊する際は布団を敷いて寝室にしつらえることができます。
わざわざ客間を作るほどの余裕はないけど、たまに両親が泊まりに来るかも、という人には和室があれば何かと重宝するでしょう。
また、取り込んだ洗濯物をフローリングの上に直接置くのはためらわれますが、畳なら抵抗がないという人も多いのではないでしょうか。そのため、洗濯物の仮置き場としても役に立ちます。
構造的な部分では、和室の畳の下に点検口をあらかじめ設けておくと、配管のトラブルなどがあった際に簡単に床下に入って調べてもらうことができます。
和室がない場合は、キッチンの床下収納の下などに点検口を設ける必要があります。
和室なしの間取りにするとどうなるのか?
一戸建てでも和室がひと部屋もない、という間取りも多くなっています。
家の外観と内観を洋風のテイストで統一したいからあえて和室を作らないという選択もあります。
リビングと続きの和室がない家では、赤ちゃんがお昼寝をしたり、病気の子供を寝かせるスペースがないので、リビングは広めに確保しておいた方がいいでしょう。
来客が宿泊する場合は、リビングの一角に寝る場所を設ける、ソファベッドに寝てもらうなどの対策が必要です。
和室の広さを決めるポイント
和室の最低限の広さは4.5畳としている建築会社が多いです。
それ以上狭いスペースしかとれない場合は、あえて和室とせずに、畳スペースにした方が部屋を有効に利用できます。
リビングと続きではない独立した和室にする場合は、6畳以上の広さ+1畳以上の収納があった方が使い勝手がよいでしょう。
一般的に、布団を1組敷くには4.5畳、2組敷くには6畳、3組敷くには8畳以上の広さがあるのが望ましいといわれています。
和室を寝室として使う予定のあるお宅では、この広さを目安にしましょう。
和室の壁紙選びで抑えるべきポイント
和室の壁の装飾を考える際に、一番コストが安いのはクロス張りです。
雲竜模様や塗り壁風に見えるものなど、和室に合う壁紙がカタログには沢山揃っています。
自然素材にこだわりたい人は、漆喰や珪藻土塗りなどの左官仕上げを選ぶこともできます。
ここは弊社の主力商品になりますので、お気軽にご連絡ください。
漆喰は石灰石、珪藻土は植物プランクトンが化石化した土を原料にしており、どちらも調湿や脱臭、防カビ作用などがあります。
100%天然素材のものと、天然素材と化学物質を混合したものがあるので、予算や風合いの好みなどによって決めましょう。
忘れてはならない和室収納のポイント
和室収納の代名詞ともいえるのが、押入れ。
最上部に天袋を作らず、押入れ内部に枕棚という高い位置の収納を設けることもできます。
天袋は奥行きのある物の収納に向きますが、横長の物などは枕棚の方が便利な場合もあります。
畳を少しでも広く使いたい場合は、吊押入れを設ける方法もあります。
吊押入れは、天井から壁の途中の位置まで設置されている押入れで、下の空間は空いています。そのため、空いている部分に布団を敷いたり、地窓を作ったりすることができます。
注意したいのは、収納量が少なくなることと吊押入れを支えるために壁の補強が必要な点です。
設計の時点で建築会社に相談してみましょう。
また、リビングと続きの和室では、境目の部分の畳を小上がりにして、床との段差部分に引き出し式の収納を設ける手法もよく見られます。
小上がり部分は腰掛けて簡易的なベンチとして使うこともできますが、幼児や高齢者がいる家庭ではつまずきに配慮が必要です。
畳の下に床下収納を設けるユニットもあります。頻繁に出し入れする物の収納には向きませんが、季節の家電や防災用品などをしまっておくのに役立ちます。
現代の和室に取り入れたい3つのアイデア
せっかく作るなら、人とは違った和室にしたいというあなたにおすすめの和室のアイデアを以下に集めてみました。
間取りの参考にしてみて下さい。
リビングを和室にする
最近は、LDKを一体化してリビングを広くした間取りが人気です。
しかし、発想を転換してリビングスペースを和室にするのはいかがでしょうか?
ローテーブルを置いて畳にじかに座る、あるいは掘りゴタツを設置して足を伸ばせるスタイルにするなど、アイデアは様々。和室ならソファを置くスペースも必要ないので、座布団を置いて大人数でくつろぐことも可能です。
冬はコタツ、夏はコタツ布団を外してリビングテーブルとして使える家具調コタツも沢山出回っています。
テレビを置く場合は、壁の前に和室になじむ木製の収納家具を置き、その中に取り込むと違和感がありません。
寝室を和室にする
和室に憧れはあるけど、わざわざ別に作るほど敷地に余裕はないという人におすすめなのが、寝室を和室仕様にしてしまうというアイデアです。
先にも書いたように、畳にはリラックス効果があるので安眠したい寝室にはピッタリ!ドアで仕切れば他の部屋のインテリアと不調和になることもありませんし、旅館のような味わい深い寝室になること請け合いです。
天井を板張りにしたり、和紙素材の照明を取り入れたりと工夫を凝らせばさらに楽しいです。
ベッドを置くと畳替えが難しくなるので、布団敷きの寝室にしましょう。
書斎スペースを和室にする
男性の憧れである書斎。しかし、現実には限られた居住空間の中で、リビングの一角にパソコンスペースを設けるなどの形でしか作れないことが多いのではないでしょうか?
そこで、和室を書斎にしてしまうという手があります。
畳の上にじかに座るスタイルであれば、大きなデスクも必要ありません。
書斎としての用途に特化するなら、少し狭い方が籠り感があってかえって集中できるかもしれません。
パソコンやオーディオの設置を考えている方は、コンセントの数や位置にも留意して下さい。
後悔しない新築の和室作り。7つの絶対知るべきポイントまとめ
和室についてのあれこれ、いかがでしたでしょうか?
新築で間取りを考える際は、「ひと部屋は和室が欲しいから何となく」というのではなく、本当に我が家にとって和室が必要なのか、作る場合はどんな用途で使いたいのか、よく考えてみましょう。
せっかく作ったのに、不要な物を置いておく納戸のような和室になってしまったらもったいないです。
使わない和室にしないためには、方角や家の中での位置も熟考してみましょう。