住宅ローンは、都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合、ネット銀行など、様々な金融機関で取り扱いがあります。
一つの金融機関でも、複数のパターンが用意されていますから、選び方は星の数ほど。
では、そんな無数の住宅ローンの中から、無理なく返済していくためには、どのような借入条件を選べばよいのでしょうか。
あらかじめ知っているかどうかで差が出る、住宅ローンの選び方のポイントを6つご紹介いたします!
この記事の目次
1. 金利 ~固定金利か、変動金利か~
まず一つ目は、金利です。
- 住宅ローン契約時の金利が、返済終了まで変わらずに適用されるものを固定金利。
- 住宅ローン契約後、金利を年に2回見直し、返済額は5年毎に見直される金利を、変動金利といいます。
変動金利のメリットや注意点
固定金利と変動金利では、一般的には変動金利の方が低くなるため、総返済予定額は少なくなる点がメリットです。
しかし実際には金利の「変動」に応じて見直しがされるため、支払額が増える可能性があります。
毎月の返済額に変更がなくても、金利が上がると返済額における利息の割合が増えるため、総支払額が大きくなっている場合がありますので、注意が必要です。
固定金利の特徴
一方で、固定金利は、変動金利よりも金利は高くなりますが、返済が終わるまで変わらない点が安心です。
固定金利期間選択型って?
また、この二つの中間的な存在として、よく見かけるのが固定金利期間選択型です。
契約時に2年、3年、5年、10年など固定期間を選び、固定金利期間が終わったときにまた金利を選べます。
金利は、景気や政策の影響を受けて変化しますので、借入後も金利動向を定期的にチェックすることが大切です。
どちらを選ぶかは、今後の金利の変化をどう考えるかによって変わりますが、専門家でも予測することが難しいものですから、「よくわからないなぁ」という方は、固定金利から検討しましょう。
2.返済方法 ~元利均等返済と元金均等返済~
- 毎月返済額が一定となる元利均等返済
- 毎月返済する元金が一定になる元金均等返済
があります。
元利均等返済では、毎月返済額が一定ですから、返済計画が立てやすいメリットがあります。
元金均等返済は、元利均等返済よりも、総返済額が小さくなるメリットがある一方で、借入当初の返済額が大きくなるデメリットがあります。
そのため、住宅ローン利用者の多くは、元利均等返済を選択しています。
3. 借入額 ~借りられる額と無理なく返せる額は違う~
三つ目は、借入額です。
住宅ローンでは、収入基準や物件価格により、借りられる額の上限が決まります。
金融機関では、住宅ローンの年間返済額は年収の30~35%以内などといった、審査のための基準を設けています。
これらは金融機関や年収などの要件によっても変わりますが、金融機関の掲示した借りられる額の上限額が、そのまま無理なく返済できる金額であるとは限りません。
それぞれの家計の中で、住居費として無理なく支払える月額負担額を検討し、借入額を設定することが大切です。
人によって、子供の教育費が多くかかる期間があったり、年齢やお仕事状況、ライフスタイルも違います。
借入額をおさえる方法としては、頭金を入れることが効果的です。
借入額の決定に際しては、返済シュミレーションを作成して、ライフプランや預貯金のバランスをよく検討しましょう。
4. 返済期間 ~繰上返済で短縮はできても、途中延長はできない~
住宅ローンの返済期間は、35年間以内または最終返済時の年齢が満81歳未満の期間、1年単位で設定できるものが一般的です。
返済期間は、長くなれば月々の返済額が小さくなり、借入可能額は大きくなります。
近年では、住宅性能の向上等により、最長50年という商品も出てきました。
無理のない返済計画として、「退職時までに返済を終える様にしたい」と考える方もありますが、必ずしもよいとは限りません。
返済期間が短くなれば、毎月返済額が大きくなり、負担も大きいものです。
例えば、借入額が3000万円、金利1%の条件
この場合、返済期間が20年では毎月返済額は13.8万円、返済期間が35年では、毎月返済額は8.5万円と、およそ5万円もの差となります。
その差額分を預貯金として蓄えておくという方法も選択の一つです。
人生100年時代ともいわれる長い人生ですから、転職やライフスタイルの変化で、返済が苦しくなる時期があるかもわかりません。
しかし、途中で返済が苦しくなったからといって、返済期間を延長することは容易ではありません。
一方で、繰り上げ返済を行えば、早めに返済を終えることは可能です。
無理のない毎月返済額で、手元の預貯金とのバランスを考えて、返済期間を設定しましょう。
5. 諸費用 ~チリも積もれば山となる!?~
諸費用といっても、住宅ローンに関わるものを全て合わせると、100万円以上となることもあります。
取り扱いの金融機関によっても異なり、融資事務手数料は、定額型として3~5万円程度の場合もあれば、定率型として融資額の2~3%と設定されている場合もあります。
保証会社に支払う保証料は、一括前払いの場合と金利上乗せ方式があります。
融資手数料や保証料が安く設定されている住宅ローンは、金利などその他の費用が高めの場合もありますので、トータル費用で比較することが大切です。
火災保険は、パッケージ商品で60万~100万円となる場合もあれば、期間や内容を絞ることで、減額することも出来ます。
司法書士に依頼する登記関係費用は、依頼する司法書士によって報酬はまちまちです。これらも積み重なれば山となり、数十万円からの違いとなることもありますので、事前によく調べて、比較検討をしましょう。
6. 債務者 ~パートナーや親と一緒に借りる、連帯債務やペアローン~
家族の中に収入を得る人が二人いるなら、一人で借りるよりも借入額を増やせる方法があります。
夫婦共働きや二世帯住宅などの場合には、「連帯債務」や「ペアローン」も選択肢の一つです。
「連帯債務」では、1つの契約で2人が債務者になります。
「ペアローン」では、借入額や返済期間を個々に設定し、別々に2本のローンを組みます。
「誰と一緒に、どのように借りるのか」によって、条件や注意するポイントが異なりますので、代表的な例をご紹介します。
連帯債務
最大のメリットは、住宅ローン控除が二人で受けられる点です。
住宅ローン控除は、年末時点の返済残高と納税額で上限が決まります。
一人で借りる単独債務の場合には、最大上限額まで控除を受けられないケースも多いため、連帯債務にすることで、納税額が増え合計控除額が増える場合があります。
ペアローン
それぞれで個々に借入金額を設定し返済します。
団体信用保険がそれぞれに組める点が特徴です。
一方で、どちらか一方が仕事を辞めて返済ができなくなり、一人が二人分の返済を行った場合に、贈与税の課税対象となる可能性がある点に注意が必要です。
親子リレーローン
名前の通り、親と子が返済を引き継ぐタイプのローンです。
親との同居や二世帯住宅の場合に利用できます。子の年齢により返済期間が決まるため、親が単独でローンを組むよりも、より長期のローンが組める点がメリットです。
返済負担割合と登記される持ち分の差があると、贈与税の課税対象となる可能性がある点に注意が必要です。
早い段階での比較検討を
住宅ローンの選び方には、どんな選択肢があるのか、どのような部分に差が出るのかをご紹介しました。
家づくりでは、選択しなければならない事柄が、次から次へと出てきます。
しかし、同じ価格で家を建てても、支払額に大きな差がでるのが住宅ローンの選び方です。
後回しになって時間的余裕がなくなり、十分な比較検討ができない、といったことがない様に、新築やリフォームを考え始めたら、早い段階で比較検討をはじめましょう。
無理のない返済シュミレーションを作成し、より費用を抑えた借入条件で住宅ローンを選ぶことは、家づくりの満足度を上げる秘訣です。