和室の床材として使われる「畳」にはいろいろな種類があります。大きさや畳表・畳縁の種類などが違います。
色々な種類がある畳の中で、最近人気のある畳に「琉球畳」があります。琉球畳とはどんな畳なのでしょうか?
琉球畳の特徴や人気の理由、琉球畳のおしゃれな空間をご紹介します。
この記事の目次
琉球畳とは?一般的な畳との違い
琉球畳は、畳表につかわれるイ草や畳表の織り方、畳縁の形状が一般的な畳と違います。
琉球畳の特徴や一般的な畳との違いなどをまとめました。
イ草の種類
琉球畳は「七島藺(しっとうい)」と呼ばれているイ草を使って作られた畳を言います。
七島藺はカヤツリクサ科の植物の一種ですが、一般的な畳で使われるイ草はイ草科の植物です。
琉球畳と一般的な畳はイ草の種類がまず違います。
通常の畳で使われているイ草の断面は丸く、琉球畳で使われている七島藺は三角の断面をしています。
七島藺は、イ草と比較すると下記のような特徴を持っています。
- 七島藺は、通常のイ草より強くて丈夫。強度は通常のイ草の5~6倍あります。いたみにくいため、柔道の畳としても使われていました。
- 調湿、防臭、消臭性能が高い。
- 耐火性能が高い。(そのため、囲炉裏端に使われていました)
- 七島藺は凸凹が少ないため、表面が滑らかで触感が良い。(裸足でも気持ちが良い)
- 七島藺は、通常のイ草の畳で行われる「泥染め」の作業がないため、体に優しい。
泥染めはイ草を泥でコーティングする作業で、イ草の変色を防ぎ、速乾性を不可し、香りを増幅させる効果があります。
しかし、泥染めはアレルギー体質の人には向いていない場合があります。
七島藺で作る畳表は泥染め作業を行いません(無染土の畳といいます)。
泥染めをせず、乾燥させただけで使用する七島藺は、色むらが少なく、イ草とは違う香りのする畳になります。
泥染めをしていないため、アレルギーや喘息のある方でも気にせず安心して使えるところが良いところです。
七島藺は沖縄県や大分県で栽培されていますが、現在の主な生産地は大分県です。
栽培に日数がかかり、手間もかかるイ草のため、生産量が少ない貴重なイ草です。
畳表の織り方と畳縁の有りと無し
琉球畳の畳表は「目積織り(メセキオリ)」という織り方で織られています。
目積織りは、一般的な畳表の半分の目幅で織っているため、イ草同士の目が詰まっています。
目が詰まっているため、弾力のある感触を持っているのが特徴です。
畳を製作する時、畳表の端を処理する「畳縁」を取付け作業がありますが、琉球畳にはこの「畳縁」がありません。
琉球畳の畳表端部は、畳縁を付けず畳表を折り曲げて処理を行います。
この畳縁のない畳を「縁なし畳」と言います。
琉球畳は「七島藺」を使い、「目積織り」で織られた畳表を畳縁なしで仕上げた畳をいいます。
畳のサイズは半畳と1畳のタイプがあります。
「琉球風畳」とは?「琉球畳」との違い
「琉球畳」は、半畳サイズの畳をそれぞれ方向を変えて敷くことで、全体が市松模様となる特徴があります。
一般的なイ草を使って目積織りで作った畳縁なし半畳サイズの畳も方向を変えて敷くことで、同じような市松模様の見た目になります。
そのため、一般的な畳の「縁なし半畳(目積織り)」を『琉球畳』と呼ぶことが増えています。
本物の琉球畳は「七島藺」をイ草として使用したものですので、一般的なイ草を使用して作った「フチなし半畳畳(目積織り)」の畳は正しくは『琉球風畳』です。
イ草が違えば、琉球畳の特徴である滑らかな表面や防火性能、調湿性能、防臭・消臭効果はありませんので注意が必要です。
琉球畳の価格
畳の価格は、サイズ、畳表の種類、畳縁の有無などにより違います。
琉球畳は畳表の原料である七島藺の生産量が少なく、畳表の製作にも時間がかかる畳です。
そのため、琉球畳は畳の中でも高級品で、価格が高い畳です。
※畳の価格相場(新規製作の場合)
半畳サイズ | 1畳サイズ | |
---|---|---|
琉球畳 (七島藺) |
20,000~30,000円/枚 24~36万円/6畳分 |
35,000~40,000円/枚 21~24万円/6畳分 |
琉球風畳 (国産イ草・目積織り) |
10,000~13,000円/枚 12~15.6万円/6畳分 |
- |
一般的な縁あり畳 (国産イ草) |
7,000~14,000円/枚 - |
10,000~20.000円/枚 6~12万円/6畳分 |
※畳を取り替える場合は、別途古畳処分費がかかります。
※畳表の種類により価格が違います。
※琉球畳は、七島藺の時価によっても金額が変わります。
※琉球風畳のサイズは半畳タイプとなるため、1畳タイプの価格は算出していません。
※一般的な縁あり畳を半畳サイズの畳だけで敷き込むことはないので6畳分の費用は算出していません。
琉球畳のデメリット
琉球畳は、風合いや耐久性、耐火性、インテリア性などメリットの多い畳です。
しかし、製作に時間がかかる、価格が高いというデメリットもあります。
また、畳は一度作ったら一生使えるものではありません。定期的なメンテナンスとして畳の表替えが必要になります。
琉球畳は一般的な縁あり畳と比較すると表替えの費用もかかります。
琉球風畳も一般的な縁あり畳と比較すると、価格が高い畳です。
琉球畳や琉球風畳を使うときには、将来のメンテナンスのことも考えながら選ぶと良いでしょう。
※畳表替えの価格相場
半畳サイズ | 1畳サイズ | |
---|---|---|
琉球畳 (七島藺) |
15,000~18,000円/枚 18~21.6万円/6畳分 |
20,000~28,000円/枚 14~16,8万円/6畳分 |
琉球風畳 (国産イ草・目積織り) |
9,000~11,000円/枚 10.8~13.2万円/6畳分 |
- |
一般的な縁あり畳 (国産イ草) |
3,000~7,000円/枚 - |
4,000~9.000円/枚 2.4~5.4万円/6畳分 |
※畳表の種類により価格が違います。
※琉球畳は、七島藺の時価によっても金額が変わります。
※一般的な縁あり畳を半畳畳だけで敷き込むことはないので6畳分の費用は算出していません。
※畳表替えの費用は、畳床の種類によっても違います。
琉球畳が人気の5つの理由
琉球畳や琉球風畳はとても人気があります。
フローリングや椅子、ベッドの生活に慣れた最近でも畳の良さや使い勝手の便利さ取り入れるため、新築の住宅やリフォーム、マンションに畳を取り入れる方がいるからです。
洋風の生活様式であるフローリングの床や白い壁との相性が良い畳が、畳縁のない正方形の形をした「琉球畳」や「琉球風畳」です。
「琉球畳」や「琉球風畳」を使ってどのような空間ができるかまとめました。
モダンなデザインの和室ができる
洋風デザインの外観や玄関の住宅の中に純日本風の柱がある和室を作るのは合わない、でも畳の部屋が欲しい。
そんな場合は「モダンなデザインの和室」がおすすめです。
モダンなデザインの和室には畳縁のない「琉球畳」や「琉球風畳」がかかせません。
※モダンなデザインの和室
琉球畳や琉球風畳を市松模様に敷くことで色目が変わり、モダンなデザインにマッチする畳になります。
※琉球畳、琉球風畳の市松模様
リビング横の畳コーナーを同じデザインで作れる
リビングの一角に畳コーナーを作る場合、違和感のないデザインにすることができます。
※リビング横の畳コーナー
白い壁、洋風の建具がリビングと同じデザインですが、畳縁のない琉球畳や琉球風畳を使うことで和風の感じがなくなり、リビングと畳コーナーが統一感のあるデザインになりました。
洋室と和室を統一したイメージにできる
隣り合った洋室と和室を一緒に使用する機会が多い場合、部屋を統一感あるデザインにすることができます。
※リビング横の畳の部屋
収納の扉も洋風デザインにすることで、リビングと和室を一緒に使用した時でも違和感なく同じ部屋として使うことができます。
リビングの床を畳にする
LDKのリビングの床を畳にする時、縁のない畳を使用するとLDKに統一感が生まれます。
※リビングの床を畳にしたLDK
窓は洋風上下窓、物入れの扉は白い両開き戸、カウンターの色も白ですが、畳の床にあっています。
子供たちが遊んだり、ちょっと昼寝したりするリビングに畳の床はとっても便利です。
琉球畳や琉球風畳はリビングの使い方を広げてくれます。
※床に置き畳を敷いたリビング
フローリングの上に置く置き畳の「琉球風畳」があります。
LDKの一角を気軽に畳の床にすることができます。
フローリングの一部に畳を敷いても違和感がない
ベッドの寝室の一部に畳を敷きたい、書斎の中に畳を敷きたい場合に畳縁のない琉球畳、琉球風畳を使うと違和感がありません。
※フローリングの部屋に敷いた畳
出典:リクシルHPより
ベッドや椅子の生活でも畳が欲しい場合、デザインの違和感がない琉球畳や琉球風畳が洋風の部屋にマッチします。
琉球畳や琉球風畳で作るおしゃれな部屋の例
琉球畳や琉球風畳で作る部屋の例を見てみましょう。
モダンな和室
とてもモダンでスタイリッシュな和室です。
フローリングのリビングの隣にあっても違和感のない空間になっています。
デザインのポイントは、畳を琉球畳にして市松模様に敷いたこと、和室によくある柱がないこと、横長の地窓、吊押し入れ、四角いダウンライトの照明です。
こんなモダンな和室なら、洋風のリビングから見えてもおしゃれです。
LDKの中の和室
リビングの中にある開放された畳の空間です。リビングと建具で仕切られていないオープンな空間です。
リビングの白い床にも琉球畳がぴったりあっています。
黒い床の床の間にモダンな絵画、ダウンライトの照明、黒の座卓でモダンなデザインになっています。
キッチン、リビング横の畳コーナー
キッチンとリビングの隣にある畳コーナー。
市松模様の琉球畳やLDKの床と同色の柱と建具、すっきりとした物入れのデザイン、白い壁と天井、ダウンライトの照明ががLDKのデザインにあっています。
まとめ
琉球畳や琉球風畳を使うと、畳の部屋でもフローリングにあうデザイン、雰囲気になります。
琉球畳に合わせて、その他のエレメント(窓や建具・ウィンドトリートメント・照明など)をモダンのもの、フローリングにあうものを選ぶとより統一感のある部屋づくりができます。
琉球畳と琉球風畳は、特性や価格が違います。
どちらを選ぶかは、部屋全体のデザインやそれぞれの特徴、将来のメンテナンス性を理解してから選ぶようにしましょう。