珪藻土とは?メリット・デメリットや使い方など7つのポイントを紹介

珪藻土とは?メリット・デメリットや使い方など7つのポイントを紹介

健康的で環境にやさしい材料として注目を浴びている珪藻土

塗り壁材として使われていることが多いですが、そのメリットとデメリットはどんなことなのでしょうか。

また、珪藻土は壁だけでなく、他にもいろいろな場所で役立つ使い方ができるのを知っていますか?

珪藻土の効果や、使い方についてのポイントをみていきましょう。

①珪藻土とは?

健康や生活面でとてもメリットが多いと人気の珪藻土ですが、どのような材料なのでしょうか。

珪藻土は代表的な左官壁ですが、左官の仕上げ材として使われ始めたのはごく最近です。

もともと珪藻土は、七輪やコンロ、耐火レンガなどの原料として焼いて使われ、保温や断熱性のある素材として知られていました。

そこに珪藻土仕上げ材が出現し、手軽に左官仕上げの質感を楽しめることが注目を集め、自然住宅の啓蒙に大きく貢献しました。

固化剤の発達によって水で練るだけで使えるようになり、超微細で多孔質の特性を活かした仕上げ材料として、壁や土間への施工が可能になったのです。

物質としての珪藻土は、海や湖畔、水中に生息する植物性プランクトンの珪藻の死骸が海底や湖底にたまり、それが長い年月をかけて徐々に分解されて、最終的に二酸化ケイ素を主成分とした化石になります。

この珪藻の化石が長年にわたって堆積してできた粘土状の泥土が珪藻土なのです。

珪藻土の元になっている珪藻の殻には、ミクロレベルのとても小さな穴が数多く開いています。

このことが、たくさんのメリットを生み出すのです。

珪藻土そのものには、硬化したり何かに接着できる能力はないので、壁塗り材として販売されている珪藻土は、粉末状にした珪藻土に、石灰や色素などを混ぜたものになります。

珪藻土が本来持つ機能を最大限求めるなら珪藻土の比率が高い程良いわけですが、前述した理由のため配合比率100%というものは存在しません。

また配合比率が高いと、施工の難易度はやや高まります。

珪藻土は日本各地に分布しますが、なかでも

  • 秋田
  • 能登
  • 岡山
  • 大分

などからは良質なものを産出しています。

最大の産出国はアメリカで、日本も輸入しています。

②珪藻土の7つのメリット

(1)不燃機能

珪藻土は完全に無機質だけの組成のため、不燃で有毒ガスを発生しません。

1300℃で溶融しますが、着火・発煙はありません。

(2)断熱・保温性能

たくさんの粉体の微細孔が、空気層の役割を果たすことで、高い断熱性能と保温性能を発揮します。

(3)吸放湿・調湿機能

夏場の暑く高湿度時には湿気を吸い、冬場の寒く乾燥時には放出します。

土壁と同じように、湿気の吸収・放出を活発に行います。

人間にとって快適な湿度である40~60%を自動で保つので「呼吸する壁」といわれています。

調湿は70g/㎡以上の製品が多く、後で紹介する漆喰の多くはここまでの調湿性能はありません。

(4)防露機能

調湿効果により、結露やカビの発生を防ぎます。

(5)遮音性能

珪藻土の微細孔が音を吸収するため、吸音・遮音効果が高まります。

(6)脱臭・吸煙機能

臭いや煙を吸着するので、脱臭・空気清浄機能をもちます。

臭い分子は空気中の湿気(水分子)に溶けるので、湿気を吸収すれば臭いも消えるという仕組みです。

逆に湿気を出すときに臭いも放出されるのではないかという心配がわきますが、放出速度が極めて遅いので人間には臭わないのがよいところです。

(7)静電気を発生しない

静電気を帯びないということは、臭いや埃の粒子が付かないということです。

(8)ホルムアルデヒドを吸着し、再放出しない

珪藻土が持つ「多孔質」により水に溶けたホルムアルデヒドを調湿作用で吸着し、再放出しません。

(9)色が選べる

漆喰と比べて色のラインナップが豊富です。

漆喰は無機物なので冬になるとカルシウムイオンが表面に浮き出て白いムラが出る「白華現象」が起きるデメリットがあります。

そのため、白色系のものが多いのですが、珪藻土では顔料(着色料)を混ぜることで数十種類から数百種類の色を出せるのが特徴です。

ベージュや白色といった基本色を使いながらアクセントに富んだ青やオレンジなどの使い分けも可能ですので、イメージに合ったお部屋を作り上げることができます。

このように、珪藻土を住宅に使えば、お部屋が快適な湿度に保たれ、断熱効果によって冷暖房効率がアップし、省エネを実現できます。

さらに臭い、結露、カビなどが防げます。

珪藻土は暮らしの中で嬉しい機能がいくつもあり、とても魅力的な性質だとだいうことがわかりますね。

③珪藻土の特性とデメリット

(1)職人さんの腕に左右され、他の左官材に比べて価格が高い

珪藻土はさまざまなテクスチュアを表現することができます。

住宅を建てる際や、壁のリフォームなど左官工事で珪藻土を使いたい場合には、現場で職人さんの腕と経験を踏まえて、職人さんと相談しながら、調合の割合を設定してサンプルをいくつかつくってもらい、検討するとよいでしょう。

最近は、現場で水を加えて練ると使える既調合の製品が普及していますが、他の左官材に比べて価格が高いです。

(2)凝固剤やつなぎ材の成分に注意

珪藻土の主成分はガラスと同じ珪酸質(シリカ)で、直径0.1~1ミクロンという超微細で多孔質な構造をもちます。

前述したように珪藻土は固化しないので、現場調合の場合は、石灰や砂のつなぎ材にツノマタなどの結合成分を混入する必要があります。

施工性のよい製品には、酢酸ビニル系や合成樹脂系のつなぎ材が多く含まれています。

珪藻土に特徴的な吸放湿性能を低下させたりといい面もあるのですが、国際ガン研究機関によると、焼成した結晶性シリカには発ガン性があるということが報告されています。

製品情報を問い合わせるなどして、珪藻土の含有率の高いものを選び、安全面には注意したいですね。

(3)粉が落ちやすい

やはりボロボロと粉が落ちるのが難点ですね。

ですが最近ではツルッとした珪藻土材も発売され始めています。

  • リビングなどの人やペットの出入りが多い場所には粉の落ちないタイプの珪藻土を使う
  • 人の手が届きにくい天井には従来の風合い感ある珪藻土を使う

という選択もできます。

④珪藻土のメンテナンス方法

せっかく珪藻土の壁にしたあとの、気になる施工後メンテナンス。

実はお掃除、お手入れがとても簡単なのです。

ホコリは毛のやわらかい刷毛やハタキで落としましょう。

手垢などの軽い汚れは消しゴムで消すことができます。

また、表面に付いたシミ汚れは、目の細かいサンドペーパーで少し削って落としましょう。

⑤珪藻土のいろいろな使い方

水回りに使う時

塗り壁特有の調湿性や消臭機能がメリットですが、キッチンなどに使う場合は同時に油ハネや水ハネが気になりますよね。

シンク周りやコンロ周りだけはキッチンパネルやタイルなどサッと簡単に拭ける素材にして、それ以外の場所を塗り壁にするのがお勧めです。

洗面所やトイレも同様にタイルと組み合わせて使うとよいですね。

バスマットや小物

珪藻土は水を直に吸収する吸水性があるので、お風呂上りのバスマット品があります。

吸水性を活かして、コースターや歯ブラシスタンドといった小物まで珪藻土の製品が登場しています。

傘立ての水受け部分に置くタイプの珪藻土もあります。

靴の脱臭・除湿

履いたあとのシューズにいれておくことができるスティック状の珪藻土があります。

蒸れや匂いを消すことが可能で、2時間ほどで脱臭してくれるのでとても便利です。

クローゼットや下駄箱に

使いやすいサイズの珪藻土ブロックを、直接クローゼットや下駄箱など湿気や臭いのこもりやすい場所へ入れておくだけで、とても効果があります。

⑥漆喰とは

同じ左官仕上げである漆喰塗りは日本の伝統的な仕上げです。

壁材として長い歴史を持つ漆喰は、独特な質感と機能性で根強い人気を保っています。

その特徴についても知っておくと、住宅を建てたりリフォームする際の参考になりますので、ここでご紹介しておきます。

漆喰塗りの主原料は消石灰です。

消石灰を使った漆喰は日本の伝統仕上げだと思われがちですが、世界中で使われてきた仕上げ方法です。

日本では平安時代から小舞壁(こまいかべ)の仕上げとして、城郭や神社仏閣・土蔵の壁の仕上げに使われてきました。

こうした日本独自の漆喰塗りの壁は白壁ともいわれ、鏡のように平滑で繊細な表面を持ちます。

漆喰の特徴は以下の通りです。

  1. 塗りやすく、比較的価格が安い。
  2. 一般に白色(着色も可能)。
  3. 付着性に劣るので、固まるまでに時間がかかる。

また、日本建築学会の建築工事標準仕様書の左官工事に規定されている、漆喰塗りは3つあります。

本漆喰塗り 海藻糊を現場で炊いて作る、現場調合の伝統的な工法。
土佐漆喰塗り 知名度の高い土佐漆喰を、現代工法として位置付けた方法。
強度と作業性に優れ、乾燥後にクラックが入りにくい。
既調合漆喰塗り 化学糊の適用もあり、工場生産による工法。

漆喰は、硬化後表面が炭酸ガスに接して炭酸カルシウムとなるので、硬い被膜を作ります。

空気中の二酸化炭素を吸収しながら、100年以上という時間をかけて自然に強度を増し、もとの石灰石に還るのです。

まさに生きている素材といえます。

強靭で美しい壁面が漆喰の魅力です。

漆喰のメリットとは

  1. 調湿性
  2. 抗菌
  3. 防カビ
  4. 不燃
  5. 静電気を発生しない
  6. 消臭性
  7. ホルムアルデヒドを吸着し、再放出しない
  8. 国産で調達が可能な循環性

漆喰のデメリットとは

  1. 強いアルカリ性。直接触れると肌が荒れることがあります。
  2. 収縮率が高くひびが入りやすい。
  3. アクリル系樹脂などの添加(既調合品に注意)。有害物質が揮発する。吸放出の効果を妨げることがある。

⑦珪藻土と漆喰の違い

珪藻土も漆喰もその見た目だけでなく、上記のようにたくさんのメリットがあります。

大人はもちろん、お子さんのいるご家庭ではホルムアルデヒドを吸着するなどは嬉しい機能ですよね。

シックハウス症候群対策にも有効です。

漆喰は丈夫で砂壁のようにポロポロしないのが特徴です。

ですが、色のラインナップや、調湿性などは、珪藻土の方が優れています。

一方で珪藻土は、固まる材料ではないので、樹脂が入っている場合に注意しなければなりません。

どのような仕上げがよいのかをよく検討して、目的に合った仕上げを選びましょう。

まとめ

珪藻土にはたくさんのメリットがあります。

塗り壁にすることで、健康にも見た目にもとても魅力的な住まいとなり、手で簡単に千切れてしまうビニールクロスの壁紙よりも塗り壁の方がよほど丈夫です。

寿命も手入れ次第では半永久的にもつといわれています。

漆喰との違いもよく理解して、メリット・デメリットと目指したい住まいを合わせてぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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