地震や台風などによる停電から、注目されている住宅用蓄電池。
住宅用の蓄電池が今現在必要とされる理由や、どんなタイプや種類のものがあるか?の情報を紹介してみます。
この記事の目次
住宅用蓄電池あるとできる3つのメリット
① 災害に対する備えができる
2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震を原因とする北海道での大規模な停電や、2018年の10月に台風24号により、中部地方~関東地方にかけて停電などが発生したりと直近でも皆さんの記憶に新しく、被災された経験ある方もいるかと思います。
こういった災害対策の一環として、近年注目を集めている「蓄電池」の導入を検討される方がここ数年で急激に増えてきています。
大規模な地震などで被災された方のブログ等を拝見していると、困ったこととして挙げられていることが
- 冷蔵庫、冷凍庫の中身がダメになる
- 夜真っ暗になるため子供たちが不安だ
- 車で電気を供給するとガソリンを消費してガソリンスタンドに長蛇の列ができる(給油制限もある)
- 夏や冬は冷暖房の管理が大変
- 避難所はプライベートもなく、健康面でも衛生面でも不安
こういった意見が多くあり、住宅自体が耐震に優れていて倒壊しなくても、電気がないことによる不便はかなりのストレスとなります。
実は、これらのことは 蓄電池(太陽光発電も)があると解消できる可能性が高いのです。
家庭用の蓄電池で多い容量が約5KW前後です。
これで、LDKの照明・テレビ・冷蔵庫・スマホの充電などで約15時間程度は電気が使用できます。
② 高くなっている電気代の削減
家庭用電気代が全国的に上昇し続けていることが問題となっています。
この高くなってきている電気代の上昇に対して、自己防御を図る意味として蓄電池は有効的に働きます。
具体的に家庭用電気代が高くなってきているグラフは、下記の経済産業省の資料から読み取ることができます。
具体的に、なぜ電気代が上がるのかの理由としては様々な理由がありますが、
- 火力発電の原料の石油の価格上昇
- 輸送コスト・人件費の上昇などの社会情勢を踏まえた原因
- 新しく新築として契約される方の単価は、以前の契約者と異なり高い
- 再生エネルギーの導入に伴う再生可能エネルギー賦課金の導入(3で詳しく解説します)
等など様々な理由があるため、一概に特定はできませんが上昇傾向ではあります。
家庭用蓄電池を導入すると、「 高い単価の電気を、できる限り購入しないようにする」ということができます。
詳細は後ほど記述いたします。
③ 再生可能エネルギー賦課金の影響
再生可能エネルギーを政府としては、日本全体の主力電力の4つのうちの1つとする目標を掲げています。
このことから再生可能エネルギー(太陽光発電や風力発電)を導入する個々の発電事業者への還元する原資として、全世帯から一律で使用電力量に比例して追加料金の徴収を平成24年から開始しています。
開始当初は0.22円だったものが、今年度は2.95円と8年で約13倍になっております。
2.95円が使用した電力量に掛け算されるため、一般家庭(ガス併用住宅)での1か月の使用平均電力量450Kwhにこの2.95円をかけると、約1327円の負担増になってきます。
この原資となっている、太陽光発電の多くは「産業用」と呼ばれ野原等に大規模に敷き詰められている太陽光発電の買取分が多くを占めるため、今後約15年は下がる見込みが少ないです。
(事業がスタートして20年固定買取が保証されており、普及し始めてから2019年で約5年が経過)
上記のような背景があり、住宅用蓄電池が普及し始めてきています。
電気代の仕組みを知ろう。蓄電池の重要性まるわかり
先述した「高い単価の電気代」で、一般家庭で考えられる一番高い単価の電気代は、オール電化での契約での、平日の日中にあたる時間帯の単価です。
(※ここ2年以内に新規で契約したご家庭、もしくは今後オール電化で契約する家庭に当てはまる契約での単価の話です)
単価は38円/W前後の値段になります。(電力会社によって単価が異なりますので、お住まいの地域の電力会社にご確認ください)
次に単価の高い時間帯は、平日の朝と夕方の時間帯の使用電力です。
ここの単価が約28円/Wとなっております。
この金額は、従量電灯(所謂ガスと電気を併用している方が一般的に契約するプラン)での単価の3段階のうち、最も高い単価と同等の金額になっており、オール電化の電気代は深夜電力以外はかなり高い単価の電気代を購入していることになります。
(例:中部電力での従量電灯Bでは1段目単価/20.68円、2段階目の単価が25.08円、3段階目の単価が27.97円となっております。)
オール電化でメリットがでるのは、所謂「深夜電力」といわれる深夜~早朝の時間帯の電力単価が16円前後となっております。
それ以外は相対的に高い単価の電力を購入していることになるため、ここの 高い単価の時間帯の電気をいかに、蓄電池や太陽光発電システムで買わないようにするか?が大事となってきます。
太陽光発電を設置していれば、晴れている日は、その38円前後の高い単価の電気は買わないで済みます。
3日に1日雨や曇りが多い日があったとしても、蓄電池でしのげるでしょう。
こういった電気代の成り立ちや、仕組みを理解することから、太陽光発電や蓄電池の重要性がわかってきますね。
住宅用蓄電池の使用用途とメリット・デメリット
①置き型(移動可能)のタイプ(パナソニック) ※主に災害用
蓄電池には様々なタイプがありますが、大きくは移動可能ないわゆる「大きな乾電池」のイメージで使用するタイプと、太陽光発電やEV(電気自動車)と連携するタイプの2種類がありますが、
まずは前者の解説からしていきます。
代表的なメーカーのURLですが、各社緊急時や災害時への備えとしての蓄電池を用意しております。
このメリットとしては、初期導入が比較的手軽で、災害時の最低限の備えとして活用したい方や、マンションで大規模な工事ができないような方、個人商店などで停電時もレジなどを稼働させたい等におすすめの商品になっています。
また、メーカーや型番によっては移動もできたりとポータブル電池と考えていただくと良いかと思います。
ただし、この商品全体のデメリットとしては、使い切ったら終わりという点がデメリットとなりますため、災害時などの緊急時用としての意図が強い商品です。
②普段使いや電気自動車とも連携できる多機能タイプ(三菱電機)
いつくるかわからない災害の時しか活用できないのでは…と思う方向けになります。
普段も上記のような、高い単価の電気代を買わないための蓄電池として活用をしたり、電気自動車とも連携をしたい、という方にはこちらがおすすめになります。
ここのメリットとしては太陽光発電と連携させること前提でのシステムの為、停電になったとしても、日中晴れていれば蓄電池に充電ができることから、数日以上にわたって(天候次第ですが)電気を部分的であるものの使えることで
最低限の生活は住宅内でできることです。
また、上記のように高い単価の電気代の時間帯は、蓄電池にためた電気を放電して、自給自足のような形の運転をすることができます。
しかしデメリットとしては、基本的には戸建て向きの商品であり、太陽光発電システム等も一緒に必要になってくるため工事費用が高額になってくることです。
蓄電池(システム全体を含む)の価格相場
上記の3で記載した2つのパターンでの価格相場をご紹介します。
①置き型(移動可能)のタイプの蓄電池。参考:55万円〜
価格は性能やメーカーによってかなりバラつきがあるので、一概には言えませんが、
容量が上記のニチコンとパナソニックの商品は2KWhで55万円、5KWhで128万円となっております。
1KWhあたり約20~30万円前後の相場になります。
ただし工事費は割安になります。部屋に自分で置いて使うだけでしたら、工事費用無しでご自身で設置できるものもあります。
一般的に5KWhで使える容量としては、例えばスマホの充電、テレビ、冷蔵庫、照明1個ぐらいの使用で約15時間程度となります。
②普段使いや電気自動車とも連携できる多機能タイプ。数百万円〜
価格はシステム全体での価格になるため、数百万円単位の工事金額になってきます。
仮に太陽光発電5KWで約200万円(40万円/KWあたり)のシステムと、蓄電池5KWh(定価120万円)のシステムとなってくると、それで商品だけで320万円となってきます。
ここに電気工事や、申請などの諸経費も追加されることになります。
※工事費用や、屋根形状、立地条件によってかなり変動しますのであくまで参考としてお考え下さい。
また最近はEV(電気自動車)との連携もできるタイプのシステムが出てきています。
このシステムは更に高額になってきますが、蓄電池はEV(電気自動車)になるため、元々電気自動車を保有したり、蓄電池の設置を検討するとともに、自動車の買い替えも検討して
いる方は蓄電池をEVとする案も良いでしょう。
※参考URL:日産リーフのホームページ ※LEAF TO Home
まとめ
家庭用蓄電池はうまく利用できれば、大変心強い住宅の味方になります。
ぜひあなたのライフスタイルにあわせて、検討してみてくださいね。