どこかで耳にした事のある言葉「建ぺい率」。
いざ、家を建てる時「建ぺい率」という言葉に直面した場合、「敷地面積に対する建築面積の割合」と言われても、頭に「はてな?」が浮かび、わからないことだらけではないでしょうか!?
これから、住宅の計画をされている方にとって「建ぺい率」はとても大事な要素になります。
そんな方へ、建ぺい率についてわかりやすく解説したいと思います。
この記事の目次
建ぺい率とは?
先述した通り、建ぺい率を一言で表現すると、「敷地面積に対する建築面積の割合」=敷地の中に建物が建ってる部分の面積がどのくらいあるかということです。
用途地域によって建ぺい率が変わりますが、
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 田園住居地域又は工業専用地域内の建築物
は、3/10、4/10、5/10又は6/10
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域又は準工業地域内の建築物
は、5/10、6/10又は8/10
- 近隣商業地域内の建築物
は、6/10又は8/10
- 商業地域内の建築物
は、8/10
- 工業地域内の建築物
は、5/10又は6/10
- 用途地域の指定のない区域内の建築物
は、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの
上記が基本となります。
建築面積とは、建物を上から見た時の柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積のことです。地面に接している部分の面積ではないので、注意が必要です。
1階よりも2階が大きい面積の場合、上から見た面積で建ぺい率を計算するので、2階部分の面積で建ぺい率を計算します。1階のほうが2階よりも大きな面積の場合、1階部分の面積で建ぺい率を計算します。
バルコニーやポーチなど、建築面積に含める部分と、含めない部分がありますので、上手くプランニングすることで面積を有効に使うことが可能です。
建ぺい率の調べ方
まずは、家を建てたい土地や売買したい土地の建ぺい率を調べるために、不動産のある敷地の市役所や町役場に行くか、インターネットで調べましょう。
市役所や町役場へ行く際は、受付で都市計画について調査したい旨を伝え、担当部署を教えてもらってください。
そして、担当部署へ行き正確な住所を伝えるだけで、指定建ぺい率を教えてもらうことができます。正確な住所がわかる場合は、電話で聞くことも可能です。
最近は、インターネット上に情報を公開している行政もありますので、一度行政のホームページを開いてみてください。行政によって名称は様々ですが、”まちづくり”や”住まい”のページで探す事ができます。
建ぺい率の緩和って何?
設計士さんや不動産屋さんから「建ぺい率の緩和」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
都市計画によって定められた建ぺい率は指定建ぺい率とされますが、敷地や建物の条件によって建ぺい率を大きくすることができます。
ボーナスのようなものですね。これを建ぺい率の緩和と言います。
さらに、2019年6月25日に緩和規定が拡充されましたので、都市部での建て替えの方には朗報です。
建ぺい率には、3つの緩和規定があります。
①耐火建築物・準耐火建築物の緩和
建ぺい率が80%とされている地域以外の地域で、かつ、防火地域内の耐火建築物、又は準防火地域内の耐火建築物、準耐火建築物は10%の建ぺい率上乗せとなります。
②かど敷地等の緩和
特定行政庁が指定する土地で、道路の交差点や、道路と公園、道路と河川等に、敷地の2辺以上が接している場合に対象となります。この場合も10%の建ぺい率上乗せとなります。
③建ぺい率制限を受けない場合
建ぺい率が80%の地域(第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、近隣商業地域、商業地域)で、かつ、防火地域内に耐火建築物、又は準防火地域内に耐火建築物、準耐火建築物を建築する場合や、公共性の高い建築物など特定行政庁が認める建築物等があります。
この条件に当てはまる方は、とてもラッキーですね。
建ぺい率の求め方
計画している敷地の建ぺい率がわかったら、プランニングが建築基準法に違反していないか確かめるため、早速計算してみましょう。
計算方法はとても単純です。
実際の建物の建築面積÷敷地面積×100
sample①
敷地面積200㎡、建築面積100㎡、建ぺい率60%の場合
100㎡÷200㎡×100=50%
実際の建ぺい率50%<指定建ぺい率60%
以上のことから、建築面積は建ぺい率の範囲内であることがわかります。
sample②
敷地面積120㎡、建築面積60㎡、建ぺい率40%の場合
60㎡÷120㎡×100=50%
実際の建ぺい率50%<指定建ぺい率40%
以上のことから、建築面積は建ぺい率の範囲外であることがわかりますので、建築面積を減らす必要があります。
建築面積に含める?含めない?面積を最大限有効に使う方法
新築住宅を計画している場合、庇(ひさし)やバルコニー、出窓を上手に利用することで面積を有効に最大限使うことも可能です。
真上から見た時に、建物より外側に飛び出している部分は、先端から長さ1m以内であれば除外とされています。
例えば、一面だけが建築物に支えられている、はねだし型のバルコニーを見かけますが、これは建築面積には含まれません。
また、地階で地盤面上1m以下の部分は参入されません。
一つ注意すべきは、屋根付き駐車場(カーポート)や物置は建ぺい率に含まれるという点です。
「家と関係ないのに、なぜ?」と思われる方もいると思いますが、建築基準法上、屋根と柱を有しているものは建築物扱いとなり、建築面積に含まれてしまうのです。
とは言っても、屋根付き駐車場や物置が設置されているのをよく見かけます。もしかすると、建築基準法違反かもしれません。
建ぺい率は、風の通りや、採光の確保、防火の観点から地域ごとに応じて定められていますので、計画的にプランニングしましょう。
建ぺい率と容積率
計画する上で建ぺい率と切っても切れないのが「容積率」です。
容積率は「敷地面積に対する延床面積(のべゆかめんせき)の割合」です。
延床面積とは、家の床面積の合計面積なので、1階が50㎡、2階が30㎡だった場合の延床面積は80㎡となります。
駅ビルや高層マンション等が建ち並ぶ地域は容積率1000%ということもあり、容積率が高ければ高いほど、大きな面積の建物を作ることが可能になります。
このように、建蔽率と容積率は、その地域ごとにパーセンテージが変わりどのような建物が建てられるのか決まってくるのです。
土地から探している方にとっては、とても重要な検討要素になりますので、知っておく必要があります。
建ぺい率がオーバーしていたら
古い建物の場合、増築していたり、完了検査を受けていなかったりすることで、建築面積がオーバーしている状態になっていることもあります。
そのような場合、銀行の融資を受けることができなくなってしまいます。
そうすると、売買しようと思っていても、なかなか買い手が見つからないことも考えられますので、検討する際は、色んなケースをイメージして最終的に判断しましょう。
近年、古い建物をリノベーションするケースも増えています。
その際は、少し費用がかさみますが減築するというのも一つの案ですね。
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まとめ
なぜ建ぺい率、容積率が大事なのか?
それは、土地の利用価値や利用方法を考えていく上でも参考になるからです。
よく理解できずに先走って土地を購入してしまうと、後々大きく影響することがでてくることも考えられます。
ただ、数値だけでなく、周辺の建物とのバランスや、立地条件等、総合的に見て理解しておくことが重要です。