新築戸建住宅の購入を考え始めたとき、まずは「注文住宅」か「建売住宅」のどちらを購入するか決めなければなりません。
「建売住宅」は、すでに建築された住宅を購入するので、実際に建物を見て大きさや使い勝手などを確認してから購入をすることができます。
価格も、「注文住宅」と比較すると抑えることができます。
「注文住宅」は、設計士と一緒に始めから計画を進めていくので、ご自身のライフスタイルに合わせて間取りを決めたり、イメージに合った外観や内観の色合いなどを決めることができ、より理想の家に近づけることができます。
今回は、「注文住宅」に注目して、戸建新築時の注意点や取り入れたいアイデアをご紹介します。
この記事の目次
①注文住宅でできることとは?
設計時にハウスメーカーに依頼できるポイント
注文住宅のメリットは、設計士と始めから住宅の計画を進められるため、様々な要望を盛り込んだ住宅を建てることができるという点です。
設計時に依頼できる最も大きなポイントは、「間取り」です。各ご家庭によって、ライフスタイルは様々です。例えば、
- 「リビングは家族みんながリラックスできるよう広々とさせたい」
- 「趣味のために個別に部屋が欲しい」
- 「子供部屋は将来子供が独立した際に仕切り壁を撤去して1つの大部屋にできるようにしたい」
など、様々なライフスタイルに応じて間取りを決めることができます。
その中でも、「収納」に関して詳細な計画ができるのも注文住宅のメリットです。
収納スペースについては、ライフスタイルによって必要な広さや場所が大きく変わってきます。例えば、
- 「洋服が多いのでウォークインクローゼットを広めにとりたい」
- 「本が多いので造りつけの本棚が欲しい」
など、単に収納と言っても何を収納するかによってスペースの取り方は大きく変わってきます。
ハウスメーカーの言いなりにならない!理想の家に近づけよう
設計を進めていく中で、設計士にさまざまなアドバイスを求めることも多いです。
好き放題自分の好きなものを盛り込んだ住宅を作ろうとしてしまうと、ちぐはぐで暮らしにくい住宅になってしまうこともあるので、プロの意見を参考にしながら取捨選択をしていくのは大切なことです。
しかし、中にはハウスメーカーの言いなりになってしまい、「不必要なものまで多額の費用をかけて追加してしまった」など、建築後に後悔してしまう方もいます。
ハウスメーカーの提案は全て鵜呑みにせず、「本当に必要か?」と自問自答しながら計画を進めましょう。
その際、必ず頭に入れておいてほしいことは、「ライフスタイルは変化し続ける」ということです。
10年前のご自身の暮らしと現在の暮らしを比較してみてください。
全く変わっていないという方はごく少数ではないでしょうか。
住宅は、10年、20年・・・と長期間に渡って住み続けていくための大切な場所です。
長期的に考えてみると、本当に必要なものが見えてきます。
また、今すぐには決められなくても、後々必要になったときに追加をすることもできます。
例えば、「ガス乾燥機を付けるかどうか」と迷ったときには、将来的に追加できるようガス栓だけは引っ張っておくことも可能です。
いろいろと提案をされると全て必要かのように見えてしまいますが、全て鵜呑みにはせずに一度立ち止まって考えてみましょう。
②新築注文住宅におけるアイデア集
収納部のアイデアと工夫とは
「設計時にハウスメーカーに依頼できるポイント」の中で、収納について触れましたが、ここでは注文住宅だからこそできる具体的な収納アイデアを3つご紹介します。
引用:南海プライウッド
引用:南海プライウッド
1.ウォークインクローゼットには可動棚を設置
収納の計画時には必ずと言っていいほど名前が挙がるウォークインクローゼット。
使い勝手の良いウォークインクローゼットにするためのポイントは、「造り込み過ぎない」ことです。
いろいろなものを収納するために、細かく仕切り等を取り付けたくなりますが、ハンガーパイプと棚板といった最低限のもので十分です。
特に、棚板については固定棚だけでなく可動棚も取り入れておきましょう。
設計時に、収納するものをこと細かく決めることは不可能に近いので、その都度柔軟に対応できる可動棚はとても便利です。
また、各部屋の収納部に設置する可動棚のサイズを統一しておくと、棚板が多く必要になった部屋に集中させたりすることができます。
また、引き出しなどが欲しくなった場合には、後々追加することも可能です。
2.パントリー内の棚板は奥行を取り過ぎず、必ず換気扇を設置
小麦粉やパスタ、缶詰など、常温保存しておける食材や、キッチンペーパーなどの収納場所として、キッチンにパントリーがあると非常に便利です。
食材などの保存だけでなく、キッチン周りを常にキレイな見た目で保ちたい方にも、パントリーは有効です。
パントリーの計画のポイントは、棚の奥行を取り過ぎないことと、換気扇を設置しておくことです。
奥行があり過ぎる棚にしてしまうと、奥にある食材を忘れてしまいがちで、「いつも間にか賞味期限が切れてしまっていた」なんでことも。
奥まで目が届くように棚板の奥行は最大でも30センチ程度にとどめておくといいでしょう。
棚配置は、全体が見渡せるようにしておくのもポイントです。
また、パントリーは食材を保管したりするので、湿気がたまらないよう換気扇の設置を忘れないようにしましょう。
3.ニッチ
ちょっとしたものを収納するのに便利なニッチ。
玄関横のスリッパ収納や、トイレ内のペーパー収納スペースとして重宝します。
また、収納だけではなくディスプレイスペースとしてもニッチは活躍します。
ニッチを利用したマガジンラックなども、リビングに配置すると便利です。
間取りのアイデアとは?
設計の初期段階で決めなければならないのが間取りです。
間取りが決まってから、床材や壁紙の選定などの細かな部分の計画に入っていきます。
間取りが決まると設計士は構造の検討に入ります。
後の計画で間取りを変更すると、構造の検討もやり直さなければならないので、計画が大幅に遅れる可能性が出てきます。
間取りを決める際に確認しておきたいポイントを2つご紹介します。
1つめは、将来的に変更する可能性がある部分を明確にしておくことです。
例えば、「子供部屋は将来的に大部屋として使用できるよう仕切り壁部分には収納などは配置しないでおく」など、将来撤去する可能性のある壁には棚や建具は取り付けない様にするといいでしょう。
2つめは、水回りの配置です。キッチンやお風呂、洗面やトイレなどの水回りは後々場所を変更することは非常に困難です。
もちろん、設備機器を交換することは可能ですが、場所自体を変更するとなると床下や壁内の配管を変更しなければならなくなるので、非常に大がかりな工事になります。
水回りの配置は、十分に検討して決定しましょう。
③新築注文住宅を依頼するときの注意点4つ
1.契約時の注意点とは?
ハウスメーカーや設計事務所など、設計を依頼するには必ず契約が必要になります。
一般的には、プレゼンテーションを経て、設計の方向性に納得した段階で設計契約を結びます。
この設計契約の際に注意しておきたいのは、「何が含まれているのか」という点についてです。
例えば、造作家具などの設計費用が設計契約に含まれておらず、後に追加した造作テレビボードや造作収納などの設計費用が追加で必要になったり、設計を進めていく中で追加した建具や棚板なども当初の予算には含まれておらず、実際の工費が当初の予定より大幅に増えていたなんてこともあります。
設計費用と最初に提示された工費には、何が含まれているのかを細かくチェックしておくことが大切です。
一番確認しやすい方法は、見積り明細を細かく確認することです。
曖昧な表現や、製品グレード等で理解しにくい箇所に関しては必ず確認するようにしてください。
2.設計段階、打ち合わせ段階で気を付けるポイントはここ!
契約時の注意点としてご説明した通り、契約内容に「何が含まれているのか」を確認しておくことで、設計の打合せをストレスなく進めることができます。
例えば、キッチンやお風呂を選ぶ場合を考えてみましょう。設備機器は、グレードごとに商品が分けられていることがほとんどです。
グレードが高くなればなるほど、キッチン本体の扉色の種類やガスコンロや食洗器などの選択肢は広がりますが、その価格はどんどんあがっていきます。
どの程度のグレードの設備機器が予算に組み込まれているのかをチェックしておくと、自分がイメージしているものに近づけるためには追加費用が必要なのかどうかを事前に予測しておくことができます。
グレードのイメージが付きにくい場合は、サンプルやカタログを請求し予算内で希望通りの空間になるかを検討してください。
これは、設備機器に限らず床材や壁紙、外装材やサッシなど、様々な建材にも当てはまります。
設計の打合せでは、理想の家への期待が膨らみ、あれもこれもと好きなものを選択しようとしてしまいます。
しかし、結果的に当初の予算から大幅に費用を追加をしなければならなかったり、費用を抑えるためにせっかく選んだ建材のグレードを落とさなければならなくなったり、予算に含まれているものを確認せずに進めていくと後々悔しい思いをするかもしれません。
まずは、「何が含まれているのか」を踏まえた上で慎重に設計の打合せを進めていきましょう。
3.アイデアを盛り込む際の注意点!
注文住宅では、住宅に様々なアイデアを取り込むことができます。
これは、すでに建てられたものを購入する建売住宅とは大きく異なります。
例えば、吹き抜けに通っている梁にハンモックを取り付けたり、天井に可動式のスクリーンを埋め込んだりと、普通の住宅では珍しいアイデアも注文住宅なら事前に盛り込むことができます。
ここで注意が必要なのは、やはり「追加費用」についてです。
「こういうものを盛り込みたいけれど、どれくらいの費用がかかるのか」をその都度きちんと設計士に聞き、必ず書面で金額を提示してもらうようにしておきましょう。
計画には、必ず費用が絡んできます。お互いに納得した内容で打合せを進めていきましょう。
4.新築注文住宅で後悔しない為には?
一生の買い物ともいえるのが、住宅の購入です。そんな大きな買い物では後悔をしたくないものです。
では、後悔をしない為にはどのような点について注意をすれば良いのでしょうか。
それは、「造り込み過ぎないこと」です。
ライフスタイルは、常に変化し続けるということをご説明しました。
新築注文住宅を建てるなら、100%理想の家を建てたいと思うのは当然です。
ですが、あれもこれも盛り込み過ぎてしまうと、理想を盛り込んだはずなのに窮屈に感じてしまう家ができてしまいます。
長期的な視点で計画をし、将来的に追加や変更が可能な余白を持たせておくことが、快適な家を建てる最も重要なポイントの一つです。
また、家は建てた時点で完成ではありません。
外壁の補修や設備機器の交換など、メンテナンスをし続けなければなりません。
こうした点も考慮して、無理のない計画を進めていきましょう。
④まとめ
いかがでしたか。便利で快適な住宅を建てるためには、ある程度の余白が必要です。
将来追加や変更をしていくことや、メンテナンスなどのランニングコストなども考慮しながら理想の家に近づけていきましょう。