中2階のある家づくり。タテの空間を有効活用する方法(デメリットな話も)

中2階のある家づくり。タテの空間を有効活用する方法とデメリットの話

家づくりでよく耳にする「中2階」とは、その名の通り、1階と2階の間にあるフロアのことです。

3階建てにすることなく、階段でつながる「三層」の家になるため、建築基準法で用途地域に制限があっても、2階建て住宅なので建てやすいプランといえるでしょう。

また、敷地にゆとりがなかったり、傾斜地だったり、変形していたり、そんな敷地条件でも工夫次第で中2階フロアが大活躍します。

中2階を使って、タテの空間を活用し、より暮らしに満足いく家づくりを実現できるかもしれませんよ。

中2階と建築基準法の話。高さ制限をクリアして三層の住まいを実現

敷地さえあればどこにでも好きな家を建てられるわけではなく、日本では都市計画法に基づいて「用途地域」が定められています。

その用途の制限は建築基準法の規定により、建物の種類や建ぺい率、容積率、高さ制限などの規制があります。

主に住みやすい閑静な住宅街は「第一種低層住居専用地域」が多く、ここでは高さ10mまでの住宅しか建てられません。

他にも隣家への日照を妨げない北側斜線制限などを含めると、この住宅地での3階建て住宅はほぼ不可能ということになります。

こうした法規制も家づくりの重要なカギになります。

どんなに好きな住環境でも家づくりの規制は出てしまう・・、でもそこで考えたいのが「中2階」という工夫。

タテの空間をまっすぐではなくジグザグにフロアをつなぐイメージの間取りとなるため、高さ制限があってもうまくゆとりある空間をつくることが可能です。

中2階の間取りはどうする?活用方法を知っておこう

階段の踊り場スペースを広くして自由に使う。広さは3畳でOK

おそらく一番手軽で多いのは、 階段の踊り場を広くしてそこをフリースペースとして活用することでしょう。

子供の勉強コーナーとして机をセットしたり、ジュータン敷にしてゴロゴロとしたり、使い方は本当にさまざまで、家族のプラスワンの空間として多彩に楽しむことができます。

広さは約3畳もあれば十分で、カウンターを付けて椅子を置くと、ご主人の書斎としても使えます。

また、落書きができるクロスを貼って、子供が自由にチョークで絵を描ける場所にしているお宅もあります。

親子で落書きをするなんて、面白いと思いませんか。

他にもアトリエ、趣味の空間、パソコンコーナーや家事室など、さまざまな使い方ができるでしょう。

家族が年月を重ねるとその活用の方法も変わるかもしれません。

でも、自由に使えるというのは、どんな場面でも、誰がいても、便利な場所であることは同じです。

また、高台にある家なら、大きなコーナー窓を作れば眺望を住まいに取り込むことができます。

季節を身近に感じる美しいロケーションも含めて考えていくと、さらに楽しみも膨らんでいく。

「空間をうまく活用する、遊べる、憩う」というのが中2階の魅力ともいえそうです。

平屋の中2階なら寝室もOK

平屋でも中2階は作れます。

この場合は2階へつなぐ必要が無いので、限りなく個室に近い空間づくりができるでしょう。

例えば、 切妻屋根の平屋なら、勾配屋根の寝室にするのもステキなくつろぎスペースになりそう。

床も天井も無垢材で温かな素材感を大事にしたら、ゆったりとしたロッジのような雰囲気に包まれるでしょう。

使い方としては小屋裏を利用するロフトに近いイメージです。

また、子供たちの遊び場にしても、賑やかで楽しいかもしれません。昼間は遊んで、夜はそこでぐっすりと眠る。子供の成長を見守る場所にもなるでしょう。

平屋でもタテの空間を考えると、また楽しみが増えていきますので、柔軟にプランしてください。天井を高くして中2階を作ると、平屋もさらに開放的な住まいになります。

中2階を和室にする

中2階を和室にしてもステキです。

琉球畳を並べてコーディネートしたら、そこはオリエンタルな和空間。

お花を生けたり、掛け軸も飾ってみたり、見る場所、見せる空間にもなりそう。

そして畳は万能なので、そこでゆっくり横になっても良いでしょう。赤ちゃんがいる家庭なら、一緒にお昼寝もできます。

こうなると座布団も大事なアイテムになるので、空間のテイストに合わせておしゃれなものを用意します。

壁クロスなども遊び心を持って選ぶと、住まい全体のアクセントにもなるでしょう。

和室、和空間は見栄えがしますので、ぜひ考えたいところです。

タタミの空間はあると貴重なので、ぜひ考えてください。そしてお正月はカルタでもしましょう。せっかくの和室なので和の遊びも楽しみてください。

中二階を収納スペースに。造作棚やカウンター、引き出しを付けて

中2階を最初から収納スペースと考え、書籍を整理する造作棚やカウンター、引き出しなどを設けておくのも良いでしょう。

書籍類を一気に収納できると、住まいはかなりスッキリします。

造作棚だけでもあると便利だと思いますので、これはぜひ実現してほしいものです。

また、子供の場所にする場合はおもちゃ入れや絵本などが簡単に収納できるようにしましょう。

カウンターを付けて、その下はおもちゃ入れのカゴなどを並べると、スマートな印象になります。小さなものは引き出しにしまい、背の低いタンスやキャビネットを置いても良いかもしれません。

ポイントは「リビングからは見えないように整理する」こと。

中2階は幅広く活用できますが、一方で子供が遊ぶと乱雑にもなりやすいものです。整理、片付けを覚えながら、うまく収納してすっきりとした住まいにしましょう。

中2階を使ったリビング

例えば、車庫を家に取り込むビルトインガレージの場合、ガレージ上の空間が1階より上に来るため、ここを利用して広いスペースの中2階を実現できます。

そして独立したリビングとして活用するケースも多くあります。

ガレージではなくてダイニングだったり、キッチンだったりしても、段差を付けて中2階にリビングをプランしても良いでしょう。

リビングとして完全に独立することで、くつろぎ方が変わったり、お客さまが来てもおもてなしがしやすいかもしれません。

この段差を付けてフロアに独立性を持たせることを「スキップフロア」と言います。

1階から少し階段を上がると中2階があり、また少し上がると2階へ。

例えば住宅密集地で日照の問題がある、傾斜地なので段差を付けてプランした方が暮らしやすい。そんな敷地条件のときも検討したいプランです。

中2階のデメリットとなりうることも考えてみる

窮屈になりがちな階下は収納スペースがおススメ

中2階を作るデメリットとしては、その階下の天井が低くなりどうしても閉塞感を生むこと。

場合によっては窮屈な印象にもなるので、上手にプランしたいものです。

例えば中2階の下は引き戸で利用する収納スペースにし、納戸として使うと機能性もアップして良いかもしれません。

間取りによっては、ウォークスルーのクローゼットにしても便利でしょう。

回遊しながらキッチンなどの水回りスペースに行けると家事もしやすくなります。

1階はダイニングとキッチン、そして収納スペースとし、中2階にリビングを持っていくと、窮屈な印象を回避できるかもしれません。

音が響く、個室にしにくい

1、2階をつなぐフロアなので、個室にしにくく、音が響きやすいという問題もあります。

そして音の問題も、階下が収納ならあまり気にしなくて良いかもしれません。

個室にするのは難しいのですが、ルーバーなどで目隠しの演出をしたり、カーテンを上手に使ったり、インテリアの配置などで雰囲気は変わると思います。

でもここは開放感を大切にして、家族が集まる場所にしたり、自在に活用できる場所にしておくのがベストだと感じます。

眺めてもノビノビできるスペースが楽しいしそれがおススメ。

リビング上の吹き抜けから、そして中2階の大きな窓からも日差しを取り込めば、暖かく心地良さも倍増。プライバシーは求めず、ひとまずゆっくりできる場所だと考えましょう。

高齢化したときの階段や段差は大丈夫?

高齢となったときに、ちょっとした段差でもつまづくかもしれません。

また、階段も負担になるかもしれません。そうした将来の暮らしを踏まえるのなら、階段の勾配はできるだけ緩くして、最初から手すりがあっても良いでしょう。

家は簡単に引っ越しはできないし、そこで長く暮らす人生になる人も多くいると思います。

できればそうした将来設計も含めて、プランしてほしいものです。

リフォームでも中2階を作ることができます

住まいのリフォームやリノベーションを考えるとき、中2階もプランしてみましょう。

今まで紹介したように使い方はいろいろ。家族のさまざまな楽しみの空間にもなりますし、さらに客室としても使え、何でも対応できる部屋になります。

住まいをより便利にするにはタテの空間を有意義に活用することです。

家族構成や年齢によって考え方は変わると思いますが、平面図では分かりにくい空間の使い方も家づくりでは大切な要素です。

狭くてもひとつあればきっと快適。中2階のプランはとにかくおススメです。

このようにデメリットも含めて考えてきましたが、機能的に作れば開放的で住みやすくなるのは間違いありません。ぜひ中2階のあるマイホームを検討してみましょう。