「建売住宅と聞くとあなたはどんなイメージを抱きますか?」
似たような外観の家が多い、間取りが選べないなど、どちらかというとネガティブな印象をもつ人が多いのではないでしょうか。
でも、最近では建売とは思えないほどおしゃれな家も続々登場しています。
また、建売住宅は大規模に開発される分譲地に建つことも多いため、街並みが整っているなどのメリットもあります。
注文住宅に興味はあるけど、予算的にちょっと…という人は、建売住宅のメリットとデメリットと物件選びのチェックポイントを知って、家選びの選択肢のひとつに加えてみませんか?
この記事の目次
建売住宅とは?まずはどんなものかしっかり抑えよう!
建売住宅とは「建築済みの住宅と土地がセットで売り出されている物件」のことです。
よく新聞の折り込みチラシなどで「新築住宅○○万円!」などと広告されている住宅がこれに当たります。
購入予定、あるいはすでに取得済みの土地の上に自由に設計して建てる住宅を「注文住宅」といい、建売住宅と注文住宅の中間的な性質の物件として、建築会社や間取りがある程度決められている「建築条件付き土地」があります。
関連記事:建築条件付き土地のメリット・デメリットなどプロが5つのポイントを解説
建売住宅にはどんなメリットがある?4つを紹介
それでは、建売住宅の主なメリットについて具体的に見ていきましょう。
1.実物が見学できて、すぐに住める
建売住宅は、すでに住居が完成した形で売り出されているため、実際の部屋に入って日当たりや広さを確認することが可能です。
気に入ったらすぐにでも購入の手続きができ、最短期間で引っ越すことができるのも大きなメリット。
賃貸住宅や社宅に住んでいるけれど、期限までに部屋を出なければならない…という人には特におすすめです。
2. 無駄のない間取り
注文住宅は土地の形や施主のライフスタイルに合わせて設計するため、一見無駄に見えるような「遊び」のスペースが間取りに採り入れられることがあります。
それに比べると、建売住宅は限られた敷地や条件を最大限に利用した、オーソドックスで一般的に人気のある間取りが採用されます。
つまり、建売住宅は効率的で無駄のない間取りといえます。
3. 流行の設備や外観が採り入れられている
近頃はカウンターキッチンやリビング階段など、注文住宅でも人気の設備を採り入れている建売住宅が多くなっています。
また、個人で発注すると割高なオール電化や太陽光発電システムを設置している建売住宅もあります。
外観は、色や形を揃えて統一感を出している建売住宅もあれば、外壁の色やデザインを微妙に変えて個性を演出している建売住宅もあります。
注文住宅にするとさまざまな設備について考慮しなければなりませんが、建売住宅は主流となっている項目が取り入れられているので、その点で、悩むことはありません。
4. 土地と建物を個々に購入するよりも、価格が割安で明確
同じ土地に建売住宅と同じ間取りの家を注文で建てると、トータルで2~3割増しの価格になるというのは実際のところ。
注文住宅の場合は、建物の設計料や外構費用など建売住宅ではかからない費用も発生しますし、設備や建材にこだわると材料費がどんどんアップしてしまいます。
その点、建売住宅では物件価格が明確なので、資金計画も立てやすくなります。
建売住宅にはどんなデメリットがある?
一方、建売住宅のメリットは、別の角度から見ればデメリットに映ることもあります。
1.自分好みの間取りではないこともある
メリットの2でも書きましたが、オーソドックスで万人受けする間取りというのは、逆にいえば個性に欠けるということでもあります。
お風呂は広めがいい、などの希望があっても購入した後にリフォームするのは難しくなります。
2. 内装や外観を自分で選べない
注文住宅の場合は、外壁の色やフローリングなどもすべて施主が選びますが、建売住宅では建築前の物件などを除いては自分好みの内装・外観にすることはできません。
しかし、インテリアコーディネーターや設計士といったプロが考えた内装や外観であるため、大きな失敗はないのも事実です。
3. 設備・仕様のグレードが平均的
建売住宅では、キッチンやトイレ、浴室、洗面台などの設備は普及品が選ばれることがほとんどです。
ショールームや商品カタログで見る最新式の設備が採用されることはあまりありません。
断熱材やサッシのグレードがあまり高くない場合は、隣家の生活音が聞こえてきたり、暑さ寒さが伝わりやすいこともあります。
4. 不具合があった時の対応に時間がかかる場合がある
不動産仲介会社を通して購入した建売住宅では、建築会社の名前は分かっても購入まで一度もスタッフと顔を合わせないということも少なくありません。
建築会社の所在地が建売住宅の建設地と離れている場合は、不具合があった時などに連絡がつくのが遅くなることもあります。
実際の寿命は?建売住宅は何年住めるのか。
建売住宅は、注文住宅に比べると価格が割安なため、「構造材などでコストを落としているのでは?」と思われがちです。
しかし、どのような住宅でも、現在は「構造部分」と「雨漏りに関わる部分」については10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。
そのため、建売住宅でも初期に施工不良が見つかった場合は補償を求めることができますし、以前のような極端な欠陥住宅は考えにくいと思います。
建売住宅でも注文住宅でも同じように定期的なメンテナンスが必要なのは変わりません。
きちんと定期点検を受け、劣化した箇所を早めにカバーしていけば、家としての寿命は注文住宅と同じように保つことができます。
後悔しないために!長く住める建売住宅を手に入れる3つのチェックポイントを解説
建売住宅は、完成した状態で販売されているため、家の構造や施工過程を後からチェックすることはできません。
そのため、住んでから不具合を見つけて”失敗”した!と思っている方もいるかもしれませんね。そこで、そんな”後悔”を最小限にくい止めるための建売住宅の購入の”チェックポイント”を幾つかお教えします。
1.安すぎる建売住宅は選ばない
明らかにそのエリアの相場としては安すぎるのでは?という建売住宅は、材料費や人件費を削って価格を下げている可能性があるので避けた方が無難です。
北道路や変形地など、一般的に価格が安いとされる土地に建つ建売住宅は、そのエリアの環境が気に入っている場合や、土地の条件が自分にとってはデメリットに感じられない場合は「買い」もアリでしょう。
ただし、将来売却することになった時になかなか買い手がつかないという可能性も考えておかなければなりません。
2.地元に長く根付いている建築会社が売主の建売住宅を探す
一般に公開されている建売住宅は、不動産会社から購入する際に物件価格の他に仲介手数料がかかります。
その金額は意外に大きく、3000万円の物件だと90万円、4000万円の物件だと120万円ほどになります。
しかし、建売住宅を施工した会社が販売も手掛けているケースもあり、その場合は基本的に仲介手数料がかかりません。
地元に長く根付いている建築会社や工務店は、顧客の土地の売却や住み替えに関わる機会も多いため、立地の良い土地に建売住宅を作って販売することも多いのです。
工事に手を抜けば地元客の信頼に関わるので、住宅の品質も期待できます。
また、何かトラブルが起きた時の窓口も統一されているので安心感があります。
3. 敷地や隣家との距離に余裕のある物件を選ぶ
敷地が広ければ、建売住宅の間取りが生活に合わなくなった時、リフォームすることもできます。
あまりにも隣家との距離が近すぎる建売住宅では、騒音によるトラブルが起きやすかったり、プライバシーの漏洩が気になることもあるので要注意です。
土地に対する建物の大きさや隣家との距離は、その土地が属している「用途地域」によって決まっています。
建売住宅の場合は、その制限ギリギリの面積で建てられていることが多いので、 購入を検討するエリアの用途地域について調べてみるのもよいでしょう。
まとめ
建売住宅は手軽に購入することができますが、それだけに色々な会社の物件を見に行って視野を広げ、気になる点をじっくりと比較検討することが重要です。
綺麗な新築の建売住宅を目にすると、「素敵!」とついテンションが上がってしまいますが、自分なりのチェックリストを作って冷静に選んで下さいね。